陽美はまさに後者のタイプだった。そこで勧めた見合いだった。おおらかで明るい陽美ならば、彼の性格をうまく受け入れ、2人がそれぞれの短所と長所を補い合い、いい関係を築いていけるのではないかと思っていた。
プロフィールを互いに見せると、それぞれ「ぜひ会ってみたい」という。
そして見合いをし、その後は、交際に入った。
性格が違うからこそ、補い合えると思ったが……。
晃一は、付き合いを重ねていくうちに、明るい陽美にどんどん惹かれていった。しかし、好きになればなるほど、持ち前の物事をネガティブに捉える心配症の性格が頭をもたげてしまった。
「メールを入れても、レスがその日にこないことがあるんですよね」
「今の関係って、9対1だと思うんです。僕が9思っているのに対して、向こうは1くらいしか気持ちがないと思う」
「何かいつも僕が彼女に合わせている気がするんです。デートの日にちも会う時間も」
気持ちが100%陽美に向いているからこそ、陽美の一挙手一投足が気になってしかたがない。
距離が近づくにつれ、性格の違いがより露わに…
あるとき陽美から、「面談をしたい」と申し出があった。会うと、彼女がまずはこんなことを言った。
「この間、風邪をひいて2日間寝込んだんですけど、『具合はどう? 大丈夫?』ってメールが頻繁にきたんですよ。病気のときは静かに寝ていたい。『心配してくれるのはうれしいけれど、放っておいてくれるのも愛情だよ』って言ったんですね」
しかし、晃一にとっては、陽美の容態が心配でたまらない。“放っておくのも愛情”と言われ、症状が確認できないままただ待つだけの時間は、つらかった。
とはいえ陽美も、晃一の誠実さや優しさは十分に感じていたし、結婚には前向きでいた。
そして2人は、結婚を前提にした真剣交際に入った。しかし、真剣交際に入り距離が近づくと、性格の違いがより露わになっていった。
お見合い以来、毎週末デートを重ねていた2人だが、ある週末、陽美が仕事で会えないことがあった。その翌週、「2週間ぶりに会える」と心躍らせていた晃一に、陽美がダブルデートを提案してきた。
「今度の土曜日、大学時代の親友と親友の彼と私たちの4人で会うことにしたけど、いいかな」