警視庁保安課は11日までに、タイ人の女性従業員を売春相手として客に紹介したとして、売春防止法違反(周旋)の疑いで、東京・鶯谷や歌舞伎町を拠点にデリバリーヘルス(派遣型風俗店)「タイガール」を経営していた浜口直之容疑者(46)ら男女9人を逮捕した。

 警視庁によると、浜口容疑者らは今年5月17、26日に、女性従業員を台東区のホテルに派遣し、男性客と引き合わせて、売春をあっせんした疑いが持たれている。

 同店は鶯谷近くと歌舞伎町に事務所を構え、タイ人の従業員約70人が勤務。「キャストの実在籍数と実出勤数が日本国内で最大、ならびに日本初のタイ風俗店」(同店HPから)と、1日約40人の客を集め、この約6年間で約16億円の売り上げがあったという。

 実際、「ヘルスプレイとタイマッサージの融合サービス。微笑みの国タイならではの癒やし」を宣伝文句とする同店は風俗情報誌や風俗サイトで、優良店と評価が高く、某大手サイトの「外国人デリヘル部門7年連続ナンバーワン」の認定を誇らしげに掲げていた。

「タイ女性は一生懸命でサービス精神も旺盛。外国人風俗でありがちな手抜き感がなく、教育がしっかりしていた印象。日本にいながらタイに行った異国情緒が味わえた」(ある利用客)

 同店のホームページでは女性従業員の募集だけはタイ語で書かれ、採用や指導をしていたのは同容疑で逮捕された浜口容疑者の妻で店長のタイ国籍のワンジャイ・ハタイカン容疑者(41)。従業員もタイ人ネットワークで集まっていたようだ。

 過剰なほどに健全・優良店を売りにし「コンプライアンスを遵守し、毎月全キャストのビザを確認」「パネマジ(写真修整)といわれる過度な修整はなし」「総額料金表示で延長以外の追加料金なし」「毎月性病検査を実施し、結果を公表」などと強調していた。

 結局は一部で本番サービスの疑いが持たれる事件になったが、浜口容疑者ら5人は「売春行為は女性従業員らが勝手にやったこと」などと容疑を否認。他の4人は認めている。

 警視庁では先月、中国人従業員らが在籍していた都内の有名デリヘル店や、慶応大学院生が経営していたJKデリヘル店を摘発した。

 永田町関係者は「来年の東京五輪へ向けての浄化作戦とともに、4月から始まった外国人労働者受け入れで不法就労者が増えかねないとあって、見せしめ逮捕が相次いでいます。タレコミも相次いでいるようで、しばらく摘発の流れは続くでしょう」と指摘している。