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第15回 | シトロエンの最新車デザイン・性能情報をお届け

この新型SUVは空飛ぶ絨毯だ──シトロエンC5エアクロス

『2CV』、そして『DS』、近年では『C3』『C4カクタス』。フランスのシトロエンは、独創的なクルマを作ることで知られるブランドである。それはいま世界的に流行するSUVにおいても変わらない。シリーズの名称は「エアクロス」。ヨーロッパでは『C3エアクロス』『C4エアクロス』が人気を集める(日本へは未導入)。この二台の上位車種となるのが、昨年末にヨーロッパで発売された最新SUVの『C5エアクロス』だ。

激戦区のCセグメントに参入。シトロエンの最新コンパクトSUV『C5エアクロス』

『C5エアクロス』は、2015年に上海モータショーで発表された『エアクロス コンセプト』の市販バージョンだ。コンセプトモデルが上海でお披露目されたことでわかるように、もともと「エアクロス」は中国やロシア、南米に向けて開発されたシリーズ。しかし、ヨーロッパで販売されると予想以上の人気モデルとなり、なかでも現行『C3エアクロス』は2017年10月の発売から4カ月で5万台のセールスを記録したほどである。

その兄貴分となる『C5エアクロス』は、世界的な激戦区のCセグメントに属する5シートのコンパクトSUV。デイライトとヘッドライトを上下で切り分けた独特のフロントフェイスに、『C4カクタス』から続くエアバンプ(残念ながらこちらはダミー)と、シトロエンの最新デザイン言語を採用。ルーフレールや樹脂製のサイドクラッディングなど、よりSUVらしいディティールも取り入れている。世の多くのSUVが力強さを主張するかのような意匠を持つなかで、全体的に丸みを帯びた威圧感のなさがシトロエンらしい。

プラットフォームは、プジョー『3008』『5008』などと共有するPSA(プジョー・シトロエン)の「EMP2(Efficient Modular Platform 2)」。ボディサイズは全長4500mm×全幅1840mm×全高1670mmと、全幅こそやや広いが、日本の道路事情にも適したサイズといえる大きさだ。SUVらしく最低地上高は230mmを確保している。

新開発サスペンションにより、まるで「空飛ぶ絨毯」のような快適な乗り心地を実現

プラットフォームを同じにする『3008』などのプジョー車とは異なり、『C5エアクロス』はコンフォート性能を徹底的に追求している点に大きな特徴がある。

シトロエンといえば油圧式のハイドロサスペンションを思い浮かべるが、『C5エアクロス』はその乗り心地を受け継ぐ新開発の「Progressive Hydraulic Cushions=プログレッシブ・ハイドロリック・クッション」を採用。KYBSE(カヤバ・サウス・ヨーロッパ)と共同開発したサスペンションで、『C4カクタス』もマイナーチェンジで導入している。

このサスペンションは、電子制御を用いずともダンパーの減衰力(強さ)をバリアブルに変化させることが可能。たとえば柔らかさがほしいとき、あるいは手応えを感じたいとき、車両のスピードによってダンパーが逐一コンフォート(快適さ、安心感)に反応してくれるのだ。これにより、まるで「空飛ぶ絨毯」のようなライド感を実現するという。

パワーユニットは、ガソリンが1.2L 3気筒の「ピュアテック130」と「ピュアテック180」の2種類で、ディーゼルの「BLUE HDi」も「130」と「180」がラインナップされる。トランスミッションは8速ATの「EAT8」。コースティング機能を備え、少燃費にも貢献する。本国では6MTも用意されているが、日本への導入は微妙なところだろう。

家族や仲間が快適に移動できる室内空間。先進の安全装備がドライビングをサポート

インテリアもコンフォートに重きが置かれている。極上の乗り心地にひと役買っているのは「Advanced Comfortシート」だ。前席にはマルチポイントマッサージシステムが搭載され、タッチパッドコントローラーによる操作で各部をマッサージ可能。シトロエン伝統のシート面の厚さと絶妙な柔らかさも受け継ぎ、乗員全員が快適に移動できる。

ドライバーズシートに座ると、目の前には12.3インチTFTパネル液晶と8インチタッチスクリーンが広がり、コントラストの効いた見やすい表示で情報を伝えてくれる。『C3』に標準搭載され、日本でも話題となったドライブレコーダー「コネクティッドカム」やスマホ用ワイヤレス充電システムなど、「今ほしい」機能も標準装備した。

インテリア全体は、広報写真をみるとブラウンレザーを多用しており、大人に似合う雰囲気だ。この点も、やはり『C3』や『C3エアクロス』より兄貴的存在となっている。

安全運転支援システムでは、アダプティブクルーズコントロール、アクティブセーフティブレーキ、アクティブレーンキーピングアシスト、道路標識認識機能を搭載。高速道路ではインテリジェントビームヘッドライトによってハイとローの切り替えも自動で行う。

ライバルはBMW『X1』やアウディ『Q3』。『C5エアクロス』の価格は約340万円から

ボディカラーは7色展開で、ルーフがブラックのツートーン仕様も選べる。さらにサイドのエアバンプとフロントバンパーのインテークもカラーインサートとして設定され、カラーパッケージは大きく3種類が用意された。組み合わせは30にも上る豊富さだ。

すでにヨーロッパでは昨年末から販売が開始され、価格はエントリーグレードの1.2L 3気筒「ピュアテック130」がおよそ340万円。日本への導入も予定されている。

特徴的なエクステリアに「空飛ぶ絨毯」と称される乗り心地、そして十二分な安全運転支援システムと、『C5エアクロス』はどこを切り取っても魅力溢れるCセグメントSUVだ。ルノー『カジャー』、BMW『X1』、アウディ『Q3』、フォルクスワーゲン『ティグアン』あたりが直接的なライバルとなりそうだが、価格的にも狙い目といっていいだろう。

Text by Taichi Akasaka
Photo by (C) Peugeot Citroën
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
New Citroën C5 Aircross オフィシャル動画
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第15回 | シトロエンの最新車デザイン・性能情報をお届け

パリ発南青山行き──美術館通りにオープンしたDS旗艦店

六本木通りと骨董通りを結ぶ約150mの道路が南青山に開通したのは2012年3月のことだ。それにより、広尾の山種美術館、青山の根津美術館、六本木の国立新美術館がひとつの道でつながった。「美術館通り」と呼ばれるゆえんである。この都内屈指のアートスポットにオープンしたのがDSオートモービルズの旗艦店「DSストア東京」だ。DSは芸術の都パリに本拠地を置くフランスの高級車ブランドで、そのフラッグシップショールームはル・トリアングル・ドール(黄金の三角形)と呼ばれる煌びやかな一角にある。南青山の美術館通りは、DSストア東京にふさわしいロケーションといえるのではないか。

DSは1955年に登場したシトロエン『DS』をルーツにもつパリ発の高級車ブランド

大人のカーガイは、「DS」と聞くと、1955年に登場したシトロエン『DS』を思い浮かべるかもしれない。宇宙船と評された独創的なスタイリングをもち、その画期的なメカニズムによってシャルル・ド・ゴール大統領を暗殺計画から救ったあのクルマである。

DSオートモービルズは、往時の『DS』をルーツにもつブランドだ。2009年にシトロエンの高級車ラインとして誕生し、2014年にはシトロエンから独立。「DS」というシンプルな名のもとで、「フランス流ラグジュアリー」を体現するモデルを生み出している。

とはいえ、最初の数年間に販売したのは、『C3』などの既存のシトロエンをラグジュアリーかつスポーティにドレスアップしたものだった。しかし、2018年7月に日本でも発売されたフラッグシップSUVの『DS 7クロスバック』は、DSが初めて独自に開発したまったくのニューモデル。どのクルマにも似ていないオンリーワンの存在感を放ち、同時に世界でもっとも熱い注目を集める高級SUV市場に打って出る一台ともなる。

このタイミングで南青山の美術館通りにオープンしたのが日本における旗艦店の「DSストア東京」である。昨年12月3日にはメディア関係者を集めた華やかなグランドオープニングイベントが催され、ショールーム内に『DS 7クロスバック』も展示された。

フランスのマクロン大統領や駐日大使は『DS 7クロスバック』を公用車に使っている

ショールームの内外装には、アヴァンギャルドデザイン、ハイテクノロジー、サヴォアフェール(匠の技)、さらにフレンチラグジュアリーといった要素をディティールにちりばめた独自の意匠が施され、それによりDSブランドの世界観を表現している。

中央にはVRゴーグルによるさまざまなデジタル体験が用意された「DSバーチャルビジョン」を設置。バーチャルリアリティ技術を駆使したコンフィギュレータで各モデルの内外装のカスタマイズオプションをフルスケールで見ることができるほか、車両のデザインを全方位から確認したり、運転席に座ったり、パノラマルーフを開閉したりすることも可能だ。360度の3DパノラマコンテンツでDSブランドを堪能できる仕掛けである。

オープニングイベントには、駐日フランス大使のローラン・ピック氏やプジョー・シトロエン・ジャポンのクリストフ・プレヴォ社長が出席し、フランス本国からはDSブランドデザインディレクターをつとめるティエリー・メトローズ氏も来日。ローラン・ピック大使はスピーチで、マクロン大統領の公用車が『DS 7クロスバック』であることを紹介し、自身も『DS 7クロスバック』の日本第一号車を公用車に使っていることを明かした。

今年7月には『DS 3クロスバック』が日本上陸。最終的に6モデルをラインアップ

日本国内のDSストアは、滋賀、名古屋からスタートし、2018年12月までに旗艦店の「DSストア東京」を含めた12拠点に拡大された。プジョー・シトロエン・ジャポンのクリストフ・プレヴォ社長によると、今年前半にさらに4拠点が新設されるという。

当然ながらラインアップ拡充もはかられる。現在日本で販売されるのはシトロエンをベースにしたハッチバックの『DS 3』と『DS 7クロスバック』のみだが、今年7月には昨年8月のパリサロンでワールドプレミアされた『DS 3クロスバック』を日本導入予定。最終的には『DS 7クロスバック』を含めた6モデルをラインアップする計画だ。

映画『ジャッカルの日』をみてシトロエン『DS』に憧れた人はもちろん、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディのジャーマン3にないデザイン性や世界観を味わいという人も、美術館通りのDSストアに一度立ち寄ってみてほしい。付近にはメゾンブランドや老舗ジャズクラブが軒を連ねるので、デートスポットとしてもうってつけである。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) PEUGEOT CITROËN JAPON, Takeshi Sogabe
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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