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第121回 | 大人のための最新自動車事情

まさにUSA!──ミツオカ ロックスターの人気がすごい

2017年公開の映画『ワイルド・スピード ICE BREAK』にレティの愛車として登場した赤いマッスルカーを覚えているだろうか。1963年に発表された二世代目のシボレー『コルベット』。サブネームはスティングレイ、型式からC2とも呼ばれるモデルだ。このクラシカルなアメ車のデザインを模したスポーツカーが光岡自動車から登場した。その名は『Rock Star(ロックスター)』。早くも納車まで2年待ちの人気モデルとなっている。

光岡自動車の創業50周年記念モデルは、まるで1960年代のC2型『コルベット』!

光岡自動車は、1994年に発売した『ゼロワン』や2008年の『ヒミコ』など、レトロなパイクカーの生産で知られる自動車メーカーである。『ゼロワン』はロータス『スーパーセブン』のレプリカモデルで、『ヒミコ』は1930年代のクラシックカーを模している。いずれもエクステリアにヨーロッパ風のデザインを採り入れているのが特徴だ。

その一方、車名は『ユーガ(優雅)』『リョーガ(凌駕)』『ガリュー(我流)』『リューギ(流儀)』、そして『オロチ(大蛇)』『ヒミコ(卑弥呼)』と、非常に日本的で個性的なネーミングが多い。ちなみに、『オロチ』とは初の自社開発によるスーパーカーである。

だからこそ、創業50周年を記念した今回の新型車には多くの人が驚かされた。車名はある意味でベタなアメリカ風の『ロックスター』。外観もこれまでとはうって変わり、1960年代のアメリカンスポーツカー、C2型『コルベット』のデザインをまとっていたからだ。その雰囲気は、まるで古き良き時代のアメリカ西海岸といった趣なのである。

ベースはマツダ『ロードスター』。細部までC2コルベットを模したこだわりの意匠

ベースは『ヒミコ』と同じ。つまりND型の現行マツダ『ロードスター』だ。しかし、その面影がまったく見られないほどクラシカルなアメ車風の外観に仕上げられている。

C2は、アカエイ(スティングレイ)のようにボディの四囲に鋭いエッジが張り出し、前後に特徴的なアイアンバンパーを採用していた。『ロックスター』もこの特徴を受け継いでおり、リアウィンドウ後方の給油口の位置までオリジナルと同じだ。よく見ると、この給油口に描かれたフラッグのデザインまでそっくりである。フロントのLEDライトはリトラクタブル・ヘッドライトではないものの、リアはC2と同じ丸目を採用している。

ボディサイズは全長4345mm×全幅1770mm×全高1235mm。C2が全長4448mm×全幅1768mm×全高1265mmだから、大きさもほぼ同じ。ただし、ホイールベースは『ロードスター』から変更されていない。インテリアでは、シートにボディと同色のストライプが配されるが、室内の雰囲気はC2というよりも、ほぼ『ロードスター』だ。

『ロックスター』の価格は469万円から。しかし今年生産分の50台は全台完売済み

ボディカラーは「ロサンゼルスブルー」「シカゴレッド」「ニューヨークブラック」「シスコオレンジ」「ワシントンホワイト」「アリゾナイエロー」の全6色をラインアップ。いずれのカラーにもアメリカの大都市の名が与えられている。

グレードは「S」「S Special Package」の2タイプで、価格は「S」の6MTモデルが469万8000円、「S Special Package」の6MTモデルが498万4200円、6EC-ATモデルが518万4000円(いずれも税込み)。『ロックスター』は200台の限定生産で、2019年に50台を、2020年と2021年にそれぞれ75台を生産する計画となっている。

もっとも、今年生産する50台は光岡自動車のユーザーに向けた先行予約分で、すでに全台が完売済み。残り150台は昨年12月1日から受注を開始したが、ハンドメイドで生産されるため、運良く予約できても納車は2020年からになるという。それだけC2に憧れた大人たちが多いということかもしれないが、いずれにせよすごい人気である。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Mitsuoka Motor Co., Ltd.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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光岡自動車 ロックスター オフィシャル動画
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エモーションEV──バタフライドアの電動スポーツカー

ポルシェ初の量産EVスポーツカーとして話題の『タイカン』は今年生産を開始し、驚異的なスペックを誇るテスラのスーパースポーツカー『ロードスター』も2020年の発売を予定している。EVスポーツカーは、いま旬を迎えつつあるカテゴリだ。そうしたなか、アメリカのフィスカーがCES 2019で初公開した『エモーションEV』が予約受付を開始した。バタフライ4ドアが特徴の高級フルEVスポーツは、いったいどんなクルマなのか。

BMW『Z8』やアストンマーチン『DB9』のデザイナーが手がけた高級スポーツEV

フィスカー『エモーションEV』は、ヘンリック・フィスカー氏の手によるエレガントなデザインの高級EVスポーツカーだ。フィスカー氏はデンマーク出身の著名なカーデザイナー。BMWに在籍していた当時に『Z8』、EVコンセプトモデルの『E1』などを手がけ、アストンマーチンでは『DB9』『DBS』『ヴァンテージ』のデザインを担当した。

その後、独立してメルセデス・ベンツやBMWをベースにしたコンプリートカーやハイブリッドエンジン搭載のオリジナルモデルを製作するが、じつは、テスラで『ロードスター』『モデルS』の2モデルの開発に参加したこともあるようだ。そのせいというわけではないだろうが、『エモーションEV』のデザインはどこかテスラに似た雰囲気もある。

ともあれ、スタイリングは「美しい」のひと言に尽きる。とりわけ特徴的なのは、開くとドア側面が蝶の羽のような形に見える「バタフライ4ドア」だ。同じ上部に向かって開くドアでも、縦方向に開くシザースドアと違い、バタフライドアは外側が斜め前方に、内側が下向きに開く。駐車スペースに苦労する日本ではなかなかお目にかかれないドアだ。

バッテリーはリチウムイオンではなく炭素素材コンデンサ。多くの先端技術を搭載

面白いのは、バッテリーに多くのEVに採用されるリチウムイオンではなく、炭素素材コンデンサのグラフェンスーパーキャパシタを採用したことだ(全個体充電池搭載モデルもラインナップ)。1回の充電あたりの最大走行距離は約640km。急速充電の「UltraCharger」に対応しており、9分間の充電で約205km分の容量までチャージ可能という。

EVパワートレインは最高出力700psを発生し、最高速度は260km/h。このスペックを見ると、テスラ『ロードスター』のようなEVスーパースポーツではなく、あくまでスポーティカーという位置づけなのだろう。全長5085×全幅2015×全高1465mmのボディは軽量のカーボンファイバーとアルミニウムで構成され、駆動方式は四輪駆動だ。

このほか、ADAS(先進運転支援システム)としてクアナジー製LIDARセンサーを5個搭載し、コネクテッドなどのEVスポーツカーらしいさまざまな先端技術を装備する。

『エモーションEV』の価格は1440万円。予約も開始され今年中にデリバリー予定

前述の通り、『エモーションEV』はグラフェンスーパーキャパシタ搭載モデルと全個体充電池搭載モデルの2モデルを設定。価格はグラフェンスーパーキャパシタ搭載モデルが1440万円(税別)、全個体充電池搭載モデルの価格は未定だ。すでに日本でもデロリアン・モーター・カンパニーを正規代理店に予約受付を開始しており、グラフェンスーパーキャパシタは今年中の納車を予定している。ただし、予約金として約24万円が必要だ。

最近では東京都心部などでテスラをよく見かけるようになり、もはやEVは現実的な乗り物になりつつある。たしかに価格は1000万円オーバーと高価。しかし、この美しいルックスなら、他人と違うクルマに乗りたいという欲求を満たすことができるのではないか。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Fisker, Inc.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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