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2019-06-14

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・水準器というものがあります。
 地面に対しての角度や傾斜を測る仕事をしています。
 ざっと「水平かどうかを測る道具」ということでしょう。
 建築や土木に関わる人には、絶対に必要なものです。
 古代エジプトで発明されたものだということを、
 ぼくはさっき知りましたが、とにかく大事なものですね。

 どうして水準器のことを書き出したかといえば、
 「水平(平ら)」ということは、
 すっごく大事なことなんじゃないかと思ったからです。
 ぼくが思ったのは、建築土木の領域のことじゃなくて、
 コミュニケーションのことでした。
 「上から目線」という、いつからか流行してきた
 ことばがあるように、コミュニケーションの場面で、
 「水平」であることはとても重要だと思ったのです。
 人間の関係に、上や下ができてしまうことについては、
 個別にさまざまな歴史と事情があって、現実的には、
 そうかんたんに直せるものではないでしょう。
 でも、その、上も下もある人間どうしが
 コミュニケーションするときに、
 「水平」であることはできるはずだと思うのです。

 それには、上とされている人が、屈むことがひとつ。
 もうひとつ、下であるとされている人が、
 屈まずにまっすぐにいることだと思います。
 当たり前のように聞こえますが、これが、
 なかなか実行されにくいものなんですよね。
 コミュニケーションの「水平」というのは、
 上だの下だのの関係を壊さなくてもできるのです。
 そのほうがいいと、双方が信じていればできるはずです。
 たくさんのルールは必要としていません。
 相手に対する「敬意」されあればいいのです。
 上役と部下という関係であっても、
 「水平」にコミュニケーションすることは大事です。
 そして、そのほうがいい結果につながるはずなのです。
 坂道にある球は、上から下に動くだけですが、
 しっかり「水準器」を使って測った平らな面なら、
 球はおおいに動きやすくなるはずです。
 「水平」なコミュニケーションであれば、
 上からも下からも関係なく、いい考えがよく転がります。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
水平なコミュニケーションが、敬意と自由を生み出すかも。


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