深化した鼓動デザイン。日本の美意識の本質を体現した『Mazda3』のエクステリア
『Mazda3』、日本名『アクセラ』。ブランドとビジネスの両面でマツダをけん引してきたグローバル戦略車で、ハッチバックとセダンの2タイプが存在する。2019年初頭から北米で順次販売される新型は、2003年デビューの初代から数えて四世代目だ。
この『Mazda3』が、国内外で多くの注目を集めている。その大きな理由が、デザインとスペック両面における飛躍的な進化。マツダの言葉を借りれば「深化」だ。
エクステリアデザインだが、ハッチバックでは「エモーショナルさ」をテーマにした「伸びやかさと品格」を、セダンでは「エレガンスさ」をテーマにした「力強さと色気」を追求。LAモーターショーのワールドプレミアでは、「Car as Art(クルマはアート)」と「Breathe Life into our Cars(クルマに命を吹き込む)」といった表現が使われた。マツダの代名詞となった「魂動デザイン」をさらに深化させ、日本の美意識の本質を体現したという。
ワンモーションのシンプルな動きでフォルムを描きつつ、繊細なボディ造形による光の移ろい、リフレクション(反射)の動きによって、これまで以上に力強く、味わい深い生命感をつくり込んでいる。辛口の海外メディアもその美しさを絶賛するほどだ。
インテリアデザインも、引き算の美学を重視し、徹底した美しさとシンプルさを追求している。人とクルマとの一体感をこれまで以上に強めるために左右対称にレイアウト。ドライバーに正対する造形とした。これは人間中心のコクピットを考え抜いた結果だ。インパネは左右のドアトリムまでつながる一直線の造形。エアコンのコントロールパネルと助手席側ルーバーを水平軸のなかに一体化することで、すっきりとした印象を与えている。
心臓部にはトルクフルで省燃費の次世代新型エンジン「スカイアクティブX」を初搭載
スペック面でのトピックスは、新しい「SKYACTIV(スカイアクティブ)技術」の採用だ。こちらも言わずもがな、「魂動デザイン」と並ぶマツダの代名詞。ユーザーに「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」を届けるため、世界一の機能を最も効率的に作ることを目的としている。
心臓部では、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンのメリットを融合した次世代新型エンジン「スカイアクティブX」を採用。環境性能では燃費が現行ガソリンエンジンに比べて最大20〜30%程度向上し、トルクは全域で10%以上、最大30%向上するという。
「スカイアクティブX」は、優れた初期レスポンスと力強いトルク、リニアな応答性と伸びの良さを兼ね備えた走りといった特徴をもつ。マツダが理想とする小型で効率的なハイブリッドシステム「Mハイブリッド」が燃費性能の向上をサポートし、より高いレベルで「走る歓び」とリアルワールドでの環境性能を両立した。
このほか、従来のガソリンエンジンである「スカイアクティブG」に1.5L、2.0L、2.5Lの3種類をラインアップ。ディーゼルエンジンは「スカイアクティブD 1.8」を設定した。
新世代車両構造技術の採用によって、意のままに操る高次元の「人馬一体感」を実現
ボディも一新した。採用されたのは、「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE(スカイアクティブ ビークル アーキテクチャー)」と呼ばれる新世代車両構造技術だ。
これはマツダの人間中心の設計思想をさらに突き詰めたもの。個別にいえば、骨盤を立てて脊柱が自然なS字カーブを維持できるシート、多方向に配置した環状構造で入力エネルギーを遅れなく伝達するボディ、各部品が相互に連携してバネ上に伝える力を滑らかにコントロールするシャシー、NVH(騒音・振動・ハーシュネス)性能の向上などがある。
この新世代車両構造技術は、個々のシステムを深化させるだけでなく、クルマのアーキテクチャー(構造)全体のコーディネートを重視し、有機的な連携をもって開発されたという。それにより、運転操作に対して体のバランスがとりやすくなり、より高いレベルの人馬一体感が実現した。
価格と導入時期は? 新型『Mazda3』は東京オートサロン2019でジャパンプレミア
2019年1月11日に幕張メッセで開幕する東京オートサロン2019では、LAオートショーで初公開された北米仕様ベースの『Mazda3』がジャパンプレミアムされる。
もしかすると、ここで日本への導入時期や価格などが発表されるかもしれない。一部報道では、『アクセラ』の名前が排されて『MAZDA3』になるとも言われている。
価格は、現実的に手が届くことは間違いないだろう。それでいながら、その質感はハイブランドに劣らない。いわゆる高見えするセンスのいいクルマだ。マツダの代表取締役社長兼CEOの丸本明氏が「新型Mazda3からマツダの新世代商品が始まります」と言う本気の一台。今から発売が楽しみだ。
Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) Mazda Motor Corporation
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)