骨と吸血鬼兄弟   作:大三元
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二十四話 死の軍楽隊と吸血鬼兄弟

 

エ・ランテル割譲の日、魔導国軍の隊列が来る日、異形の王がやって来る日。

民は怯え皆家々に隠れ息を潜める、エ・ランテルが築かれてから初めての静寂、今この街を支配しているのは恐怖だ。

 

ついにエ・ランテルの重厚な鉄の城門が開かれる、そしてアンデットの兵士達が入ってくる、先頭には軍楽隊が演奏しながら。その行軍は特殊だった、一歩、二歩、三歩目で右を向き、一歩、二歩、三歩歩いた時に次は左を向く、そうその行軍は通常の行軍より遅いのだ。そして目を引くのがその演奏している軍楽隊の衣装に楽器、赤や緑に黄金の刺繍が施されたそれは見事な物だ、楽器も棒に無数の鈴をつけた物や聞いた事が無い音が鳴る木管楽器などまずこの国… いや、リ・エスティーゼ王国だった時では見れなかった楽器たちだ。

 

そして次にアンデットの兵士達が行軍してくる、その兵士達も軍楽隊の服装と似ている。そして50体程過ぎ去った時隊列に切れ目が出来ていた、次の兵が見えた時にはまた音楽が聞こえた、また違う軍楽隊だ。

 

 

 

こちらの行軍は足取りは普通の行軍と一緒なのだが又しても演奏している者の服や楽器が特殊であった。先ほどとはまた違った真っ赤な上着に下はスカートという出で立ちで脇には袋を抱えている、その袋からは数本の筒が取り付けられそこから甲高い音が響いている。

 

そしてこちらもアンデットの兵士達が行軍する、その兵達も似たような服装、しかし此方はチェック柄だ、しかし持っている武器が分からない、何やら木に筒を取り付けその先にナイフを装着しているみたいだった。

 

 

 

そして次に現れた軍楽隊は規模が違った、到頭本陣の到着である。その先導する指揮兵の数も、旗を持つ兵も先ほどの2分隊より数倍多いのだ、笛や太鼓も然る事乍ら追従する兵に至るまで見事な軍服を着ていた、これほどの軍は見た事が無いと言わしめるには十分すぎる。

 

 

 

 

 

 

魔導王とその一団が貴賓館に到着した、そして何事もなく今回の割譲は終わったのである。

 

「どうでしたかモモンガさん、凄かったでしょうあの軍楽隊」

 

「何かあった時の為に密かに作ってたんだ! 特に本陣の軍楽隊はモモンガちゃん好みに作ったんだ! うれしかっただろぅ?」

 

兄弟は笑顔で話しかけてくるがモモンガは何も答えない、いつもの様に固まったが今回は少し違った、何かを話そうと口をパクパク動かしている。

 

「どったのモモンガちゃん」

 

「あ… あれ…」

 

「あれ? あれとは… 何ですかモモンガさん」

 

「あれ… 軍楽隊… 一体どれぐらいつぎ込んだ?」

 

モモンガは思い口を動かし話す、兄弟はニヤニヤしながら答えた。

 

「私達の作成したその時のゲーム内金貨全部と使える全アイテムと」

 

「るし★ふぁー達の賛同してくれた奴達のゲーム内金貨やアイテム全部使って足りないアイテムや金貨はギルドの宝物殿からパクってきた、あとリアルマネーもたくさん使ったなぁ~」

 

それを聞いたモモンガは到頭動かなくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

 




第一軍楽隊はオスマン帝国軍楽隊(メフテルハーネ)を参考に
曲 Ceddin Deden(ジェッディン・デデン)

第二軍楽隊はイギリス軍ロイヤル・スコットランド連隊軍楽隊を参考に
曲 Scotland The Brave (勇敢なるスコットランド)

第三軍楽隊はナチス時代のドイツ軍を参考に
曲 Königgrätzer Marsch(ケーニヒグレッツ行進曲)


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