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第19回 | ルノーの最新車デザイン・性能情報をお届け

ルノー トゥインゴ──よりモダンに進化した人気モデル

ルノー『トゥインゴ』は、Aセグメントに分類されるコンパクトカーだ。フランスらしさを感じられる小粋なパリっ子として、日本でも好事家を中心に多くのファンをもつ。ヨーロッパでも日本でもセールスは好調だが、現行型の登場から5年の時を刻んだことで、今年1月にマイナーチェンジが施された。注目すべきは刷新されたデザイン。これまでは愛らしい雰囲気をまとっていたが、新型はモダンでシャープな印象へと進化している。

200万円を切るお手頃な価格。『トゥインゴ』はフレンチコンパクトのベストセラー

現行の3代目『トゥインゴ』がワールドプレミアされたのは、2014年のジュネーブモーターショーでのこと。ダイムラー傘下のコンパクトカーブランド「smart」と提携したことにより、従来のFF(フロントエンジン・フロント駆動)レイアウトをもつ3ドアボディからRR(リヤエンジン・リヤ駆動)の5ドアとなったことが大きな話題となった。

しかし、ドイツメーカーとプラットフォームを共有化したとはいえ、ベーシックフレンチとしての魅力は損なっていない。2016年9月に日本上陸をはたすと、従来のフランス車ファンに加えて、200万円を切る低価格であったこともあり新たなユーザー層の開拓に成功した。いまや欧州はもちろん、日本でもルノーを代表する人気モデルとなっている。

この現行型のデビューからおよそ5年。よりベーシックな「ZEN」やルノー・スポールが手がけた「GT」の追加、さらに内外装に特別なコーディネートを施した特別仕様の限定車の発売などはあったものの、マイナーチェンジを受けるのは今回が初めてとなる。

最新デザインアイコン「Cシェイプ」の採用によってモダンでシャープなイメージへ

改良新型『トゥインゴ』の目玉は、エクステリアのデザインチェンジだ。フロントまわりが一新されたほか、ブラックだったサイドモールがカラー化されるなど、これまでのポップさを押し出した雰囲気がモダンでシャープなイメージへと刷新されている。

もっとも大きな変更点は、従来の独立した丸型LEDデイライトが廃止され、その機能がヘッドライト内に統合されたこと。デイライトはヘッドライトをぐるりと囲むような“Cシェイプ”となった。また、バンパーのブラックのモールが廃止され、ワイド感を強調するデザインとなり、全体的にシャープな印象となったことも新しい。このデザイン変更は、空力の改善にもつながっているようだ。なお、Cシェイプは、『メガーヌ』や先日フルモデルチェンジが発表された『クリオ』にも用いられる近年のルノーのアイコンである。

側面では、前述したとおりサイドモールがボディ同色になり、従来までスポーツグレードの「GT」にしかなかった左リアタイヤ上のエアインテークが全車に追加された。エアインテークはエンジンの冷却効率アップに寄与する。リヤも、やはりバンパーとランプユニットが一新された。テールランプも“Cシェイプ”である。ホイールのデザインも新しい。

インテリアではセンターコンソールの収納の形状が改められた。新たに二つのUSB操作ポートが設置されているが、注目は新しいインフォテイメント「EASY LINKマルチメディアシステム」の採用だろう。従来の『トゥインゴ』にはオーディオにディスプレイがなく、接続したスマートフォンをディスプレイ代わりにしていたが、新たに7インチのディスプレイが備わるタイプとなった。もちろん、Apple CarPlayとAndroid Autoにも対応する。そのほか、シフトレバーやリヤパーセルシェルフが新デザインとなっている。

新型『トゥインゴ』は142万円から。英国では販売されないが日本導入はどうなる?

パワートレーンに大きな変更はない。従来と同様に、2タイプの1.0L直列3気筒自然吸気エンジンと0.9L直列ターボエンジンの3種類が用意される。ただし、いずれも改良され、最高出力と最大トルクがともに向上。パワーにちなみ、3種類のエンジンはそれぞれ「SCe65」「SCe75」「TCe95」と呼ばれる。このうち「SCe65」と「SCe75」は5速MTのみだが、「TCe95」には6速EDC(エフィシェント・デュアルクラッチ)も設定される。

グレードは「LIFE」「ZEN」「INTENS」の3タイプ。スポーツウェアブランドの「le coq sportif(ル・コック・スポルティフ)」とコラボした「LE COQ SPORTIF」も用意された。本国の価格は、「LIFE」が1万1400ユーロから、「ZEN」が1万3500ユーロから、「INTENS」が1万4700ユーロから、「LE COQ SPORTIF LE」が1万5700ユーロからとなっている。邦貨換算すると142万円から196万円といったところだろう。

新たにシャープでモダンなエクステリアを手に入れたフレンチコンパクトのベストセラーモデル『トゥインゴ』。日本での発売が待ち遠しいが、気になるのは英国では発売しないというニュースだ。これが「右ハンドルの生産をしない」ということを意味するのなら、日本仕様はどうなるのだろうか。この心配が杞憂に終わってくれることを期待したい。

Text by Muneyoshi Kitani
Photo by (C) Renault
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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第21回 | ルノーの最新車デザイン・性能情報をお届け

EZアルティモ──ジュエリーのような観光地用タクシー

世界各国のモーターショーを見ていると、いま自動車業界で「電動化」「自動化」がトレンドになっていることがよくわかる。ヨーロッパのプレミアムブランドが発表するコンセプトモデルは、ほとんどが自動運転のEVだ。そのなかでも、まるでパリの宝飾店に飾られたジュエリーのように美しい自動運転EVを発表したのがルノーである。モデル名は『EZアルティモ』。このクルマ、観光地めぐりのための短距離移動EVなのだという。

アプリで呼び出す。個人やハイブランドに向けた短距離移動用のラグジュアリーカー

見てとおり、『EZアルティモ』は極めてスタイリッシュだ。ボディ素材にアルミを使い、サイドからリアにかけてルノーのエンブレムであるダイヤモンドのパターンをあしらっている。フロントセクションのデザインといい、近未来のクルマといった趣だ。

ルノーは、このクルマを短距離移動向けのラグジュアリーカーと位置づけ、パリの観光地めぐりなどを提案している。もう少し具体的にいえば、個人やハイエンドブランドによるホテルや空港への顧客輸送手段、また、裕福な人々の観光用モビリティとして使われることを想定しているという。パブリックな乗り物であるタクシーに近い形態かもしれない。したがって、スマートフォンアプリを操作して個人の送迎車として使用することも可能だ。

とはいえ、その低く長いスタイルはミニバンのユーティリティさとは異なる。写真で確認する限り、全高はヨーロッパの女性の胸の位置よりも低い。一方、全長はロールス・ロイス『ファントム』と同等の5800mmもある。利便性よりもデザインに徹したのだろう。

限定エリア内ならすべての操作が完全に自動化される「自動運転レベル4」を実現

スライド式のドアを開けると、室内はラウンジのような雰囲気で、乗員が向かい合って座るようになっている。大型のアームチェアと2人がけソファはベルベット仕上げ。フロアは寄せ木作りとなっている。座席が少ないのは少人数での移動を想定しているからだ。

ドライバーズシートは見当たらない。それでわかるように、『EZアルティモ』は「0」から「5」まである自動運転の技術到達度で、「レベル4」を実現する。これは限定エリア内において、緊急時を含めてすべての操作が完全に自動化されるということである。

航続距離は500km。一般のユーザーが日常使い用のEVを購入する際に許容できるギリギリの航続距離だ。広大な北米大陸なら実用的ではない。アプリを立ち上げて10kmだけ乗るような使い方を念頭に置いており、端から長距離移動は考えていないのだろう。

近い将来市販化されるのはライドシェアリング向けの6シーター車『EZゴー』から?

すでにルノーは『EZゴー』『EZプロ』という2台の自動運転EVコンセプトを発表している。前者はライドシェアリング向けの6シーター車、後者は配達車だ。少人数が短距離を移動するための『EZアルティモ』は、このEZシリーズの最上位モデルとなる。

市販化されるとすれば、まず『EZゴー』か『EZプロ』からだろう。しかし、その前に自動運転EVの技術を現行ラインナップや新たな乗用車に搭載するはず。いずれにせよ、宝飾品のような自動運転タクシーが実用化される未来がすぐそこまでやって来ているのだ。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Renault
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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