骨と吸血鬼兄弟   作:大三元
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二十二話 仮面少女と吸血鬼弟

リ・エスティーゼ王国国王ランポッサ三世はバハルス帝国皇帝ジルクニフからの書状を貴族達並びに息子、娘と確認していた、帝国はアインズ・ウール・ゴウン魔導王を王としたアインズ・ウール・ゴウン魔導国を国と認め尚且つエ・ランテル周辺は魔導国の土地だから渡せという内容だった。王国の貴族達の大半は例年の戦の為の理由付けだとし問題にもしなかった、そればかりか戦士長ガゼフ・ストロノーフを救った御仁の名だという事でガゼフに茶々を入れる者まで現れる。結局例年通り戦を、あわよくば帝国を倒してしまおうと言うのだ。

こうしてこの場はお開きになったのだった。

 

 

 

 

 

 

数日後王都リ・エスティーゼ、アダマンタイト級冒険者チーム蒼の薔薇のラキュース、ガガーラン、イビルアイは冒険者の依頼を終え帰路についていた。

 

「にしてもあの酒屋で出会った二人組は何者だっんだろうな」

 

「そんなの知るわけないじゃない」

 

ガガーランとラキュースはいつもと変わらない調子で歩いているがイビルアイは何やら辺りを警戒している。そのいつもとは違う雰囲気に気付いた二人はイビルアイに話しかけた。

 

「おいイビルアイ! 一体どうしたってんだ?」

 

「そうよイビルアイそんなに警戒しなくてもここは王都、あの一件以来平和そのものじゃない」

 

それでもイビルアイは警戒を解こうとしない、そして徐にある一点を見つめ始めたイビルアイを見て二人もその方向を見る、しかしそこには脇道があるだけで誰もいない。

 

「本当にどうしたのよイビルa」

 

その時、誰も居ないはずだった脇道に一人の人物が現れた。その人物は先の一軒、王都襲撃事件の首謀者の一人であるバレンだ。その姿を確認した三人は即座に身構える、三人とも顔からは汗が流れている。

 

「ばれちった、テヘペロ」

 

手で後頭部を抑え謎の言葉を発する、こんな町のど真ん中で戦闘は避けたい。ここでイビルアイは漆黒の英雄の戦法を思い出す。

 

「貴様! 一体何が目的で私達を付けてきた!」

 

「ん~? 特に理由はないかなぁ、っまそうカッカすんなって別に今日は襲いに来たんじゃないし」

 

タインは両手を上げ言うが信じられない、あの王都での事件… 奇跡的に人的被害はゼロだったがあれだけの事をしでかした奴だ簡単には臨戦態勢を解かない。その姿を見たタインはため息をした後消えた、どこに行ったかと周りを見渡すと驚いた表情のガガーランとそのガガーランに肩を組んでいるタインの姿が目に見えた。

 

「離れやがれぇ!」

 

ガガーランは力いっぱい振り払おうとするが離れない。ラキュース、イビルアイはガガーランが居ることで攻撃でないでいる。そしてタインが徐に仮面を取りガガーランを見つめ話始める。

 

「別に知らない者同士じゃないんだからさぁ、いきなり敵対はやめてくんないかなぁ?」

 

「あぁあああああああ!」

 

その顔を見てガガーランは驚愕する、そう先ほどラキュースに話していた謎の人物だったからだ。

 

「お前はこの前のっ!」

 

「また酒でも飲んで騒ごうぜぇ」

 

その光景を見てラキュースとイビルアイは困惑している。タインがガガーランから離れると深々とお辞儀をし自己紹介をした。

 

「どうも初めまして、僕ちゃんの名前はヤン・バレンタイン。以後よろしくねぇ」

 

「ラキュース・アルベイン・デイル・アインドラです」

 

「ガガーランだ」

 

「イビルアイ… ってなに呑気に自己紹介してるんだ!相手は敵だぞ!」

 

相手のペースにのまれたラキュースとガガーラン、辛うじてとどまったイビルアイが何とか仲間を正気に戻そうとするが時すでに遅し、ヤンのペースにのまれていたのだった。

 

「じゃあガガーラン、ラキュース! ついでにイビルアイも飲みに行くぞぉ~!」

 

そしてまたいつの間にかヤンはガガーランと肩を組み飲み屋街の方へ歩き出していた、ラキュースもその後を付いて行くしイビルアイも行くしかなかった。

 

 

 

 

 

 

「だからさぁその八本腕? 六本指? を潰したわけよぉ」

 

酒を飲みながらヤンは話す、内容は先の事件の内容。ヤン達はお金が欲しかったのだそうだ、その時目を付けたのが王国の裏組織である八本指だった。住民には元々手を出すつもりはなかった事、ついでに王国のお宝も奪ったけど許してねって話だった。それを聞いたイビルアイは怒った。

 

「お前ほどの力があるんだったらこっそり八本指だけを潰せばよかったではないか! なぜ王国であんな派手な事をした!」

 

「えぇ~? 楽しかったでしょ? 俺達は実際体動かせて楽しかったしぃ~?」

 

ガガーランとラキュースは二人の会話をただ聞いて居るだけだった。

 

「何が楽しかっただ! あの後王国の皆がどれだけ大変な思いをしたと思っている!!」

 

「んなもん知ったこっちゃねぇよ、こっちは楽しければなんでも構わねぇんだよ!」

 

ヤンは笑う、イビルアイは怒る。そしてなんやかんやあって和解した4人は二件目に向かっていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「しかし都合よく探していたアイテムが見つかってよかった、今頃弟がその効果を試している頃か… っでモモンガさん、そっちのアイテムはどうです?」

 

「すごいです! こうして食事が出来てるんですから! しかしパンドラズ・アクターを宝物殿から出した副作用がこう現れるとなんだか複雑な心境です…」

 

二人は何時もの様にモモンガの部屋で話していた、仲良く食事をしながら。

 

 



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