加計学園の獣医学部新設をめぐり、衆参両院は7月10日に、参考人として前川喜平前文科次官を呼び、官邸の圧力があったのかを審査しました。野党の質問にも、前川氏の答弁にも新しい事実はありませんでした。しかし、文部省OB で前川氏の元上司だった加戸守行前愛媛県知事や対談のゲストで国家戦略特区ワーキンググループ委員である原英史氏の発言にこそ、加計問題の本質が語られていました。
対談で原氏は「52年間も新しい獣医学部は認められていない。獣医学部の新設にどれだけ素晴らしい提案が出ても、文科省は文科省告示で審査もせずに排除できる。告示は国会で審議するわけでも、閣議決定するわけでもなく文科省が勝手に決めることができる」と異様な岩盤規制を語りました。櫻井キャスターが「文科省が勝手に決める裏側に何があるのか」と尋ねると、原氏は「約15倍の競争率のある既存獣医学部を持っている大学にとっては、新設で競争相手が増えて困るというのが理由でしょう」と答えました。
原氏は「国家戦略特区ワーキンググループは議事録をとった会議を10回以上行い、文科省とも徹底的に議論をしている。会議で文科省に需給調整をする規制が必要なら根拠を出してほしいとお願いしたがその答えが出てこなかった」と決定までのプロセスを語りました。櫻井キャスターは「前川氏は需給予測が示されないまま規制改革がされたと言っているが、文科省は示さなかった、示すことができなかった」と述べました。
番組後半で櫻井キャスターが「閉会中審議もそうだが、家計問題の全体像をメディアが伝えていない。国会での加戸さん、原さんの発言を産経、読売は前川発言と併記して伝えているが、朝日、毎日は記事にしていない。異様な岩盤規制を報ずるメディアが異常で、異様だ」と指摘しました。原氏は「メディアは安倍首相が利益誘導した、圧力をかけたと事実の基づかない憶測で記事を構成しており、閉会中審議でも加戸前愛媛県知事や私の発言は報道しない。公平でないマスコミは何だろうかと思う。国家戦略特区はトップダウンで、総理主導でやる仕組みです。獣医学部新設を検討したのは最初が今治ではなく、新潟が候補地で「加計ありき」などあり得ない」と語りました。
国家戦略特区問題などに最初から関わり、規制改革を論じてきた若き研究者との加計問題の本質を語る対談です。是非、ご覧ください。
≪対談で語られた論点≫
1.獣医学部新規参入は審査もせずに排除する
2.文科省告示は文科省で勝手に決められる
3.獣医師は足りているのか、いないのか?
4.強い規制が天下りを受け入れさせる土壌になる
5.野党の質問と前川発言だけを伝えるメディア
6.なぜ前川氏は今になって反発するのか
7.「政治主導」を喝采した人が、今度は批判するご都合逆転
8.安倍チームはどうしてこの逆風をひっくり返すか?
9.テレビニュース番組は「項目表」を公開すべきだ!
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原 英史
政策コンサルタント・元経産官僚
1966年東京都生まれ。東京大学法学部卒業、シカゴ大学大学院修了。通商産業省(現・経済産業省)入省後、中小企業庁制度審議室長、規制改革・行政改革担当大臣補佐官などを経て退職。2009年に株式会社政策工房を設立。大阪府・市特別顧問(2011年~)、内閣府・国家戦略特区ワーキンググループ委員(2013年~)、社会保障審議会年金事業管理部会委員(2015年~)、規制改革推進会議委員(2016年~)、NPO法人万年野党理事なども務める。著書:『日本人を縛りつける役人の掟/岩盤規制を打ち破れ』(小学館、2014年)、『国家と官僚』(祥伝社新書、2015年)など
※ プロフィールは放送日2017.07.14時点の情報です