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第15回 | ランドローバーの最新車デザイン・性能情報をお届け

レンジローバー イヴォーク──新型はさらにエッジーだ

イーストエンド・オブ・ロンドンとは、その名の通りシティ(ロンドン市)の東側、つまりテムズ川の左岸一帯を指す。工場が建ち並ぶ港湾地区といった印象もあるが、今では別の表情が注目されている。アーティストやデザイナー、ミュージシャンが集まり、カルチャーシーンを牽引するエッジの立ったアートの街だ。そのイーストエンド・オブ・ロンドンで発表されたことが、このクルマの性格を端的に表している。『レンジローバー イヴォーグ』。ランドローバーがプレミアムスモールSUVに新しい価値を提供したエッジの立った一台が、デビュー以来、初のフルモデルチェンジをはたした。

新型『イヴォーク』は、クーペスタイルを維持しながらよりモダンなスタイリングへ

初代の『レンジローバー イヴォーク』は、2010年にデビューした。SUVの王道ブランド「レンジローバー」が持つ本格的なオフロード性能やプレミアム感といったDNAを受け継ぎながら、よりスタイリッシュなデザインとタウンユースに向いたサイズにより、ラグジュアリーコンパクトSUVという新しい価値を生み出したクルマだ。

その評価は、77万2096台以上の世界販売台数と217以上の国際的な賞を獲得したことを示すだけで十分だろう。まさに、偉大なる第一世代だ。

第二世代となる新型『イヴォーク』も、その進化は止まらない。それは、独自のクーペスタイルを継承しながら、よりモダンになったデザインからも見てとれる。独特の傾斜したルーフラインとリアに向かって上昇するウエストラインは、『イヴォーク』であることを主張しつつも『レンジローバー』ファミリーの一員であることを感じさせる。

全体的には、ショルダーラインとパワフルなホイールアーチにより、コンパクトモデルながらSUVのボリューム感を上手く表現した。21インチホイールも相まって力強くダイナミックな印象だ。フロントフェイスでは、超薄型マトリックスLEDヘッドライトがシャープさを、リアではランプのグラフィックが英国ルーツらしい上品さを醸し出す。

ドライバーの好みや行動パターンを学習するAIアルゴリズムをブランドで初めて採用

インテリアはスッキリとした面とシンプルな線で構成されたミニマムな空間。しかし、ホイールベースを延長したことで、先代よりも余裕がある広さとなっている。ちなみに、全長は先代と同じ4371mmだ。ラゲッジスペースも拡大され、10%増の591L。40:20:40の分割可倒式リアシートを倒すと、総容量は1383Lとなる。折り畳んだベビーカーやゴルフセットの出し入れも簡単だ。

ラゲッジスペースは10%増の591L。40:20:40の分割可倒式リアシートを倒すと、総容量は1383Lとなる。折り畳んだベビーカーやゴルフセットの出し入れも簡単だ。

コックピットには、「Apple CarPlay」や「Android Auto」にも対応するデュアルタッチスクリーン・インフォテインメント・システム「Touch Pro Duo」を搭載。高速化した最新ソフトウエア搭載しており、操作性を向上させた。

また、人工知能(AI)アルゴリズムを駆使してドライバーの好みや行動パターンを学習し、運転をサポートしてくれる「スマート・セッティング」をランドローバーとして初採用したのも新しい。シートポジション、運転中に流す音楽、エアコンの温度設定、さらにはステアリングコラムの設定も学習して制御し、高い快適性を実現する。

最大のトピックは電動化を見据えた新型プラットフォームとマイルド・ハイブリッド

ボディの注目点はデザインだけでなく、骨格にも及ぶ。最大のトピックスは、新型プラットフォーム「PTA(プレミアム・トランスバース・アーキテクチャー)」の採用だ。今後導入される電動パワートレインを見据えて、横置きでのエンジン設置が可能になった。新型『イヴォーク』では、それに先駆けて、ランドローバー初となる「48V MHEV(マイルド・ハイブリッド・システム)」も投入。ドライバーがブレーキをかけて17km/h以下になるとエンジンが停止。発車時には蓄えられたエネルギーを再び利用する。渋滞の多い都市部でも静かで効率的な走行が可能で、燃費にも貢献する。

一部報道では、マイルド・ハイブリッドと組み合わされるパワーユニットは、2L直列4気筒ターボの「インジニウム」エンジンで、ガソリン、ディーゼルともに3種類ずつとも伝えられている。また、ランドローバーの電動化戦略では、今後約1年間にPHEV(プラグイン・ハイブリッド)モデルも追加される予定だ。

走行性能では、フラッグシップである『レンジローバー』で初採用された「テレイン・レスポンス2」を搭載。走行中の路面状況を自動的に検知し、状況に応じてサスペンション、トランスミッション、トラクションといった車両設定を最適化し、ドライバーの負担を軽減してくれる。あらゆる地形、あらゆる天候で優れた走破能力を発揮するランドローバーのDNAはしっかりと継承されたというわけだ。

テクノロジー面では、世界初のユニークな機能がある。「クリアサイト・グラウンドビュー」だ。車両前方下部に設置したカメラで路面を撮影し、その映像をタッチスクリーン上に投影。まるでボンネットがないかのようにフロント下 180度の視角を確保する。段差のある中央分離帯やオフロードなどの障害物が多い路面などで有効活用できそうだ。

また、ジャガー・ランドローバーグループ初となる「クリアサイト・リアビューミラー」も搭載。乗員が多かったり荷物を積んだりしてリアビューの視認性が悪い場合、ミラー下面にあるスイッチをフリックすると、リアに設置されたカメラが後部を撮影。映像をミラーに映し出してくれる。視野角も50度と広く、暗がりでの視認性も高いのが特徴だ。

新型『イヴォーク』は今年前半に欧米でデリバリーを開始。日本にはいつ上陸する?

新型『イヴォーク』では、プレミアムブランドからコラボモデルが発表された。ひとつはスイスのウォッチ・ブランド「ゼニス」で、200本限定で特別モデルを発売する。ニューヨークに本社を置くプレミアム・オーディオ・カンパニー「Master & Dynamic(マスター・アンド・ダイナミック)」 は、新型『イヴォーク』にインスパイアされた限定ワイヤレス・イヤフォンを発表した。オーナならば、併せて手に入れたい逸品だろう。

日本での受注、発売は発表されていないが、イギリス本国、ヨーロッパ、アメリカではすでに受注が始まり、2019年前半にはデリバリーが開始される。プレミアムコンパクトSUVを狙っているカーガイにとっては、待ち遠しい日々が続きそうだ。

Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) Jaguar Land Rover Automotive PLC
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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New Range Rover Evoque オフィシャル動画
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第16回 | ランドローバーの最新車デザイン・性能情報をお届け

今度の驚きは速さ──最強のレンジローバー ヴェラール

『レンジローバー』シリーズにおいて、「SV オートバイオグラフィー」のバッジはその頂きに立つ最強グレードを意味する。心臓部には圧倒的なパフォーマンスを誇る5.0L V8スーパーチャージャーガソリンエンジン。それでいて、内外装の仕立ては極めてラグジュアリー。まさにすべてを兼ね備えたスーパーSUVである。今年2月、ランドローバーはその特別なグレードを『レンジローバー ヴェラール』に設定。洗練されたスタイリングで驚きをもたらしたミッドサイズSUVに、かつてない速さとスポーティさが加わった。

『レンジローバー ヴェラール』に最強仕様の「SVオートバイオグラフィー」が登場

『レンジローバー』シリーズは、フラッグシップの『レンジローバー』を筆頭に、『レンジローバー スポーツ』『レンジローバー ヴェラール』『レンジローバー イヴォーク』の4モデルが展開される。この並びでわかるとおり、「ヴェラール」は「スポーツ」と「イヴォーク」との間を埋める存在として2017年に登場したシリーズ第4のモデルだ。

その特徴は、とりわけスタイリングを重視した「アヴァンギャルドなレンジローバー」であること。ハンドルを内部に格納するポップアップ式のデプロイアブルドアハンドルも目を引くが、なにより低く絞り込まれたルーフラインが最大のハイライトだ。写真では『レンジローバー スポーツ』に近い印象を抱くかもしれないが、実車を目にすればほかの『レンジローバー』シリーズの角張ったイメージと異なる優美な造形をもっていることがわかるはずだ。なめらかな曲線を描く美しいフォルムは、削り出した卵にも例えられる。

今回新たに登場した『レンジローバー ヴェラール SVオートバイオグラフィー・ダイナミック・エディション』は、このスタイリッシュなミッドサイズSUVの頂点を極める高性能グレード。もちろん、これまででもっとも速くパワフルな「ヴェラール」となる。

開発はカスタマイズ部門の「SVO」。その最高出力は550馬力、最高速度は274km/h

開発を担ったのは「SVO(スペシャル・ビークル・オペレーションズ)」。イギリス中部、ウェスト・ミッドランズ州コベントリーにあるSVOテクニカルセンターを拠点に、特別仕様のリミテッドエディションやパーソナライゼーションなどを手がけ、その技術によりパフォーマンスとラグジュアリーを極めた多くの特別なモデルを生み出してきた。

むろん、『レンジローバー SV オートバイオグラフィー』『レンジローバー SV オートバイオグラフィー・ダイナミック』『レンジローバー スポーツSVR』といった上位車種にラインナップされる高性能グレードも、SVOによって開発された車両たちである。

まず目を引くのは圧倒的なパフォーマンスだ。パワートレインは、ほかの高性能グレードと同じく5.0LのV型8気筒スーパーチャージャーガソリンエンジン。最高出力405kW(550ps)/6000~6500rpm、最大トルク680Nm(69.3kgm)/2500~5500rpmを発揮し、0-100km/h 加速は4.5秒、最高速度は 274km/hに達する。とても車重2トンを超えるミッドサイズのラグジュアリーSUVとは思えないスペックである。

当然、この大パワーを路面に伝えるために足回りやトランスミッションも強化された。アルミ製パドルシフトで操作するトランスミッションはドイツのZF製8速クイックシフトATで、専用チューンが施されている。前395mm、後396mm径のブレーキも強化され、エレクトロニックアクティブディファレンシャルやステアリング、ダンパー、アンチロールバー、スタビリティコントロールなどにも専用チューニングが施されている。

駆動方式はオンデマンド4WDで、インテリジェント・ドライブライン・ダイナミクス・システムが前後で駆動トルクを配分し、後輪駆動にもなる。また、SVヴァリアブルエグゾーストシステムにより、走行状況に応じてV8サウンドを変化させることも可能だ。

最強仕様らしくエクステリアはスポーティで洗練され、インテリアはラグジュアリー

エクステリアは、高性能グレードらしくスポーティに仕上げられた。フロントバンパーとリヤバンパーは専用パーツ。より冷却効果を高めるためにフロントには大きなエアインテークを備え、リヤは4本出しの軽量エグゾーストパイプを収めるためにディフューザー形状に改められた。21インチ鍛造アルミホイール(22インチも選択可)とともに、「SV オートバイオグラフィー・ダイナミック」の名にふさわしいルックスとなっている。

ボディカラーはSVOのプレミアムパレットシリーズのブルーメタリック塗装となり、ブラックルーフを標準装備。リヤには「SV Autobiography」のエンブレムを装着した。

インテリアはシンプルで美しく、ラグジュアリーだ。タッチパネルディスプレイを多用したフラットなインターフェイスは「ヴェラール」全車に共通する先進的でスタイリッシュなもの。そこへキルティング加工が施されたツインステッチ・パーフォレイテッドレザーのシートとスポーツレザーステアリングを装備。20ウェイ電動調整機能、さらにシートヒーター&クーラー、メモリー&マッサージ機能を標準装備する。ローレット加工が施されたダイヤルスイッチ類も特別な一台であること主張するラグジュアリーなパーツである。

イギリス本国での価格はおよそ1273万円。そう遠くないうちに日本にもやって来る?

当然ながら、先進運転支援システム(ADAS)も搭載する。おもな装備を挙げると、自動緊急ブレーキ、車線逸脱警告、360度ビュー&パーキングガイド機能付きサラウンドカメラシステム、ブラインドスポットアシスト、レーンキープアシストといった具合だ。

イギリス本国での価格は8万6120ポンド。日本円に換算するとおよそ1273万円だ。すでに、日本市場には『レンジローバー SV オートバイオグラフィー』『レンジローバー SV オートバイオグラフィー・ダイナミック』『レンジローバー スポーツSVR』が導入されている。新たに「ヴェラール」に加わった「SV オートバイオグラフィー・ダイナミック・エディション」が上陸する日も、そう遠くないうちにやって来るに違いない。

Text by Muneyoshi Kitani
Photo by (C) Jaguar Land Rover Automotive PLC
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Range Rover Velar SVAutobiography Dynamic Edition オフィシャル動画
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