骨と吸血鬼兄弟   作:大三元
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十一話 セバスと吸血鬼兄弟と嫁候補

「…っという事がありまして保護いたしました」

 

セバスは冷や汗を流しながら兄弟に説明する。場所は同じ屋敷の応接間だ。

 

「そうだったのかセバス、すまなかったな」

 

「滅相もございません。私が勝手にやった事、ルーク様並びにヤン様が謝るような事ではありません」

 

「まぁいいんじゃないのえ~と… スフレだっけ? なかなかかわいかったしよぉ」

 

「ヤン様,ツアレでございます」

 

何とか誤解を解く事が出来たセバスであった。セバスはなぜ兄弟がこの場に来たのかを問いかける。

 

「して至高の御方々であらせられるルーク様、ヤン様がこのような場所に?」

 

説明しよう! この兄弟は面白そうな事はないかと考えていた時にセバス御一行の事を思い出したのである。そしてそこからは行動が早かったが今は先の悪ふざけの件で謹慎中だ、アインズに見つかれば怒られるのは必至! ならば! っという事でシャルティアに内緒という事でお願いしてこの館に転移してきたのだ! だからアインズには内緒にしといてねセバス」

 

「おい愚弟、なんだその意味不明な説明は」

 

セバスはまた厄介なっと思いつつも声にも態度にも出さなかった。

 

 

 

 

 

 

ツアレの部屋にノックの音が響く、まだ心の傷が癒えていないのか少し怯えている様子だ。しかしそんな事とは知らず扉は開く。

 

「ど~も~、ルークで~す!」

 

「ヤンで~す!」

 

「「二人合わせてナチスの捨て駒~ズで~す!!」」

 

拍手をしながら入ってくる二人、たしか恐ろしい空間から出てきた二人だと思い出しさらに怯える、しかしよく見れば二人の後ろにセバスが居たので少し安心した。

 

「いやぁ~僕ちゃん達ねぇセバスの主人なのよ」

 

「そうそう、だから安心してほしい」

 

「っと言う事でツアレちゃんはセバスのお嫁さんになりま~す!」

 

「待ってくださいヤン様、先ほどm]

 

「おめでとうツアレ! おめでとうセバス! 今日はお赤飯だな」

 

ツアレは二人が何を言っているのか理解できていない様子だ、セバスはセバスで冷や汗を大量に流しながらなんとか兄弟を止めようとしているがこの兄弟はまだ続ける。

 

「はっぴばーすでーとぅーゆー!」

 

「それは結婚式じゃなく誕生日の歌じゃないか!」

 

ルークが強烈なツッコミをヤンにいれる、ヤンはオーバーリアクションで痛がる。

 

「痛ってぇ! まじハンパねぇ! じゃあ結婚式と言ったらあれやるだろあれ」

 

「あれって何だ言ってみろ愚ッ弟ィ」

 

「アナタ~ハカミヲタ~ベマ~スカ~?ってな」

 

「それを言うなら「貴方は神を信じますか」だろ~が!」

 

ヤンがもしゃもしゃと阿保面で紙を食べている、そこにまたしてもルークのキツイツッコミが入る。

 

「ふふっ」

 

「やったー! 笑った! ツアレちゃんが笑った!」

 

「やったな弟よ」

 

最初は何を言っているのか分からなかったが一連の光景を見ているとなぜか笑えてきた、セバスも困惑していたが今の兄弟の言葉で何がしたいか理解したらしくこちらも微笑む。

 

「んじゃ~またねぇ~」

 

「後はセバス、お前が頑張れ!」

 

そう言い残すと兄弟は応接間に戻って行った、残されたツアレとセバスは笑顔で見送った。

 

 

 

 

 

 

あれから数日、ツアレは屋敷でのメイド業務にも慣れていた。そして兄弟も屋敷での生活に慣れていた。ある時はツアレを餌に金を巻き上げようとした者達をおちょくりまくったり、またまたある時は二人でソリュシャンに取り込まれてみたり、またまたまたある時はセバスを意味もなく胴上げしたり、またまたまたまたある時は二人して廊下に寝ころびスカートの中のパンツを見ようと待機したりと中々に慣れていた。

しかしこんな生活も長くは続かなかった、そう死の支配者にバレてしまったのだ。

 

「おい阿保兄弟、何か言う事は?」

 

「「謹慎を無視して遊んですみませんでした」」

 

応接間でアインズが兄弟に問う、兄弟は簀巻き状態だ、顔をボコボコにされ体にはいくつものナイフが刺さっていた。

 

「はぁ、してセバスよ。何故私がここに来たのか説明する必要はあるか」

 

「いえ、必要はございません」

 

だっよなぁ~っと兄弟を見るアインズ、兄弟はシュンっと縮こまっている。

 

「そうだセバス、例の人間をここへ連れてこい」

 

「畏まりましたアインズ様」

 

セバスが部屋を出る、その時兄弟も一緒に出ようと芋虫のごとく動きで扉へ向かう。

 

「デミウルゴス」

 

「は!」

 

デミウルゴスは兄弟に近づくと両肩に担ぎ上げアインズの元へ戻る。

 

「許して、駄目?」

 

「駄目だ」

 

無慈悲にもアインズの元へ降ろされた二人は足でゲシゲシと踏まれるのであった。

 

 

 

 

 

 

セバスに連れられ応接間に来たツアレは中にいた者達に一瞬驚いたが事前に兄弟に聞かされていたので何とか持ち堪えた。

 

「先ずは名乗るとしよう、私の名はアインズ・ウール・ゴウン。そこにいるセバスの支配者の一人だ」

 

「は、はい!」

 

「さてセバス、お前には目立たない様に行動しろと言ったはずだ。にも拘わらずこの馬鹿兄弟をすんなり受け入れた、ついでにそこの人間の厄介事もだ。違うか?」

 

「申し訳ありませんアインズ様、しかし私達は至高の御方々に仕える身故ルーク様並びにヤン様の願いであれば聞かない事はできません」

 

アインズはそうだったと額に手を当てる、こんな馬鹿でもアインズ・ウール・ゴウンのメンバーだ。兄弟はニヤニヤしながらアインズを見ている。

 

「そうだったなセバス、まぁ今回の事は許そう」

 

「ありがとうございますアインズ様」

 

「ありがとうございます」

 

セバスとツアレが頭を下げる。

 

「っでなんでデミウルゴスもここに居んの?」

 

いつの間にか全快しているルークとヤン、デミウルゴスを見ながらヤンがアインズに問いかける。

 

「いやなにデミウルゴスがお前達の事を教えてくれたのだ、それに護衛も必要だろう?」

 

納得したのかデミウルゴスを見るのを一旦止めたがもう一度デミウルゴスを見る。

 

「デミウルゴスお前裏切ったなぁ!」

 

「そのような事はございませんヤン様、これもアインズ様のご計画の内でございます」

 

「しかし今私達の事を言わなくてもよかったんじゃないか?」

 

「いえルーク様、今なのです。今でなくてはいけないのです、ねアインズ様」

 

三人が一斉にアインズを見る。デミウルゴスはドヤ顔で、兄弟はニヤニヤと悪い笑みを浮かべている。アインズはデミウルゴスの考えが分からず「うむ」っと言い頷くしかなかった。

 

 

そしてなんやかんやあってツアレはナザリックで働く事になりこの屋敷を引き払う事になった、その時にデミウルゴスの願いで小麦を買い込むことになったセバスはソリュシャンを連れて買いに行くのであった。

そして買い付けから戻るとそこにはツアレと兄弟が居なくなっていた。

 

 

 



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