異例の4分間にわたる「説諭」…妻を殺した息子と犯行を手伝った母親に語りかけた裁判長の言葉
- 妻を殺害した元エリート銀行員と犯行を手伝った母親に判決
- 名物裁判長が被告に語りかけた異例の4分間にわたる「説諭」
- 母親には検察の求刑を上回る重い判決…説諭にみるその理由
完全犯罪をもくろんだ殺人死体遺棄事件に判決
妻を殺して遺体を埋めた元エリート銀行員と、その犯行を手伝った母。
“ゆがんだ親子愛”が招いたその犯行は“完全犯罪をもくろんだもの”として、息子の弥谷鷹仁被告(37)に懲役15年。母親の恵美被告(64)に懲役7年が言い渡された。
「あなたに攻撃的になったのは愛していたあなたへのSOS」
担当した裁判長は自分の言葉で被告に語りかけることで知られる人物。裁判長が最後に行った説諭は異例の4分間にも及んだ。
犯行の動機を妻の暴力で精神的に追い詰められていたと訴えていた鷹仁被告に対し裁判長の説諭は…
裁判長:
殺害しか選択肢がないと言っていたが、正当防衛以外でそんなことはない。(鷹仁被告の)苦しかった気持ちは理解できるが、一番苦しかったのは麻衣子さんではないか。あなたに攻撃的になったのは愛していたあなたへのSOSだったのではないか…
裁判長:
夫婦は一人で背負いきれないものを分かち合うもの。麻衣子さんとの最初の出会いから最後まで楽しい記憶を思い出してください
犯行を手伝った母には検察の求刑を上回る懲役7年
この説諭を鷹仁被告の隣で聞いていたのが殺人ほう助と死体遺棄の罪に問われた母・恵美被告。
鷹仁被告が2018年3月妻・麻衣子さんに睡眠導入剤入りのカレーライスを食べさせ車の中で首を絞めて殺害したあと、遺体を茨城・取手市の実家の庭に遺棄する際に母・恵美被告が手を貸したとされる。
鷹仁被告とのLineのやりとりでは...
恵美被告:
たかちゃんのためなら悪者でも悪魔にでもなるからね。何でもやるよ。
法廷で恵美被告は「本当に殺すとの認識はなかった」と殺人ほう助については無罪を主張していたが、その恵美被告に下された判決は検察側の求刑6年を上回る懲役7年。
なぜ求刑を上回る判決となったのだろうか?
裁判長は説諭の中で恵美被告の判決が求刑を上回った理由にも触れた。
裁判長:
(恵美被告は)犯行を止める機会と能力のあった唯一の人物だったのに、その能力を鷹仁被告の背中を押すことに使ったのは残念
裁判長:
今なお自分を正当化している。自分に嘘をついている。母親として命の大切さを伝えられる人間になって欲しい
法廷で説諭を聞く2人の様子は…
裁判長の説諭を耳にした際の恵美被告と鷹仁被告の様子について初公判から傍聴を続けていた記者は…
高沢一輝記者:
母親の恵美被告は判決が言い渡された際も、裁判長による説諭の際も表情を変えずにまっすぐ前を見ていました
高沢一輝記者:
一方、鷹仁被告は終始うつむいていましたが、最後の裁判長の説諭の際、言葉を発することはなかったが、うなずいて説諭を受け止めていました。
鷹仁被告がうなずいたのは裁判長が説諭の最後に鷹仁被告の娘に触れた場面だった。
裁判長:
娘に重い十字架を背負わせた。娘が面会してくれるかは分からない。
裁判長:
(娘に)もし会うことができたなら「弱い人に寄り添える人になった」と言えるようになってください
(「Live News it!」6月12日放送分より)