「ありがとねぇ、自分の役譲ってくれて」
「いえ、当然の事でございます」
王都のとある場所でピエロ二人と悪魔が話している。
「っで私達は計画通り動けばいいのか?」
「はい、多少でしたら遊んでいただいても構いませんよ」
「多少ねぇ~、っま今回それは無しにするかなぁ」
「とりあえずあの計画は無しだからな」
「心得ております、る… バレン様」
漆黒の英雄とピエロ達による戦闘の数十分後、王都はゲヘナの炎で包まれていた。民達は逃げまどい兵士達は湧き出てきた悪魔達と戦っている。王や第二王子等も民の為に出陣し更には第三王女の呼びかけで集まった冒険者達も参加した。
そしてゲヘナの炎の中心部、少し開けた広場で再び漆黒の英雄とピエロ達が相見える。
「私達の眷属を倒しよくぞここまで辿り着いた! 漆黒の英雄殿!!」
「やっはすげぇわあんた」
ピエロは二人に対し漆黒の英雄はナーベとイビルアイが居る。しかし数が勝っていたとしても勝てるかどうか怪しい相手である。
「片方は任せたぞ… では行くぞ!るー…ピエロよ!」
そういうとモモンは駆け出しバレンに切りかかった、その衝撃は凄まじく二人は瓦礫の奥へと消えて行った。
「んじゃ、こっちも始めるとするかねぇ!」
片割れのタインがナーベ、イビルアイに向け駆け寄り殴りかかった、二人は間一髪で避け臨戦態勢に入る。
「お待ちしておりましたアインズ様、ルーク様」
とある部屋でモモン(アインズ)とバレン(ルーク)と悪魔(デミウルゴス)が合流した、そこで悪魔が今回の作戦の情報の摺り合わせを行った。悪魔が言うには4つのメリットがあるとの事だ。
1、王都の倉庫区の財の回収
2、八本指の襲撃を誤魔化すため
3、人間の確保
4、1~3全ての悪評をバレン、タインに擦り付ける
1はプレアデス並びにその他部下が担当中
2は現在進行形で実施中、偽装としてウルベルト製のアイテムを使用
3は吸血鬼兄弟により却下され八本指の者しか捕えない事に変更
4は吸血鬼兄弟の働き次第
特に3はアインズが兄弟に感謝した、やはり無闇に人をどうこうするものではないと思っていたからだった。
『ルークさんありがとうございます』
『いやなに私達も元は人間だったんですからね、あんまり残酷なのは… しかし罪人殺すべし、慈悲はない! イヤーッ!』
広場では尚も戦闘が続いていたのだがナーベが腹に一発入れられて気絶してしまう、そこからは戦闘とは呼べないものが繰り広げられた。イビルアイが魔法攻撃するもそのすべてを平然と受けきるタイン、そして目にもとまらぬ速さでイビルアイに近付くと仮面を奪い取ろうとしてくる。そしてイビルアイは取られないように避けると距離をあけまた攻撃をする、この繰り返しである。
「あぁ~クソぅ、後少しで顔見れたのになぁ~」
「何故攻撃してこない!?」
「あ゛? そりゃぁ~お前まで倒しちまったら遊べないだろぉ~?」
タインが高らかに笑うとまた先ほどの繰り返しだったが時折違う行動もするようになった。イビルアイのお尻や胸を触ったりナーベのお尻や胸を触ったりセクハラをしてきたのだった。
「うぉおおおおお!」
掛け声と共にモモンがバレンを吹っ飛ばしながら戻ってきた。お互い傷だらけの姿だ。
「あぁ~あバレン、結構やられちゃったねぇ~」
タインがイビルアイに手を振ると現れたモモンに向け駆けだす。
「モモン様危ない!」
イビルアイの言葉でタインの行動に気付いたモモンは咄嗟にグレートソードでタインの拳を防御する。モモンは少し飛ばされ二人と距離があいた。
「すまんなタイン」
「なぁ~にいいって事よ」
倒れているバレンをタインが起こす。その間にモモンは仲間の状態を確認する、ナーベは気絶、イビルアイはほぼ無傷だ。
「今度は二人でか?」
「いんやぁ~その必要はないわ」
「今回はこれ位でお互い引こうじゃないか」
この言葉でイビルアイが声を荒げる。
「ふざけるな!」
「あぁ構わない」
モモンが同意した、その言葉を聞いてイビルアイは困惑する。
「はぁ~、このおチビちゃんなぁ~んも分かってないんだねぇ」
「私達の部下達がこの王都を取り囲んでるんだがな」
そこで理解した、王都を人質に取っていることを。
「非常に残念だ、アイテムの奪還が出来なかったなんて」
「んじゃ、チャオ!」
そう言い残してピエロ二人組は闇に消えて行った。
そしてその後モモンが勝利を宣言したりなんやかんやあった王都であった。
ナザリック第九階層ルークの部屋、ここにルーク、ヤン、デミウルゴスが集まっている。
「今回の件はありがとうございました、ルーク様、ヤン様のおかげで良い結果が得られました」
「どういたしまして、しかしまだこれは序章に過ぎないのだろう?」
「左様でございます、これからもっと楽しんで戴くためにいろいろご用意いたしますので」
「んじゃアインズちゃんの計画をじっくりと楽しんで行こうぜぇ」
三人の不気味な笑い声が部屋に響き渡るのであった。