日本株は8月に暴落か。消費増税延期・ダブル選挙での株高に乗ると大ヤケドする=江守哲

米中貿易摩擦やトランプ発言による上下はあれど、米国株式市場は右肩上がりで成長を遂げています。果たして、米国経済はこのままさらに強くなっていくのでしょうか。そして、米国市場の影響を大きく受ける日本市場の未来は明るいのでしょうか。

今後の米国・日本の経済の行方と、それに対して私たちはどう資産を守って増やしていけばいいのかについて、現役ファンドマネージャーとしてテレビ・雑誌・セミナーほか各所で活躍する江守哲さんにお話をお伺いしました。

「日本株の上昇は夏の選挙まで」暴落を警告する江守哲さんの分析

米中貿易戦争の余波が日本株にも

この4月末にはナスダックが史上最高値を更新し、NYダウも最高値に接近するなど米国株式市場は右肩上がりで成長を続けています。投資家の間では、このまま米国が世界覇権を握り続けるという強気な意見もあれば、まもなく暴落が起きるとの懸念の声も多く聞かれます。

果たして、ここから数年後の米国市場はどうなっていくのでしょうか。また、米国経済の影響を大きく受ける日本の未来は明るいのでしょうか?

今回は、現役ファンドマネージャーとしてテレビ・雑誌・講演など多方面で活躍し、独自ルートから得た生の情報を元にした市場分析に定評のある江守哲さんに、今後の驚くべき展開と相場展望と、個人投資家が取るべき対策について解説していただきました。

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プロフィール:江守哲(えもり てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。

——本日はよろしくお願いいたします。江守さんは年初からメルマガなどで「2019年は下げて終わる」「今の日経平均は割安感がない」「1万8,000円が妥当」など悲観的な展望を解説されていますが、その考えにお変わりはないでしょうか? 率直に、今後の米国・日本株式市場の展望をお聞かせください。

江守氏:そうですね。すでに米国株は割高で、上がって欲しい人だけが強気な発言をしているのでしょう。

いま、多くのファンドマネージャーは株を売って債券を買っています。なぜかというと、サイクル面でもかなり明確な天井確認ができているためです。OECD景気先行指数は17年12月にピークを付けています。つまり、世界景気は1年以上前に後退局面に入っていることが確認できています。

また、世界全体の株価も18年1月に天井を付けて下落基調に入っており、すでに景気サイクルが一巡したところ。このまま米国株が上がり続けるとは考えづらいでしょう。

——それにもかかわらず、現在、米国株が上がっている背景はどこにあるのでしょうか?

江守氏:トランプが人気取りで、必要のない減税をやっているからです。それで米国経済も好調のような見え方になってしまっている。米住宅指標も昨年(2018年)1月がピークでそこから後退局面に入っていて、過去の米国株の天井との差を見ると、米国株はいまが天井か、2019年末頃には後退期に入るかもしれませんね。

——2018年12月24日~25日にかけては、NYダウの650ドルを超える大幅安を発端として日経平均も1,010円安と大きく下げるクリスマス・ショックが起きました。あれ以上の暴落が近いうちに起こるということでしょうか?

江守氏:あれ以上の暴落になるかというと、ただちにそうはならないでしょうね。誰もが米国株を買い、さらなる成長を疑わないという状況になってからでないと、暴落とはならないと思います。ただ、現在のように米国経済の雲行きが怪しい状況でも、米国株・米グローバル企業の株を買いたいという人は世界でも多くいます。じわじわと米国株が上がっていくなかで、近い将来に綻びが出てくると予想します。

——Googleがファーウェイとの取引を中止するなど米中間の対立が激しくなっています。米国株が暴落へと向かうきっかけは、やはり米中貿易戦争になるのでしょうか?

江守氏:米中貿易戦争は、最低でもあと1年は解決しないでしょう。あれは経済戦争ではなく、国家の防衛に関わる「戦争」になってしまっています。ファーウェイ排除にしても、中国のハイテク産業・通信機器を野放しにすると国防の危機につながるからです。「国防は経済に勝る」ですね。ずるずると次の米大統領選前までは解決せず、米国経済もダメージを負うでしょう。

——米国経済の悪化はトヨタほか日本企業の業績にも直結すると思いますが、この先の日本株についてはどうでしょうか?

江守氏:米中貿易戦争の状況を見ると、日本株も上がると見るのは難しいでしょうね。とくに日本市場では、8月に大暴落があると見ています。

——東京オリンピックまで日本株の株高は続きませんか?

江守氏:私は続かないと考えています。注意すべき点は、8月の暴落を前に、いったん日本株が上がること。おそらく消費税の増税は延期になるか、中止とは言わないでしょうが、「凍結」と表現されるかもしれません。狙いはもちろん自民党が支持率を上げて選挙に勝つためで、夏には衆参ダブル選挙に持ち込まれるでしょう。消費増税延期が好感されて、選挙が終わるまでは日本株は上昇していきます。

——江守さんは、消費増税は「延期される」と見ているんですね。

江守氏:はい。今通常国会の最終日の6月26日に、安倍首相が消費増税の「延期」を発表するという見方が有力です。6月末には大阪でのG20もあり、政治はかなり忙しくなりそうです。6月26日の会期末は延長となり、衆参ダブル選挙の日程は7月28日あるいは8月4日になるでしょうか。消費増税が見送られることでいったん株価は上がりますし、衆議院解散・総選挙が行われると株高になるというアノマリー(経験則)もあります。ただし…

——その上昇が、実は罠なんですか?

江守氏:そうです。 今回の選挙結果で外国人投資家が買って来るとは考えられません。アベノミクスは賞味期限切れで、投資家は関心をまったく失っています。

一方で、日銀は静かに出口戦略を進めています。今の日経平均株価は、日銀のETF買いによって支えられています。この日銀のETF買いによる下支えがなければ、日経平均は1万8000円程度になるでしょうか。もし日銀が保有するETFを普通に市場で売却すれば、市場への影響は避けられないでしょう。それを回避するために、日銀が保有しているETFの証券会社への貸し出しは、いずれ返却なしという形で結果的に償却されていくでしょう。そうなれば、市場に影響を与えずに手放すことができます。現在のETF購入も市場からではなく、証券会社から直接買っていますので、その反対のことをやるわけです。

衆参ダブル選挙後、投資家たちの目線は再び海外情勢に向かい、企業業績の回復期待の剥落もあり、日本株は8月に円高を伴って激しく下落すると考えています。

——江守さんのメルマガを読みましたが、今年は選挙がなかったとしても、日本株が下落しやすい年なんですよね

江守氏:ええ、そうです。今年のように1月・2月が上昇し、3月に下落した年は過去5回とも、8月に大暴落しています。過去データでの確率は100%です。年間騰落率の下落も100%です。

選挙の結果次第ではなく、選挙の結果に関わらず「8月暴落」はやって来る。ここから悲惨なことになるかもしれませんね。

来たる暴落にどう対処する?チャンスは為替相場にあり

——株式投資での資産増加が見込めない今、投資家はどうやって資産を守ればよいのでしょうか?

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江守氏:投資のプロであるファンドマネージャーたちが株を売って債券を買っている状況で、個人投資家が株式投資に集中するのは危険でしょうね。

米中貿易戦争は来年2020年の半ば、次の米大統領選挙の直前まではおそらく終わりません。トランプがそのときに成果としてアピールできるのは米中貿易交渉ぐらいでしょうから、そこまではひっぱって解決しないでしょう。世界は不安定な状態が続きます

——イラン問題も大きくなってきましたね

江守氏:そう。イラン情勢も悪化していますが、あれは米国国内の産油量が増えたことで、イランほか産油国からの輸入に依存する必要性が薄まってきて、強気に出られるようになったことが背景です。

世界情勢が不安定になる中で市場が崩れるようなことがあれば、「円が買われる」という構造になっている。ここ数年はぱっとしませんでしたが、今年は各国の通貨が大きく動いて、FX取引にチャンスがあると見ています。

——最近のドル/円は110円前後で推移していますが、これも大きく動きそうですか?

江守氏:動くでしょうね。米中貿易戦争のほかイラン問題なども安全資産としての円買いを誘発しやすく、さらに国内の政局不安もあり、株安からの円高につながりやすいといえます。

ただ、衆参ダブル選挙を前にいったんは株高になり、これが円安につながる可能性はあります。そうなると取引のチャンスになるでしょう。

——普段から日本円で生活している私たちが、あえて円を買って利益を上げるというのも不思議な感じがします。直近の選挙前にチャンスがあると?

江守氏:そうです。ただし、選挙前の円安を狙って仕込むなら、その時期は7月末まででしょう。その後の円高方向への反動は大きくなりそうです。

昨年はあまり動かなかった為替市場は、ここから大きく動くと見ています。この夏の劇的な調整をきっかけとしたFX投資にチャンスがあると言えるでしょう。

今年はFX投資がチャンス

レンジ相場を制するものが為替相場を制する

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——為替相場への投資にチャンスがあるとはいえ、初心者や未経験者の方は、FX取引をはじめ、失敗しそうで怖いという印象を持っているかと思います。成功する秘訣はあるのでしょうか?

江守氏:そうですね。一般の方でもされている方が多い外貨預金ですが、実はFX取引の方が手数料が低くなっています。例えばドル建てで外貨預金をするなら、FX取引でレバレッジをかけずにドルを買った方がお得と言えるでしょう。

手元資金の範囲内でレバレッジを調整して、損失が出たときの撤退ラインをきちんと決めておけば、初心者の方が恐れているような大きな損失が出るリスクを抑えることができます。

為替相場の7割、いや8割でしょうか。ほとんどがレンジ相場です。レンジ相場というのは、幅をどう見るかはありますが、決まった範囲で価格が上下する相場のこと。レンジの下で買って、上で売れば利益が出るということです。

——トレンドに乗るよりも、レンジでコツコツ稼ぐという手法があるんですね。初心者でも始めやすい通貨ペアはありますか?

江守氏:そうですね。トルコリラや南アフリカランドなどの新興国通貨は動きが激しいので、経験が少ないうちは避けた方がよいかもしれません。ほとんどがレンジ相場とはいえ、上や下に抜ける(レンジブレイク)ときに大損をしてしまうことが何より危険です。

また、高金利狙いで新興国通貨を買うのも、おすすめはできません。スワップ金利が高い通貨は、長期的に下がっていく傾向があります。リスクがあるから金利が高いわけで、FX投資で長く保有するというのは、私はおすすめしないです。

やはり、初心者の方は「円」を中心に見た方がいいですね。比較的レンジが安定しているドル/円のほか、ユーロ/円豪ドル/円などです。いずれも、レンジの下で買って、上で売る。そしてレンジを抜けたときに損失が出ないように、損切りをしっかりすることが何よりも大事です。

レンジ相場を勝ち抜くには?

忙しい投資家の味方「レンジ相場に強い自動売買ツール」を活用する

レンジ相場の下、つまり価格が安いときに買う。そして、レンジ相場の上、つまり価格が高いときに売る。このシンプルなルールを守れば、レンジ相場が続く為替相場で利益を出せると江守さんは説きます。

その利益をさらに増やせるかどうかは、レンジ相場を抜けたときにきちんと損切りができるかにかかっています。コツコツとレンジ相場で稼いでも、レンジ相場の下だと思って買ったときにさらに急落したら?今までの小さな利益の積み重ねを吹き飛ばすほどの大損失を抱えてしまいます。

それでは、どうすればFX投資で成功できるのでしょうか?

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そもそも、レンジ相場の幅(上と下)をどの範囲と見るか。FX投資の初心者や未経験者にとっては、判断が難しいでしょう。自力での判断が困難の場合には、証券会社が提供している自動売買ツールを使うという方法があります。

例えば、インヴァスト証券が提供する自動売買ツール「トライオートFX」では、「自動売買セレクト」という機能があります。予め設定されている自動売買の中から、自分の予算に合わせて投資したい通貨を選べば、あとはプログラムに売買をお任せできる機能です。

その中でも人気の自動売買ロジックとして、「コアレンジャー」があります。

おすすめの通貨ペアを選べば、レンジの幅も最初から設定されているので、初心者の方でもすぐにFX投資を始められます。もちろん損失確定の設定も可能。為替相場の大半を占めるレンジ相場で収益を上げることに特化した自動売買ロジックです。

過去約4年半の実績から、シミュレーション結果を見て売買ロジックを選択できる。

過去約4年半の実績から、シミュレーション結果を見て売買ロジックを選択できる。

また、「トライオートFX」はレンジ相場に強いだけでなく、初心者にも玄人にも選ばれる多彩な機能を備えています。

米ドル円0.3銭、ユーロ米ドル0.3pipsなど業界最狭水準のスプレッドに加え、スマートフォン対応&1,000通貨にも対応。プログラムに任せる自動売買、自分の判断で行う裁量取引などあらゆるFXの投資スタイルに応えてくれるのが「トライオートFX」です。

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米国市場を中心に株式相場全体の雲行きが怪しい今、初心者・未経験者の方でも始められて、慣れてきたら自由に自分好みの設定で柔軟なFX取引ができる「トライオートFX」を試してみてはいかがでしょうか。

さらに今なら、「トライオートFX」で新規口座開設&一定額以上の取引を行えば、最大10万円をキャッシュバックするキャンペーンを実施中。この機会にぜひ、FX取引を始めてみませんか。

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【リスク・費用などについての重要事項】

本取引は、店頭外国為替証拠金取引であり、元本および利益が保証された取引ではありません。取引通貨の価格および金利等の変動により損失が生ずるおそれがあります。
また、スワップポイントが受取りから支払いに転じることもあります。
当社は、有効比率が一定水準以下となった場合、全建玉を自動的に強制決済( ロスカット)いたしますが、本取引は、預託すべき証拠金額以上の取引が可能なため、急激な相場の変動等によっては、証拠金の額を上回る損失が発生するおそれがあります。取引を開始されるにあたっては、本取引の仕組みやリスクを十分ご理解いただき、お客様自身の責任と判断で取引していただきますようお願いいたします。

  • 売買手数料について・マニュアル注文は新規注文・決済注文ともに無料です。
  • ・自動売買注文は上限として1,000通貨単位あたり20円(0.2/米ドル/スイスフラン/NZドル/ポンド/豪ドル)です。自動売買注文での建玉を手動で決済した場合も同様に手数料が発生します。
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  • 証拠金は、証拠金の25倍までのお取引が可能です。各通貨ペアの毎営業日の終値を基準価格として、その価格に応じた必要証拠金額(円換算額)を翌営業日に適応いたします。
    法人は各通貨ペアの毎営業日の終値に対し、金融先物取引業協会公表の為替リスク想定比率を加味した金額(円換算額)を適用いたします。
  • トライオートFXのリスク・重要事項については、こちらからご確認ください。

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source:インヴァスト証券

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