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八重農が酒造免許取得  焼酎など6次産業化へ

雨の降る中、酒造りに使うこうじ用の米を脱穀する生徒たち=11日午前、名蔵地区の水田

雨の降る中、酒造りに使うこうじ用の米を脱穀する生徒たち=11日午前、名蔵地区の水田

単式蒸留焼酎製造免許通知書を手にする大嶺隆教諭と蒸留器=5日午前、八重山農林高校応用微生物実験室

地域産業担い手育成も

 八重山農林高校(山城聡校長)のアグリフード科が、6次産業化と地域産業の担い手育成の新たな取り組みとして酒造免許を取得した。自ら育て収穫した米から醸造する技術を生徒たちに学んでもらおうと昨年12月に申請、5月17日付で石垣税務署から免許通知を受けた。取得したのは泡盛や焼酎を製造できる「単式蒸留焼酎製造免許」。将来的には、地元酒造会社に協力を求めるなどして製品化も視野に入れている。

 同科では現在、栽培した米を使ったみそや紅芋を加工したチップスなど農業の6次産業化を学んでおり、酒造りもその一環。

 酒造免許は、同科の大嶺隆教諭が中心となり、国へ提出する書類の作成や那覇税務署担当者の現地視察などを経て取得した。試験のために製造する酒類に限られ、製造数量は年間15㍑未満。

 こうじやもろみを作る技術は多くの経験を積み重ねないと身に付かない職人技。大嶺教諭は「酒造りを経験して酒造会社への就職も一つの選択肢にし、地域産業を担う人材になってほしい」と期待する。

 酒造りに挑戦するのは、発酵化学に興味を持つ同科作物・加工コース3年の下地奏太君と川奈誠君。図書館やインターネットで酒造りに関する資料を収集するなど準備を進めている。

 みそなどの発酵食品を作ったことはあるが、酒造りはもちろん初めて。「自分で仕込んだ酒は成人するまで取って置いて味わいたい」と2年後を楽しみにする。

 校内で栽培する「ひとめぼれ」と紅芋・沖夢紫を原料に使い、7月ごろからこうじの仕込み作業を開始し、8月上旬には試作品の第1弾を完成させる予定だ。

 大嶺教諭は「学校の利点は実験の小回りが利き、試行錯誤の実験回数が重ねられること」と強調する。経費のかかる実験を企業に代わって行うことで、これまでにない酒を造りたい考え。「スピリッツ製造免許も取得し、サトウキビを使ったラム酒の醸造にも取り組みたい」と話している。

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