骨と吸血鬼兄弟   作:大三元
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十六話 駄犬とグと吸血鬼兄弟の過去

 

「「「ルプスレギナ! お前には失望したぞ!」」」

 

至高の御方に言われ、しかも三人同時に言われてこの世の終わりの様な顔になる。体はブルブル震え目には涙が溜まる。

 

「じゃあこの悪い子にお仕置きしときますんで」

 

「アインズちゃんはお仕事頑張ってねぇ」

 

兄弟は子犬のように震えるルプスレギナを担ぐと部屋から出てった、手際の良さにいろいろ聞きそびれてしまったアインズはなんだかなぁ~っと思った。

 

 

 

「駄犬! 伏せ!」

 

「はい!」

 

「はいじゃない! わんだ! お前は駄犬だからな!」

 

「わん…」

 

食堂の入り口横でルプスレギナに指示を出す兄弟、ルプスレギナの首には【駄犬です、構わないでください】っと書かれたプレートがぶら下がっている。

 

「よし駄犬! お座り!」

 

「わん」

 

「じゃあお前は一週間このままで」

 

「じゃぁ~ねぇ~」

 

兄弟は去っていく、ルプスレギナはお座りの姿勢で一週間過ごす事になった。

最初は姉妹やメイド達も罰と割り切って過ごしていたが途中からその悲惨さに罰の減免を乞う。

 

「ルーク様、ヤン様、せめてルプスレギナに食事やトイレ、風呂に入る事の許可を!」

 

「「えっ?」」

 

兄弟は知らなかった、部下達の忠義の度合いを。後自分達が持っている様なアイテムを持っていると思い込んでいたのも大きい。メイド達の話を聞いて直ぐにルプスレギナの元へ向かった兄弟は悲惨なものを見た、直ぐに罰を取り消しペストーニャに回復させた後風呂に連れて行き綺麗にしヤンの部屋に連れて行く。一般メイドに食事を持ってこさせ食べさせた。

そこから数週間兄弟に甘えに甘やかされたルプスレギナだった。

 

「ごめんなぁルプー」

 

「いえヤン様! 悪いのは私です!」

 

ベットで一緒に寝転がるヤンとルプスレギナ、そこに食事を運んでくるルーク。

 

「まさかここまで忠犬だとは思わなかったぞ」

 

「申し訳ございませんルーク様」

 

終始こんな感じだったとかなかったとか。この事を知った姉妹やメイド達は大層羨ましがったとかなかったとか。

 

 

 

 

 

 

アインズと兄弟そしてアウラで東の巨人と西の魔蛇に会いに行っていた、アインズとアウラはフェンに乗って、兄弟は足を縛られ引きずられている。アインズは楽しそうにアウラと話しているが兄弟は一言も話さない、顔を見れば話せる状況ではないのが分かる。先のルプスレギナの件でアインズにボコボコにされたからだ。

 

 

 

そしてアインズ御一行は東の巨人の住処へ到着した、洞窟の奥へ進むとオーガ達が食事をしていた。

 

「スケルトン」

 

「スケルトン、テキ」

 

棍棒を持ちアインズに向かう、アウラが応戦しようとしたがそれを兄弟が止める。

 

「アウラ、ちょっと下がってなさい」

 

「んじゃ、やりますかぁ」

 

そういうと兄弟はアインズを持ち上げる、アインズは予想外の出来事に驚く。

 

「お、おい! 何してる!」

 

「「せ~のっ!」」

 

投げた、アインズを、そりゃ力いっぱい。結果オーガ一匹死亡、二匹重症、アインズ軽傷、兄弟燃やされました。

 

 

 

なんやかんやあって東の巨人、グと名乗るトロールに会うことが出来た。話し合いできるような賢さはなかったので直ぐに処分したが運がいいことに西の魔蛇もこの場に居た。話し合いが出来る賢さがあったのでアインズはアウラに指示し魔蛇、リュラリュースを捕まえると洞窟を出た、そこには今だ燃やされている兄弟が居たのだった。

 

 

 

 

 

 

数日後アインズの部屋、ルプスレギナからンフィーレアの新作ポーションを預かって兄弟が訪ねてきた。

 

「ほぅ、なかなかいいポーションだな」

 

「アインズさんはちゃんと仕事しててすごいな」

 

興味深くポーションを見るアインズを見てルークが呟く、それに気づいたアインズは兄弟に問いかける。

 

「ちょっと気になったんですけどルークさん達ってリアルではどんな仕事してたんです? あっ、言いづらかったら言わなくていいですよ」

 

兄弟は少し複雑な顔になったが話した。

 

「私は娼館を経営してました、まぁ所謂風俗店ですよ」

 

「俺は用心棒みたいな事してたな、主に兄貴の店の。愚連隊組織してそれを指揮してた。」

 

初めて聞いた兄弟の私生活、アインズはなんと声をかけていいかわからず黙った。

 

「まぁ偏見があるのはわかってます。しかし王都のあの組織みたいな事はしてないので少しは安心してください」

 

「俺の方は… まぁあんまり言える事は無いな。アインズちゃんが想像してる事よりは大分酷い事してたとしかね」

 

三人の間に嫌な空気が流れる。

 

「まぁ安心してよ、ここではそんな酷い事しないから」

 

「そうそう、私達は遊んで暮らせればそれで満足ですしね」

 

兄弟は微笑む、それを見てアインズも微笑む。骸骨なので雰囲気だけだが。

 

「っで話変わるけどシャルティアもモモンガさんと結婚したいって」

 

「結婚式はアルベドと合同でいいですか?」

 

アインズは固まった。

 

 

 



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