バリューベットは直訳すると「価値のあるベット」となります。つまりポーカーでのバリューベットは利益を最大化するベットという意味になります。
バリューベットは、ベストハンドを持っている場合に行われるベットです。相手を降ろすために行うベットは、厳密には自分に利益をもたらしていますが、バリューベットとは言いません。
上級者の行うバリューベットは繊細かつ大胆で、常に利益を最大化しています。初心者はバリューベットをしないためにせっかくの利益をドブに捨てていることがよくあります。
バリューベットは別の言葉で表すと
勝っている時にポットを大きくして利益を増やすこと
となります。
勝っているかどうか
第一に自分のハンドが相手に勝っているかどうかの判断が重要です。初心者の中には、現状勝っているのか負けているのかを判断せずに、自分のハンドの強さと感覚だけでプレイする人がいます。こういった感覚でプレイしていても決してバリューベットはできません。
負けている時にポットを大きくすることはすなわち自分の損害を大きくしていることになります。勝っている(後で自分の元に返ってくる)からこそポットを大きくするのです。
しかしポーカーに絶対はありませんから、絶対に勝っていると毎回わかるわけではありません。よって、勝っている可能性が大きい時はポットを大きくし、勝っている可能性がそれなりならばポットサイズもそれなりに、勝っている可能性が不明な時はポットを小さく、負けていそうならフォールド、という判断をバランスよく行わなければなりません。
ベストなバリューベットサイズとは
バリューベットを最も意識するのは自分がナッツを持っている時でしょう。ナッツは負けることがないハンドなので、ポットにあるチップは100%自分のものになります。最悪チョップで引き分けて等分されることがありますが、出したチップ以上はかならず返ってきますから、ポットを大きくして損することは絶対にありません。
しかしポットのサイズを大きくするために大きくベットしても、相手がフォールドしてしまっては意味がありません。よって、最も利益を最大化するベットサイズは
相手がコール(もしくはレイズ)するギリギリの額
となります。
この額を見定めるためには、相手のハンドはなんなのか、相手は自分のハンドをなんだと思っているのかをリーディングしなければなりません。もちろん相手のプレイスタイルや傾向なども。
相手がチップを出すか出さないかというのは、相手が勝っていると思っているかどうかに大きく関わってくるからです。
ナッツを持っている時:オールイン(最大の利益)
最もポットを大きくするのはあなたがオールインすることです。相手がコールしてくれれば最も利益を引き出したことになります。
オールインにコールするかどうか
これが最初に考えるバリューベットの際の判断です。ただし、オールインすると高い確率でフォールドしてしまいそうな場合は利益を捨てることになるため、ベットサイズを変える必要があります。
相手に相当強いハンドは入っていそうであれば、降りれないのでオールインは効果があります。
オールインというのは強気でもあり、「降りてほしい」という弱気のベットに見えることもあります。相手が降りるかもしれなくても、オールインしてみる価値は大きいです。
ナッツを持っている時:相手はレイズするかどうか
あなたがハーフポットをベットして相手が3倍にレイズしてきた場合、あなたがポットサイズをベットして相手がコールする時と比べて多くのチップがポットに入ることになります。相手にセカンドナッツクラスのモンスターハンドが入っていると予測できる場合、相手のレイズを引き出すために小さなベットをするのもありです。ただし、ポットサイズが大きければ大きいほど、ナッツを持っていなければなかなかレイズはできないのが一般的ですから、レイズを期待するのは付加価値程度に考えたほうがよいかもしれません。
ナッツを持っている時:コールできる最大額
ポットサイズよりも大きな額、ポットサイズ、ポットの7割、ハーフポット、ポットの3分の1、ポットの4分の1、この中で(厳密には無数の区分けがある)相手がコールするぎりぎりのサイズをベットします。
多くのプレイヤーが、相手にコールして欲しいがためにナッツを持つ時に小さなベットをしますが、本当に大きなベットをすると降りてしまうのか、今一度考えてからベット額を決めましょう。
大きなベットは、オールインと同じく「降りて欲しい」という弱気のベットと受け取ってくれる人がいます。相手がルースで疑り深いプレイヤーなのであれば、大きめにうってみましょう。
ナッツを持っている時:複数人が残っている場合
リバーまでいって複数人が残っている、というシチュエーションは多々あります。例えば4人残っていて、そんの中であなたはナッツを持っており2番目にアクションするとします。最初にアクションする人がハーフポットをベットしました。あなたはナッツですからレイズできます。しかしここでレイズして、3人ともフォールドしてしまった場合、あなたのリバーでの利益は1番目のプレイヤーがベットした、ハーフポットの額だけになります。
あなたがここでコールに止め、残りの2人がコール、もしくはレイズすることがあれば、全員降ろしてしまう時と比べて利益は増加します。
最終的にポットが最も大きくなるのはどういうプレイか、常に他のプレイヤーにも気を配ってから決定しましょう。
ナッツ以外の場合
ナッツを持っている場合以外は、勝っている可能性とポットサイズを比例させます。つまり勝っている可能性が高い時はポットを大きく、勝っている可能性が小さいときはポットも小さくします。
自分が勝っているかどうかは、相手のハンドも想定しなければなりません。相手のプレイスタイル、相手のアクションなどを総合して相手がもっていそうなハンドレンジを想定し、その中で自分が勝っているパターン、負けているパターンを考えます。
多くのパターンで自分が勝っていると判断できるならそれは勝つ確率が高いことを意味し、負けているパターンが多い場合は勝つ確率は低いので、できるだけポットを小さくショーダウンに持ち込むことになります。
もちろん、強くうって相手を降ろせると判断したのならアグレッシブに攻めるのもよいですが、やはりリスクは大きくなります。
バリューベットの効果を上げる
バリューベットは、相手が負けているときにコールしてもらうことに意味があります。よって、その効果を上げるためには、
- 相手は弱くて自分は強い
- 相手は強いが自分のほうが強い
この2つの場合にコールしてもらうことになります。
上の項にも書きましたが、相手がセットやストレートなど強いハンドのときに、こちらがフラッシュでバリューベットをしてコールしてもらうのは容易いです。よいハンドを持っていると、なかなか降りれないプレイヤーが多いからです。
問題は、相手がそれほど強くない時にコールしてもらうことです。
相手がハンドが弱くても「勝っているかもしれない」と思ってもらい、コールさせます。そのためには、あなたのハンドが弱そうに見える必要があります。つまり、あなたのスタイルがルースであるとアドバタイズしておくのです。
ドローでプッシュ、ボトムヒットでプッシュ、Aハイでプッシュ、こうしたプレイをショーダウンし、あなたのプレイのルースさをたっぷりと見せた後は、強いときに大きなバリューベットです。相手はこれまでと同じように弱いハンドでプッシュしていると判断し、コールしてくれます。
例1 ナッツを持った場合
6人テーブルで全員50BB持ち、あなたはUTGです。が配られたので3BBにレイズ、ルースなBTNだけコールしました。ポットは7.5BBです。
フロップ:
あなたは5BBベット→BTNコール
※この時点でBTNはAヒットなのではないかと想定しています。Kヒットではこのボードでのオリジナルレイザーのベットになかなかコールできないなずだからです。
ターン:
あなた10BBベット→BTNコール(ポットは37.5BB)
リバー:
さて、ここでのバリューベットとはどのような額でしょうか
あなたのハンドはAフルハウスのナッツになりました。最初の想定通り、あいてがAヒットだったのなら相手はAのトリップス、もしかするとA8、AT、TT、88のフルハウス、JQのストレートなどの可能性もあります。フロップはレインボーだったのでフラッシュドローはないでしょう。
相手に強いハンドが入っているなら、あなたの選択肢はオールインです。ポットは37.5BB、あなたの残りスタックは32BBなので、スタックはポットよりも小さい額ですから、オールインも不自然ではありません。
相手は考えた末にコールするでしょう。
こういった流れで、相手にコールしてほしいがために小さくベットするのは多くの場合利益を捨てている可能性が高いです。相手が降りれないような強いハンドを持っていそうなら、オールインです。
例2 相手がドローらしき場合
6人テーブルで全員100BB持ち、あなたはCOです。が配られ、あなたまでフォールドだったのでで3BBにレイズ、SBとBBがコールしました。ポットは10BBです。
フロップ:
SBベット4BB→BBコール
※こういったボードでの小さなドンクベットはドローである可能性が高いです。いわゆるブロックベットです。あなたは現状トップヒットですが、ターン以降スペードや5、8といったカードが落ちるとまくられる可能性があります。ここはレイズして、ドローを引きにくる代償を支払わせるべきです。
あなたレイズメイク20BB
※これでSBとBBは、あと16BBを出して54BBを取りにいくため、オッズ3.3倍、勝率33%が必要となります。ターンでラグが落ちればリバーを見るためにさらに投資が必要だと思えば、コールは難しい額です。
SBコール→BBフォールド
ターン:
これはドローは何も完成させないカードです。Jヒットされても現状あなたがベストハンドです。
SBチェック→あなたベット25BB→SBコール(ポットは104BBになっています。)
※あと1枚でフラドロを引く場合、アウツが落ちる確率は18%程度です。ガットショットがついても24%なので、ハーフベットでも十分オッズに合いません。しかし相手はコールしました、ドローではないのでしょうか?
リバー:
SBチェック→あなた番です
はもし相手が89のオープンエンドだった場合ストレートを完成させるカードです。フラッシュドローだった場合相手はナッシングです。相手はチェックしました。ここで打つかチェックするかは非常に難しい問題です。しかし相手のアクションからはドローを完成させたようなアグレッシブなプレイはありません、リバーでもチェックでした。ここで相手もQヒットと弱いキッカーであるとリーディングするならバリューベットすべきですし、チェックしてショーダウンに持ち込んでも問題ないでしょう。意見が分かれるところだと思います。
例3 早めのバリューベット
6人テーブルで全員50BB持ち、あなたはBTNです。あなたまでフォールドでまわってきてが配られたので3BBにレイズ→BBが7BBにリレイズ→あなたコール。ポットは15BBです。
フロップ:
セットが完成しました。
BBベット10BB
※BBはプリフロップでリレイズをしています。AA、KK、QQの可能性がありますが、あなたが負けているのはKKだけです。また、AKでリレイズした可能性も高いです。あなたがここでオールインしても、AA、AKならばコールするでしょう。また、QQでも、あなたのオールインをフラッシュドローだと読んでコールする可能性もあります。ここでコールにとどめてスロープレイでもよいですが、このボードでAKというのは、現状非常に強いですが、AかKがターン以降落ちなければただのワンペアのままです。ある意味リバーに近づくにつれ弱く思えるハンドと言えます。
しかしフロップでのトップヒットトップキッカーは現時点では相当パワフルに見えます、今のうちにチップをポットに入れさせたいため、あなたはオールイン(36BB)します。
相手はAKでコール、そのまま9のセットの勝利となりました。
これは、ターンでハートやT、7といった相手にとってのスケアカードが落ちた時に、あなたがオールインして相手が降りてしまうのを防いだバリューベットとも言えます。誰の目にもわかるスケアカードが落ちれば、チップを出す手がとまっていた可能性があります。また、相手がドローだった場合も引きにこさせないことにもなります。
相手がTHTK、ツーペアといった強そうなハンドを持っており、自分がより強いハンドを持っている場合は、ターンを開く前に全チップをポットに入れてしまうとよい結果になることが多いです。
トップヒットやツーペアが強く見えるのはフロップまでなのです。
この記事には2件のコメントがあります
AA
on 2018年1月5日 at 5:02 PM -
ブロックベットのところで勝率33%を要求してもフラドロにはコールされてしまうと思うのですがそれは問題ないのでしょうか?
初心者の質問でごめんなさい
あ
on 2018年1月10日 at 12:51 PM -
ターンでも打つつもりなら問題ないよ。
その確率はターンとリバーを一遍にめくるときのものって考えるとわかりやすいかも。