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第61回 | BMWの最新車デザイン・性能情報をお届け

これはもはやモデルチェンジだ──ニューBMW 7シリーズ

フラッグシップクーペ『8シリーズ』に、フラッグシップSUV『X7』。立て続けに最上級クラスの新型を導入しているBMWだが、ついに本命が登場した。フラッグシップサルーン『7シリーズ』の改良新型だ。発表の舞台となったのは上海モーターショー。『7シリーズ』の世界販売台数の44%が中国市場であることを考えれば、これは妥当な選択だろう。現行型『7シリーズ』がデビューしてからおよそ3年半。どのように進化したのか見ていこう。

フラッグシップサルーンの象徴。旗艦SUV『X7』と同じ大型キドニーグリルを採用

フルモデルチェンジと比べると、改良、つまりマイナーチェンジは「なんとなく雰囲気が変わった」という程度の進化だと思うかもしれない。しかし、新型『7シリーズ』はビックマイナーチェンジと呼んでよいほど、従来と印象が異なる。その最大の理由が、従来比40%も大型化されたキドニーグリルだ。同じ「7」の名を冠する『X7』に採用された最新デザインを踏襲しており、フラックシップサルーンであることを強く主張している。

グリル変更に合わせて、フロントマスクも変更された。「BMWレーザーライト」をオプションで選択できるヘッドライトは、スリムな形状へ進化。バンパーにはクロームメッキのトリムが多用された。細めのヘッドライトとクロームメッキトリムのバンパーによって、スタイリッシュさと威厳、そしてラグジュアリー感を兼ね備えたしつらえとなっている。

リアの形状も大幅に変更。35mm幅と、薄型の3DタイプのLEDテールランプを採用し、左右をつなぐデイタイムライトストリップを新しく設けたことで、水平基調のワイド感がさらに高まった。エキゾーストパイプに装着されたマフラーエンドはバンパーと一体型だ。こちらもクロームメッキが施されて高級感が醸し出される。

デジタルメーターパネルとコントロールディスプレイにより操作性を高めたコックピット

インテリアはスタイリッシュで洗練されている。キルティングを施した高級な革張り、上質な木製デコレーションパネル、間接照明のアンビエントライトなどにより、調和のとれた贅沢な雰囲気が漂う。また、吸音ガラスの採用などで音響特性が強化され、同時に防音性能も向上。長距離を移動するドライブでも快適な空間を保ってくれそうだ。

コックピットには、「BMWライブコックピットプロフェッショナル」を標準装備。12.3インチの「デジタルメーターパネル」と10.25インチの「コントロールディスプレイ」が組み合わされた。このうち、デジタルメーターパネルにはナビゲーションの地図を表示するスペースをはじめ、個別に選択した情報を表示できるスペースが設けられている。そして、コントロールディスプレイは、わかりやすい表示や構成に加え、好みに応じてカスタマイズも可能。ドライバーに必要な情報を、常に適切なタイミングで提供してくれる。

操作性では、「BMWオペレーティングシステム7.0」を採用。おもな機能は「コントロール・ディスプレイのタッチ操作」「iDrive タッチ・コントローラー」「ステアリング・ホイールの操作部」「音声入力」「BMWジェスチャー・コントロール」の5つ。このなかから状況に応じて適切な操作方法を選択することができる。

BMWも対話型インフォテイメントシステムを搭載。「OK、BMW」で車内環境を最適化

新世代の車載コネクティビティシステム、「BMWインテリジェントパーソナルアシスタント」の搭載もトピックスだ。「OK、BMW」と呼びかけると音声アシストが起動し、リクエストすることで照明や空調、ミュージックなどを最適にコントロールしてくれる。音声アシスタントはAIを活用しているので、当然ながら使えば使うほど賢くなっていく。リクエストも抽象的で大丈夫だ。たとえば、「OK、BMW、少し疲れたよ」と言うだけで、リラックスできる空調や照明、音楽などにより室内を最適化してくれる。

ドライバーアシスタントシステムやパーキングアシスタントシステムが充実している先進技術も、『7シリーズ』の特徴だ。今回の改良では、フロントウインドウに設置されたステレオ・カメラが車線と前方車両を検知し、車線の中央付近を走行するようにステアリングを自動でアシストする「ステアリング&レーンコントロールアシスト」、さらに、直前に前進したルートを最大50mまで記憶し、その同じルートをバックで正確に戻る「リバースアシスト」を新しく採用した。もちろん、従来の運転支援機能、予防安全機能も引き続き搭載されている。

走行性能では快適な乗り心地とダイナミックなパフォーマンスのバランスを重視。「アダプティブサスペンション」「2軸エアサスペンション」を標準装備し、アクティブな制御でロールを安定化する「インテグラルアクティブステアリング」をオプションで設定した。

改良新型BMW『7シリーズ』は欧州で4月発売。日本には今年夏以降に上陸する?

エンジンのライナップは、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、プラグインハイブリッドの3種類。

ガソリンエンジンを積んだモデルでは、「M760Li xDrive」が頂点だ。6.6L V12エンジンを搭載し、最高出力585hp/5250〜5750rmp、最大トルク850Nm/1600-4500rpm。最高速度はリミッターの作動により250km/hに抑えられたが、0-100kmの加速は3.8秒を誇る。

中核を成すモデルは「750i xDrive」。4.4L V8エンジンを搭載し、最大出力は530hp/5500〜6000rpm、最大トルクは750Nm/1800〜4600rpmを発揮する。最高速度は、やはりリミッターの関係で250km/hに抑えられ、0-100kmの加速は4.0秒。このスペックは、ロングホイールベースの「750Li xDrive」も同じである。

ディーゼルエンジンを搭載したモデルは、「750d xDrive」「740d xDrive」「730d xDrive」「730d」の4モデルで、それぞれにロングホイールベースの「L」が存在する。そして、プラグインハイブリッドモデルは「745e」。最大出力286hp/5000-6000rpm、最大トルク450Nm/1500-3500rpmの3.0L直6ターボと、最大出力113ps、最大トルク265Nmを発揮するモーターの組み合わせ。最高速度は、やはりリミッターの関係で250km/h。モーターだけでも140km/hまで加速できる。また、EVとして50〜58kmは走行することが可能だ。

新型『7シリーズ』は欧州で4月からの発売が予定されており、日本にも夏以降に上陸するとされている。改良型とはいえ、新世代BMWのデザインアイコン、最先端の運転支援機能、そして音声アシスタントと、かなり変更点が多いので、日本での発売が楽しみだ。

Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) BMW AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
The new BMW 7 Series オフィシャル動画
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第62回 | BMWの最新車デザイン・性能情報をお届け

最上級で贅沢なオープン──BMW 8シリーズ カブリオレ

初夏になると、クルマのルーフを開けてオープンエアを愉しみたくなる。しかし、この新型オープンモデルが似合う場所は、蒸し暑い日本の夏ではなく、地中海やマイアミの高級リゾート地なのかもしれない。それほどまでに、贅沢でエレガントなのである。昨年、じつに20年ぶりとなる復活を遂げたBMW『8シリーズ』。このフラッグシップクーペに今回、カブリオレが追加された。「最上級」という言葉がふさわしいオープントップモデルだ。

クーペの美しさと運動性能、オープンモデルならではの開放感や優雅さを兼ね備える

ヨーロッパの人々は太陽を浴びることが大好きだ。ほとんどのラグジュアリークーペには、当然のようにオープントップモデルが設定されている。昨年6月、ル・マン24時間レースにおいて、およそ20年ぶりに復活したBMW『8シリーズ』が発表されたときから、多くの自動車ファンはカブリオレの登場を予感していたことだろう。そもそも、BMWには開発当初からオープンモデルをラインナップに追加する前提があったに違いない。

BMW『8シリーズ カブリオレ』は、『6シリーズ カブリオレ』の実質的な後継となるオープントップモデルである。むろん、ベースは最上級クーペの『8シリーズ クーペ』。低く伸びやかなシルエット、美しいルーフライン、艶麗なリヤフェンダーの造形が醸し出す優雅さ。そうした官能的な個性が際立つ『8シリーズ クーペ』の美しいデザインと運動性能をそのまま受け継ぎながら、オープンモデルならではの開放感や優雅さを備える。

エクステリアでは、リヤホイールへの力感を表現するボディサイドのキャラクターラインが目を引く。さらに、キドニーグリルやデッキを取り囲むモールディングなどにクローム加飾をアクセントとして採用。専用の20インチ・マルチスポークホイールの繊細なデザインと相まって、クーペ以上に洗練されたラグジュアリーさを強く感じさせる佇まいだ。

滑らかな流線形を描く電動式ソフトトップ。シフトノブはなんとクリスタル仕立て!

ルーフは電動式のソフトトップで、エレガントなボディ造形にふさわしく、滑らかな流線形を描くように丸みを帯びたデザインとなっている。ルーフを閉じた状態でも、上質さや優雅さはまったく損なわれない。ルーフは時速50km/h以下なら走行中でも約15秒で開閉することが可能だ。ルーフオープン時もラゲッジルームは250Lの容量を確保する。

室内は、エクステリアと見事に調和した高級感をまといつつ、前後方向への意識を強調するように設計されているのが特徴だ。具体的には、乗員の視線が自然と前方へ向かい、走りへの期待感を煽るようなデザインとなっている。また、高い操作性を確保するためにスイッチ類をグループ分けし、ドライビングを妨げないポジションにわかりやすく配置した。

注目は非常に高い透明度のクリスタルで作られたシフトノブ。クラフテッド・クリスタル・フィニッシュを採用し、なかから数字の「8」が浮かび上がる仕様となっている。シートはベンチレーション付きの上質なメリノレザー。アンビエント・ライトを標準装備しているので、ラグジュアリーオープンモデルであることを乗るたびに感じさせてくれるだろう。

『8シリーズ カブリオレ』の加速性能はピュアスポーツカー並。価格は1838万円

搭載されるパワーユニットは、『8シリーズ クーペ』と同様の4.4L V型8気筒ガソリンエンジン。最高出力530ps/5500-6000rpm、最大トルク750Nm/1800-4600rpmを発生し、8速スポーツAT(ステップトロニック付き)を組み合わせる。0-100km/h加速は「8」の名にふさわしく、3.9秒を実現。これはピュアスポーツカーに匹敵する動力性能だ。

なお、ドイツ本国やヨーロッパでは上記のエンジンを積む「M850i xDrive」のほかに、経済的な3.0L直列6気筒ターボディーゼルエンジンを搭載する「840d xDrive Mスポーツ」も選べるが、日本国内で販売されるのは現時点で「M850i xDrive」のみとなっている。

価格は『8シリーズ クーペ』より124万円アップとなる1838万円。高価なうえに、これだけのラグジュアリーオープンが似合うロケーションは国内ではなかなか見当たらない。とはいえ、オープンエアの季節だけに、所有欲を強く刺激するのはたしかだろう。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) BMW AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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