生ける屍「ゾンビ」の奥深さを知っていますか
実は長い歴史を持つ、蘊蓄100章で徹底解説
81. しかしそれは死に対する恐怖ではなく、〈過去や未来がすべて消し飛ぶことへの恐怖〉だと分析する。
82. ネット普及とともに戦争やテロが実情報として得られるようになり、恐怖が身近になったことも一因という。
83. 一方、古くからゾンビブームの芽があった米国と異なり日本でゾンビが認知されたのは1980年代前半である。
84. 文化的にゾンビというモンスターの知識が浅薄だったこともあるが、火がついたのはビデオ市場から。
85. 1980年代に入ると日本では家庭用ビデオデッキが普及し、ビデオメーカー各社は映画権利を買い漁った。
86. ホラー映画が人気ジャンルだったこともあり、イタリアなどの低予算ゾンビ映画が続々とソフト化された。
87. その時期にゾンビ映画に触れた世代がクリエイターになり、自身のゲーム作品等に登場させ始めるのである。
88. 日本産ゾンビ作品といえば「バイオハザード」が筆頭だが、2017年には映画『カメラを止めるな!』が登場。
89. 上田慎一郎監督のもと、監督・俳優養成スクールENBUゼミナールのシネマプロジェクトとして製作された。
90. 作中劇であるB級ホラーテイストのゾンビドラマから始まるこの96分作品の製作予算は300万円だった。
91. 2017年11月の公開時にはインディーズの単館上映であったがSNSで広まり興行収入31.2億円を売り上げた。
92. 日本のゾンビブームが新たな盛り上がりをみせるなか、USJの「ハロウィーン・ホラー・ナイト」も人気に。
93. USJでは毎年パークに大量のゾンビを放つアトラクションを開催。怖いハロウィーンの先駆けといわれる。
ゾンビイベントの人気はとどまる所を知らない
94. 東京では2015年から「オバケンゾンビランドinサンリオピューロランド」というイベントが開催されている。
95. 2019年は6/1・6/8の2日間行われ、閉館後のサンリオピューロランドの園内を大量のゾンビが徘徊。
96. ゾンビウイルスに感染しないよう〈逃げる・隠れる・戦う〉などの手法を取りながらミッションに挑んでいく。
97. このゾンビランドを共同企画している「オバケン」は東京・杉並区方南町を拠点とするホラープランナー。
98. 住宅街に佇む「方南町お化け屋敷オバケン」の運営をはじめ、国内外で多くのホラーイベントを手掛けている。
99. そのオバケンが主催し、2014年から静岡のキャンプ場で毎年開催されているのが「ゾンビキャンプ」だ。
100. ゾンビが出没するキャンプ場に宿泊し生還を目指す1泊2日のリアルキャンプ。本年は8月開催予定である。
(文:寺田薫、モノ・マガジン2019年7月2日号より転載)