200万円を切るお手頃な価格。『トゥインゴ』はフレンチコンパクトのベストセラー
現行の3代目『トゥインゴ』がワールドプレミアされたのは、2014年のジュネーブモーターショーでのこと。ダイムラー傘下のコンパクトカーブランド「smart」と提携したことにより、従来のFF(フロントエンジン・フロント駆動)レイアウトをもつ3ドアボディからRR(リヤエンジン・リヤ駆動)の5ドアとなったことが大きな話題となった。
しかし、ドイツメーカーとプラットフォームを共有化したとはいえ、ベーシックフレンチとしての魅力は損なっていない。2016年9月に日本上陸をはたすと、従来のフランス車ファンに加えて、200万円を切る低価格であったこともあり新たなユーザー層の開拓に成功した。いまや欧州はもちろん、日本でもルノーを代表する人気モデルとなっている。
この現行型のデビューからおよそ5年。よりベーシックな「ZEN」やルノー・スポールが手がけた「GT」の追加、さらに内外装に特別なコーディネートを施した特別仕様の限定車の発売などはあったものの、マイナーチェンジを受けるのは今回が初めてとなる。
最新デザインアイコン「Cシェイプ」の採用によってモダンでシャープなイメージへ
改良新型『トゥインゴ』の目玉は、エクステリアのデザインチェンジだ。フロントまわりが一新されたほか、ブラックだったサイドモールがカラー化されるなど、これまでのポップさを押し出した雰囲気がモダンでシャープなイメージへと刷新されている。
もっとも大きな変更点は、従来の独立した丸型LEDデイライトが廃止され、その機能がヘッドライト内に統合されたこと。デイライトはヘッドライトをぐるりと囲むような“Cシェイプ”となった。また、バンパーのブラックのモールが廃止され、ワイド感を強調するデザインとなり、全体的にシャープな印象となったことも新しい。このデザイン変更は、空力の改善にもつながっているようだ。なお、Cシェイプは、『メガーヌ』や先日フルモデルチェンジが発表された『クリオ』にも用いられる近年のルノーのアイコンである。
側面では、前述したとおりサイドモールがボディ同色になり、従来までスポーツグレードの「GT」にしかなかった左リアタイヤ上のエアインテークが全車に追加された。エアインテークはエンジンの冷却効率アップに寄与する。リヤも、やはりバンパーとランプユニットが一新された。テールランプも“Cシェイプ”である。ホイールのデザインも新しい。
インテリアではセンターコンソールの収納の形状が改められた。新たに二つのUSB操作ポートが設置されているが、注目は新しいインフォテイメント「EASY LINKマルチメディアシステム」の採用だろう。従来の『トゥインゴ』にはオーディオにディスプレイがなく、接続したスマートフォンをディスプレイ代わりにしていたが、新たに7インチのディスプレイが備わるタイプとなった。もちろん、Apple CarPlayとAndroid Autoにも対応する。そのほか、シフトレバーやリヤパーセルシェルフが新デザインとなっている。
新型『トゥインゴ』は142万円から。英国では販売されないが日本導入はどうなる?
パワートレーンに大きな変更はない。従来と同様に、2タイプの1.0L直列3気筒自然吸気エンジンと0.9L直列ターボエンジンの3種類が用意される。ただし、いずれも改良され、最高出力と最大トルクがともに向上。パワーにちなみ、3種類のエンジンはそれぞれ「SCe65」「SCe75」「TCe95」と呼ばれる。このうち「SCe65」と「SCe75」は5速MTのみだが、「TCe95」には6速EDC(エフィシェント・デュアルクラッチ)も設定される。
グレードは「LIFE」「ZEN」「INTENS」の3タイプ。スポーツウェアブランドの「le coq sportif(ル・コック・スポルティフ)」とコラボした「LE COQ SPORTIF」も用意された。本国の価格は、「LIFE」が1万1400ユーロから、「ZEN」が1万3500ユーロから、「INTENS」が1万4700ユーロから、「LE COQ SPORTIF LE」が1万5700ユーロからとなっている。邦貨換算すると142万円から196万円といったところだろう。
新たにシャープでモダンなエクステリアを手に入れたフレンチコンパクトのベストセラーモデル『トゥインゴ』。日本での発売が待ち遠しいが、気になるのは英国では発売しないというニュースだ。これが「右ハンドルの生産をしない」ということを意味するのなら、日本仕様はどうなるのだろうか。この心配が杞憂に終わってくれることを期待したい。
Text by Muneyoshi Kitani
Photo by (C) Renault
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)