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第8回 | Jeepの最新車デザイン・性能情報をお届け

Jeepレネゲード──5年分のアップデートの出来栄えは?

日本では販売台数が伸び悩んでいるアメリカ車のなかで、例外的に好調なのがFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)のSUVブランド「Jeep」だ。コンパクトクロスオーバーSUVの『レネゲード』は、その末弟となる。手頃な価格で軍用車両をルーツにもつJeepの雰囲気を愉しめるため、日本でも高い人気を集めるクルマである。この『レネゲード』初のマイナーチェンジモデルが2月下旬から販売を開始した。外観はキープコンセプトだが、新エンジンを搭載するなど、デビュー以来の進化が随所に見られる。

クライスラーとフィアットの統合によって誕生したJeepブランド初のコンパクトSUV

『レネゲード』は2014年に発表され、日本では2015年から販売されているJeep初のコンパクトSUVだ。車名のレネゲード(Renegade)は「背教者、反逆者」という意味。しかし、そのアウトローな名前とは真逆のポップなスタイリングをもち、都市部でも取り回しに困らないコンパクトなボディも相まって、隠れたヒットモデルとなっている。

このクルマの誕生にはFCAのアライアンスが深く関係している。じつは、Jeepブランドを有するクライスラーが2014年にイタリアのフィアットと完全統合してFCAとなり、両者の共同開発によって生み出された初のモデルが『レネゲード』なのだ。基本メカニズムはフィアットのコンパクトSUV『500X』と共有し、アメ車でありながら日本向けのモデルはイタリアで生産されるという少々変わった成り立ちをもつ。とはいえ、セブンスロットグリルや台形のホイールアーチなど、Jeepブランドの伝統はしっかり受け継いでいる。

これまで日本向けにも「ブラックエディション」「デザートホーク」「ナイトイーグル」といった特別仕様車が用意されてきたが、デザイン変更を伴うマイナーチェンジは初めて。今回の改良には、デビュー以来の「5年分のアップデート」が施されているのだ。

フロントとリヤが新デザインに。『ラングラー』譲りの意匠をもつヘッドライトに注目

マイナーチェンジのポイントは、大きく分けてふたつ。ひとつはフロントとリヤが新デザインになったこと。もうひとつは新世代エンジンを搭載したことである。

まずデザイン面では、グリルとバンパーからなるフロントフェイシアのカラーと形状が一新され、従来と比べて精悍さが増した印象だ。ヘッドライトとテールライトは、2018年にフルモデルチェンジを受けた兄貴分の新型『ラングラー』にインスピレーションを得ており、アイコニックな意匠に変更されたことでモダンな表情へと生まれ変わった。

ヘッドライトは、単にデザインを変えただけではなく、デイタイムランニングライト、ハイ/ロービーム、フォグランプのすべてを新設計LEDヘッドライトに統一。従来のキセノンヘッドライトに比べて明るさが20%向上し、夜間の視認性が大幅に高められている。このほか、アルミホイールが新デザインになり、ドアミラーの色がシルバーからグレーに変更されたことも新しい(「Limited」)。ドアミラーにはオート格納機能も追加されている。

外観と同様にポップなデザインのインテリアには、オーディオナビゲーションシステムの「Uconnect」に地上デジタルテレビチューナーが追加され、もちろんスマホと連携が可能だ。また、従来と同じく、「LaneSense車線逸脱警報プラス」や「ブラインドスポットモニター/リアクロスパスディテクション」といった先進安全装備が装備される。

まず「リミテッド」グレードのみが2月23日から日本で先行発売。価格は335万円

もうひとつのトピックとなるパワートレインは、ガソリンターボである点はこれまでと同じだが、1.4L直列4気筒マルチエアエンジンに代わって新世代の1.3Lマルチエア2エンジンが採用された。マルチエア2は、セントラルダイレクトインジェクション、インタークーラー付ターボチャージャー、スタート&ストップ機能を搭載し、優れたパフォーマンスと低燃費を両立する高効率エンジンだ。最高出力は11psアップの151ps、最大トルクは40Nm増となる270Nmを発揮。6速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を組み合わせる。燃費は、従来のカタログに記載されていたJC08モードより実用燃費に近いWLTCモードで13.5km/L。低燃費を謳うとおり、優れた燃費性能を発揮する。

グレード展開に変わりはない。これまでどおり「Longitude(ロンジチュード)」「Limited(リミテッド)」「Trailhawk(トレイルホーク)」の3タイプが導入される。まず中心的グレードの「リミテッド」が2月23日から国内先行発売され、価格を抑えたエントリーモデルの「ロンジチュード」と4WDモデルの「トレイルホーク」(メイン写真と下の写真)は春頃の発売を予定。「リミテッド」の価格は355万円(税込み)となっている。

日本の都市部でも使い勝手のいいコンパクトなボディ、老舗SUVブランドの「Jeep」を感じさせるデザイン、そして手頃な価格と、三拍子が揃った『レネゲード』。今回のマイナーチェンジにより、Jeepの末弟の魅力がさらにアップしたことは間違いない。

Text by Muneyoshi Kitani
Photo by (C) Fiat Chrysler Automobiles
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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Jeepウェイアウト──グラディエーターがキャンパーに!

4月にアメリカ・ユタ州グランド郡のモアブ国立公園で開催された「イースター・ジープ・サファリ」は、今年で53回目となるJeepファンに向けた恒例のイベントだ。Jeep各モデルの優れたオフロード性能を体験できるのと同時に、Jeepのコンセプトカーが発表される場としても注目を集める。今回もユニークな6台のコンセプトモデルが登場。ベースとなったのは、すべてピックアップトラックの『グラディエーター』である。

荷台上部に格納式テントとハシゴ。スタック脱出用ウインチも備える『ウェイアウト』

『グラディエーター』は、Jeepにとって数十年ぶりとなるピックアップトラックだ。見てわかるように、ベースは軍用車両の面影を色濃く残す本格クロスカントリーの『ラングラー』。しかし、フレームは専用設計で、全長もホイールベースもかなりストレッチされている。実車を目にすれば、その想像以上に巨大なボディに驚くことだろう。なにより軍用車にも似たルックスが男心を非常にくすぐるのだ。昨年11月にロサンゼルスでお披露目されると、各国の自動車メディアやジャーナリストがこぞって絶賛したくらいである。

今年の「イースター・ジープ・サファリ」では、この『グラディエーター』をベースにした6タイプのユニークなコンセプトモデルがファンに披露された。そのうちの一台の『ウェイアウト』は、なんとキャンピングカーにカスタマイズしたコンセプトモデルだ。

荷台上部に設けたフレームに格納式テントとハシゴを装備し、スタック(雪やぬかるみに車輪を取られて動けなくなる状態)した際の脱出用ウインチと川をわたるときに安定した吸気を可能にするシュノーケルも備える。カスタマイズのテーマは「冒険」だ。

モトクロスがテーマの『フラットビル』。レトロな雰囲気の『CJ8スクランブラー』

『フラットビル』のテーマはモトクロス。モトクロスバイクをイメージしたモデルで、荷台を取り囲んでいるあおりのうち、後部を取り除き大型モトクロスバイク2台の積載を可能にした。スキッドプレートを装着し、車両のオフロードの走破性も引き上げられている。

鮮やかなブルーメタリックのボディカラーが目を引く『J6』は、1970年代後半の2ドアのピックアップトラックをテーマにしている。4ドア・ダブルキャブの『グラディエーター』を2ドア・シングルキャブにカスタマイズすることで、往時の雰囲気を再現した。

『JTスクランブラー』もレトロな雰囲気だ。こちらは、1980年代のJeepのモデルのひとつ、『CJ8スクランブラー』を『グラディエーター』のボディを使って再現したもの。17インチのスロットホイールを装着し、リフトキットで車高を引き上げて大型の37インチタイヤの装着を可能にした。ボディのストライプと同色仕上げのホイールがクールだ。

6台のJeepコンセプトモデルを手がけたのはFCAのチューンナップ部門「Mopar」

6台のコンセプトモデルのカスタマイズを手がけたのは、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)のチューンナップパーツ部門であるMopar(モパー)。これらのカスタマイズには、すべてMoparブランドの「ジープパフォーマンスパーツ」を使用した。

Moparは、3月に『ラングラー』ベースの『Jeepラングラー ルビコン1941』というカスタムモデルを発表し、このクルマは今年夏ごろに正式リリースされる予定だ。もしかすると、このコンセプトモデルのなかから市販化されるモデルが登場するかもしれない。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Fiat Chrysler Automobiles
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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