オシャレでコンパクト、価格も手頃。ユーザーの平均年齢が若いメルセデス・ベンツ
『CLAクーペ』は、ハッチバックの『Aクラス』と基本コンポーネントを共有する4ドアクーペだ。『Eクラス』をベースとする『CLSクーペ』の弟分にあたる。コンパクトで取り回しがよく、価格も手頃。それでいてスタイリッシュなデザインをもつことから、メルセデス・ベンツのラインナップのなかではユーザーの平均年齢が若いモデルでもある。
今年1月にラスベガスで開催されたCES(旧コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)2019で発表された2代目『CLAクーペ』は、ベースの『Aクラス』のフルモデルチェンジを受けてのもの。当然、メカニズム面は新型『Aクラス』に準じているが、対話型音声アシスタントシステムの「MBUX」はアップデートされた最新バージョンを搭載する。
ダイムラー次期CEOのオラ・ケレニウス氏は、発表会場で「我々の2018年の努力の結晶だ」と語っていたが、新型『CLAクーペ』に対する自信がうかがえるだろう。
最新の「プレデター・フェイス」を採用し、ボディの大型化に伴って室内空間も拡大
スタイリング自体は、先代『CLAクーペ』と大きく変わっていない。サメの尖った鼻先を思い起こさせる傾斜したノーズ、パワードームと呼ばれるボンネットのプレスライン、ロー&ワイドなフォルムと、従来と同じくスポーティでスタイリッシュだ。しかし、フロントマスクには新型『Aクラス』と同様にプレデター・フェイスが採用され、リヤではナンバープレートをトランクリッドからバンパーに移設。より伸びやかな印象となった。ハッチバックの『Aクラス』と異なりサッシュレスドアが採用されているのも先代と同様である。
先代との大きな違いは、ボディサイズだ。全長4688mm×全幅1830mm×全高1439mmと、初代に比べて48mm長く、53mm広く、わずかに2mm低くなった。これは室内空間の拡大を求めるユーザーの声に応えたもので、特にひじまわりは前席35mm、後席も44mm拡大された。コンパクトさが魅力だったため、全幅が1800mmを超えてしまったことは少々残念だが、大型化は世界的な流れなので仕方ないところだろう。
最新版「Hey!メルセデス」。ジェスチャーコマンド対応のMBUXインテリアアシスト
内装は基本的に『Aクラス』を受け継いでいる。タービン状のエアダクトが特徴的なインパネは、従来のようなメーターフードを持たず、連続した2つの大型タッチスクリーンが設置された。新世代のメルセデス・ベンツであることを主張するデザインだ。
ハイテク装備のトピックは、「Hey!メルセデス」のかけ声で起動する対話型インフォテイメントシステム「MBUX」に、新たに「MBUXインテリアアシスト」が導入されたことだろう。これは手をかざすだけで操作可能なジェスチャーコマンドのことで、タッチスクリーンやセンターコンソールのタッチパッドに手を近づけるだけで画面の操作ができたり、助手席の方向に手を伸ばすと室内照明を点灯させたりすることができる。
新型『Aクラス』もそうだったが、こうした先進装備を『Sクラス』などの上級モデルではなく身近なモデルから採用していくのは、最近のダイムラーの戦略のようだ。
外装にオレンジのアクセントが入るデビュー記念モデル「エディション1」を設定
新型『CLAクーペ』のバリエーションは現在のところ、最高出力225ps、最大トルク350Nmを発揮する2.0Lガソリンターボに7速DCTを組み合わせる「CLA250」のみ。FF(前輪駆動)と四輪駆動の4MATIC(4マチック)が選択可能だ。エクステリアにオレンジのアクセントが入るデビュー記念の「エディション1」も設定される(写真のモデル)。
今後は、『Aクラス』に準じた「180」やAMGモデルの「AMG CLA 35」「AMG CLA 45」なども追加される見込みだ。好評のシューティングブレークも加わるに違いない。
いち早くニューモデルを手に入れたいなら「エディション1」で決まりだが、そうでなければ追加ラインナップを待ってもいいだろう。どちらにしても国内導入が待ち遠しい。
Text by Muneyoshi Kitani
Photo by (C) Daimler AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)