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第34回 | ランボルギーニの最新車デザイン・性能情報をお届け

猛牛を手懐けろ──次世代ランボルギーニ ウラカンEVO

『ウラカン』は、ランボルギーニ史上最大のヒットモデルである『ガヤルド』の後継として2014年にデビューした。シリーズにはさまざまなモデルがライナップされているが、そのなかでも最強のポテンシャルを持ち、ドイツのニュルブルクリンク・サーキット北コースで量産車として史上最速のラップタイムとなる「6:52:01」を記録したのが、『ウラカン ペルフォルマンテ』だ。この『ペルフォルマンテ』をベースに、最新技術によって次世代のランボルギーニへと進化したモデルがデビューした。『ウラカンEVO』である。

進化したのは見た目じゃない。エアロダイナミズムと最先端テクノロジーに注目せよ

『ウラカンEVO』のEVOは、言わずもがな「Evolution(進化)」のEVOだ。ランボルギーニのモータースポーツ部門、スクアドラ・コルセによる『ウラカンGT3 EVO』や『ウラカン スーパートロフェオ EVO』といったレーシングカーにもその名が使われている。

しかし、エクステリアからは、その進化をすぐに読み解くことは難しいだろう。もちろん、フロントバンパーやホイールなどのデザインは微妙に変更されている。インテリアでは、センターコンソールに「8.4インチHMIタッチスクリーン」を配置したことがトピックスだ。従来のボタン類を廃してデジタル化し、スクリーンに指でタッチするだけで「LDVI」システムの状態、シートポジション、温度調節、オーディオなど、すべてのドライビング・ダイナミクスの制御とエンターテインメント機能の操作が可能になった。また、室内灯はドライビングモードに合わせて変更されるという。

パワートレインにも大きな変更はない。ベースの『ペルフォルマンテ』と同じ5.2L V10エンジンだ。スペックも同様で、最高出力640hp(470kW)/8000rpm、最大トルク600Nm/6500rpm。ここに7速デュアルクラッチLDF(ランボルギーニ・ドッピア・フリツィオーネ)が組み合わされ、0-100km/h加速は2.9秒、0-200km/h加速は9秒フラット、最高速は325km/hに達する。

では、いったいどこが進化したのか。それは、エアロダイナミズムと最先端テクノロジーの大幅な改良による走行性能の進化だ。まずエアロダイナミズムでは、アンダーボディを流れる空気を制御するフロントスプリッターや大型化されたエアインテークの採用により、第一世代『ウラカン』と比べて5倍ものダウンフォースと空力性能を実現した。

最先端テクノロジーでは、ドライビング・ダイナミクスを制御するすべてのシステムに改善がはかられるとともに、新技術も導入されている。それが、「LDVI(ランボルギーニ・ディナミカ・ヴェイコロ・インテグラータ)の採用だ。「LDVI」は、『ウラカン EVO』に搭載されているさまざまなテクノロジーを統合制御する頭脳のような役割を持つ。

車両の頭脳「LDVI」のもと、数々の最先端テクノロジーが求める挙動を忠実に実現

『ウラカンEVO』は、テクノロジーの固まりだ。まず、車両の挙動を正確にリアルタイムに計測するのは、加速度センサーとジャイロスコープセンサーを搭載する「LPI(ランボルギーニ・ピアッタフォルマ・イネルツィアーレ)」である。

垂直方向のダイナミクスは「LMS(磁気レオロジー・サスペンション)」が制御し、横方向の車両ダイナミクスを制御するのは「ステアリング・システム」だ。「ステアリング・システム」では、「トルク・ベクタリング」と「トラクション・コントロール」とが一体となり縦方向のダイナミクスが決定される。

この「ステアリングシステム」は、さらに個別のテクノロジーが複雑に絡み合う。「トルク・ベクタリング」と「AWD(2軸間の常時トルク配分)」を利用し、「LDS(ランボルギーニ・ダイナミック・ステアリング)」と「LAWS(ランボルギーニ・オールホイール・ステアリング)」が四輪を制御しているのだ。これらのさまざまなテクノロジーを統合制御しているのが、前述の「LDVI」である。ドライバーの意志を理解し、必要があれば車両の挙動を事前に予測して最適化し、求める車両の挙動を忠実に実現してくれる。

『ウラカンEVO』の価格は2984万円。ひと昔前の扱いづらい猛牛はもう存在しない

意訳だが、ランボルギーニのステファノ・ドメニカリCEOは「どんな環境でも運転がしやすく、高い応答性や感覚的なドライビング体験を提供できる」とコメントしている。もちろん、車両の挙動、システムのすべてを統合制御し、ドライバーの次の動きやニーズをも予測する「LDVI」があってのこと。ひと昔前の扱いづらい猛牛は、ここには存在しない。

希望小売価格は、2984万3274円(消費税を除く)。これだけの最先端テクノロジーや動力性能を備えた一台だけに、相応の値段だろう。限られた富裕層にしか手が届かない別次元の存在だが、憧れは尽きない。

Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) Automobili Lamborghini S.p.A.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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Lamborghini Huracán EVO オフィシャル動画
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第37回 | ランボルギーニの最新車デザイン・性能情報をお届け

最強オープン──アヴェンタドールSVJロードスター

『イオタ』の名は、ある世代の男たちにとって特別な響きをもつ。言わずとしれたランボルギーニの幻のスーパーカーである。この『イオタ』に由来する車名を与えられ、900台が昨年限定発売された『アヴェンタドールSVJ』は、“史上最強のアヴェンタドール”として大きな話題となり、瞬く間に完売となった。その興奮が収まらぬなか、さらなる魅力を加えた一台が登場した。オープントップモデルの『アヴェンタドールSVJロードスター』だ。至高のV12サウンドをオープンエアで愉しむ。こんな贅沢がほかにあるだろうか。

伝説の「J」再び。最速記録をもつ『アヴェンタドールSJV』のオープンバージョン

スーパーカー世代の男性は、「SVJ」という三文字に胸を踊らせるに違いない。1969年に先行開発の名目でたった一台だけが作られ、のちに事故で失われた伝説の実験車両「J」。その純正レプリカにつけられた名前だからだ。レプリカは『イオタ(Jota)』、あるいは『ミウラSVJ』と呼ばれている。「SVJ」は「スーパーヴェローチェ イオタ」の略だ。

ベースとなったのはランボルギーニ初のミッドシップスポーツカー『ミウラ』。生産台数については諸説あるが、6台、または8台ともいわれる。まさに幻のスーパーカー。だからこそ、『アヴェンタドール』シリーズの頂点に立つ存在として「SVJ」の名をもつモデルが登場したとき、ランボルギーニファンやスーパーカーファンが沸き立ったのである。

『アヴェンタドールSJV』が搭載するのは、最高出力770ps/8500rpm、最大トルク73.4kg-m/6750rpmを発生する6.5L V型12気筒エンジン。出力とトルクは、標準モデルよりもそれぞれ30hpと30Nm高められている。その圧倒的なパフォーマンスは、ニュルブルクリンク北コース“ノルドシュライフェ”での量産車最速タイム(当時)で証明済みだ。

従来の最速タイムは、昨年9月にポルシェ『911 GT2 RS』が記録した6分47秒3。『アヴェンタドールSJV』は、それを2秒以上も短縮する6分44秒97という驚異的なタイムを記録した。この最速クーペのオープンバージョンとなるのが、3月のジュネーブモーターショー2019でお披露目された『アヴェンタドールSJVロードスター』だ。

0-100km/h加速は驚異の2.9秒。ランボルギーニ史上“最速・最強”のロードスター

オープントップには『アヴェンタドールSロードスター』と同様の脱着式ルーフを採用した。ルーフは左右2分割式のカーボンファイバー製で、これを手動によって取り外す。クルマを降りなければならないが、オープン化の作業は非常に簡単で、ルーフも軽量。取り外したルーフはフロントのボンネット内にきれいに収納できるように設計されている。

電動で開閉するリヤウインドウを新たに採用したのもトピックだろう。ルーフを着けたクローズドの状態でも、ここを開ければV12サウンドをより愉しむことができるのだ。

脱着式ルーフにあわせてリヤのエンジンパネルの形状もフラットなものへと変更された。ただし、パネルにデザインされたランボルギーニファンにおなじみのY字は健在だ。そのほかのエクステリアはクーペを継承。大型エアインテーク、ワイドなサイドスカート、ヘキサゴン型スポイラー、リヤでは高い位置に設置された大型リアウィングが目を引く。

オープン化によって車重はクーペより50kgほど重くなっているが、それでも1575kg程度に収まっている。全長4943mm×全幅2098mm×全高1136mmものボディサイズをもち、12気筒エンジンを搭載するスーパーカーであることを考えると望外に軽量だ。それにより生み出されたパワーウエイトレシオはわずか2.05kg/hp。0-100km/h加速は驚異の2.9秒、0-200km/h加速は8.8秒でこなし、最高速度は350km/h超をマークする。

可変型エアロダイナミクスの搭載により、トップスピードを落とさず空力性能を強化

特筆すべきは「ALA2.0(アエロディナミカ・ランボルギーニ・アッティーヴァ2.0)」と呼ばれるテクノロジーの装備だろう。『アヴェンタドールSJVロードスター』が搭載するのは、クーペと同じ最高出力770ps の V12エンジン。この強力なパワーユニットを軽量ボディに積めば、車体を制御できず、フロントから浮き上がって一回転しかねない。

そこで、トップスピードを落とすことなくダウンフォースを強化する、ランボルギーニの特許技術である「ALA」が必要となるのだ。「ALA」は、簡単にいうと能動的に空力の負荷を軽減してくれる可変型エアロダイナミクスのこと。速度ではなく、車両状態に連動するという特徴をもつ。フロントスプリッタとエンジンフードのアクティブフラップをモーター制御することにより、フロントとリヤの空気の流れをコントロールしてくれる。

この「ALA」と、搭載されたすべての電子装置をリアルタイムで管理し、加減速やローリング、ピッチング、ヨーイングといった車両の挙動を常に把握する「ランボルギーニ・ピアッタフォルマ・イネルツィアーレ」(LPI)が連動し、あらゆる走行条件下で最高の空力設定を整えてくれる。さらに、曲がる方向に応じて「ALA」の設定をスポイラーの左右いずれかに切り替え、どちらかに多く気流を発生させる「エアロ・ベクタリング」も備える。

駆動方式は四輪駆動で、フロントアクスルとリアアクスルとの間トルク配分は道路条件、グリップ、ドライビングモードに応じて、リアルタイムに変化する。また、後輪操舵システム「ランボルギーニ・リアホイール・ステアリング」や磁性流体プッシュロッド式のアクティブサスペンションを採用し、高次元のドライビングダイナミクスを実現した。

走行モードは、標準の「STRADA(ストラーダ)」、スポーティな走りの「SPORT(スポーツ)」、サーキット走行向けの「CORSA(コルサ)」、そしてこの3種類をベースに自分好みにカスタマイズすることができる「EGO(エゴ)」の4種類から選択可能だ。

『アヴェンタドールSVJロードスター』は800台限定生産。価格は6171万4586円

インテリアは航空機に着想を得たデザインとなっており、ドアやメータークラスター、コンソールなどにカーボンファイバーを採用。シートやダッシュボード上部、コンソールボックスにはレザーやアルカンターラを使用している。また、コクピットの随所にもY字デザインがあしらわれ、「SVJ ロードスター」のインテリアプレートも装備する。

限定生産台数はクーペよりも100台少ない800台。日本での価格は、クーペからおよそ600万円高となる6171万4586円(税込み)と発表されている。しかし、これはあくまでも参考価格だ。ランボルギーニは、顧客の要望に応じてボディカラーやインテリアに事実上無限の選択肢を用意しており、それらによって価格も大きく変動する。

ランボルギーニのフラッグシップモデル『アヴェンタドールSVJ』のずば抜けたパフォーマンスはそのままに、オープン化をはたした『アヴェンタドールSVJロードスター』。シリーズ最速・最強の称号をもつオープンモデルの上陸がいまから楽しみでならない。

Text by Muneyoshi Kitani
Photo by (C) Automobili Lamborghini S.p.A.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Lamborghini Press Conference – ジュネーブモーターショー2019
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