光岡自動車の創業50周年記念モデルは、まるで1960年代のC2型『コルベット』!
光岡自動車は、1994年に発売した『ゼロワン』や2008年の『ヒミコ』など、レトロなパイクカーの生産で知られる自動車メーカーである。『ゼロワン』はロータス『スーパーセブン』のレプリカモデルで、『ヒミコ』は1930年代のクラシックカーを模している。いずれもエクステリアにヨーロッパ風のデザインを採り入れているのが特徴だ。
その一方、車名は『ユーガ(優雅)』『リョーガ(凌駕)』『ガリュー(我流)』『リューギ(流儀)』、そして『オロチ(大蛇)』『ヒミコ(卑弥呼)』と、非常に日本的で個性的なネーミングが多い。ちなみに、『オロチ』とは初の自社開発によるスーパーカーである。
だからこそ、創業50周年を記念した今回の新型車には多くの人が驚かされた。車名はある意味でベタなアメリカ風の『ロックスター』。外観もこれまでとはうって変わり、1960年代のアメリカンスポーツカー、C2型『コルベット』のデザインをまとっていたからだ。その雰囲気は、まるで古き良き時代のアメリカ西海岸といった趣なのである。
ベースはマツダ『ロードスター』。細部までC2コルベットを模したこだわりの意匠
ベースは『ヒミコ』と同じ。つまりND型の現行マツダ『ロードスター』だ。しかし、その面影がまったく見られないほどクラシカルなアメ車風の外観に仕上げられている。
C2は、アカエイ(スティングレイ)のようにボディの四囲に鋭いエッジが張り出し、前後に特徴的なアイアンバンパーを採用していた。『ロックスター』もこの特徴を受け継いでおり、リアウィンドウ後方の給油口の位置までオリジナルと同じだ。よく見ると、この給油口に描かれたフラッグのデザインまでそっくりである。フロントのLEDライトはリトラクタブル・ヘッドライトではないものの、リアはC2と同じ丸目を採用している。
ボディサイズは全長4345mm×全幅1770mm×全高1235mm。C2が全長4448mm×全幅1768mm×全高1265mmだから、大きさもほぼ同じ。ただし、ホイールベースは『ロードスター』から変更されていない。インテリアでは、シートにボディと同色のストライプが配されるが、室内の雰囲気はC2というよりも、ほぼ『ロードスター』だ。
『ロックスター』の価格は469万円から。しかし今年生産分の50台は全台完売済み
ボディカラーは「ロサンゼルスブルー」「シカゴレッド」「ニューヨークブラック」「シスコオレンジ」「ワシントンホワイト」「アリゾナイエロー」の全6色をラインアップ。いずれのカラーにもアメリカの大都市の名が与えられている。
グレードは「S」「S Special Package」の2タイプで、価格は「S」の6MTモデルが469万8000円、「S Special Package」の6MTモデルが498万4200円、6EC-ATモデルが518万4000円(いずれも税込み)。『ロックスター』は200台の限定生産で、2019年に50台を、2020年と2021年にそれぞれ75台を生産する計画となっている。
もっとも、今年生産する50台は光岡自動車のユーザーに向けた先行予約分で、すでに全台が完売済み。残り150台は昨年12月1日から受注を開始したが、ハンドメイドで生産されるため、運良く予約できても納車は2020年からになるという。それだけC2に憧れた大人たちが多いということかもしれないが、いずれにせよすごい人気である。
Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Mitsuoka Motor Co., Ltd.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)