ひとりになってリフレッシュすると心身の負担が軽くなり、夫婦間の衝突が減少する
共働きの妻は言わずもがな。専業主婦の場合も、子どもにつきっきりの時間が長くなりすぎるとストレスがたまる。そこで妻に「ひとり時間」をプレゼントすると大きなメリットがあるという。
「共働きの妻も仕事を時間内で効率良く回し、帰宅後には夕食作りなどの家事をして目まぐるしい毎日を過ごしています。特にお子さんが小さい頃は、食事の時間は戦争のようなもの。『遊んで!』とせがまれてゆっくり本を読む時間もないでしょう。そんな日々が続いても、ひとりになってリフレッシュや息抜きする時間があると、心身の負担が軽くなり夫婦の衝突が減ります」(三木さん、以下同)
家事慣れしていないのに張り切ると逆効果。無理せず「ひとり時間」を習慣化する
だからといって、妻にひとり時間をプレゼントして張り切りすぎるのは禁物だ。たしかに「せっかくだから普段手が回らない場所を大掃除しよう」「シェフ顔負けのディナーを作ろう」などとがんばれば妻は喜ぶかもしれないが、三木さんは「ふだん通り過ごすこと」をすすめる。
「ひとり時間のプレゼントは、日常生活に溶けこむのが理想です。毎回大々的なことばかりやろうとすると、次第に夫の腰が重たくなっていくでしょう。また、子どもに家事を教えようとか、そこまで考える必要もありません。『頼まれた買い物を済ませておく』『洗い物を片付けておく』などのサポートだけで十分です。ただし、『あれ見当たらないけど、どこにしまってある?』等々と、つまらない用件でひとり時間を過ごす妻に何度も連絡するのは迷惑なので、やめたほうがいいですね」
そのためには家事・育児のやり方、必要なものが置いてある場所などを事前に把握しておきたい。
「なかには、夫と子どもに外出してもらい、自分は家でのんびり過ごしたいという女性もいます。妻がひとりで外に出かけることだけがひとり時間ではないのです。午前中は妻のひとり時間、午後は夫とシェアするというのもいいでしょう。頻度としては、月1〜2回くらい自由な時間が設けられるようになると、『習慣化した』という感覚が持てるようになるのではないでしょうか」
ひとり時間を終えて帰宅した妻を出迎えるときの態度や声がけにも気をつけたい。なぜなら、そうした態度いかんで自分に対する妻の印象がガラッと変わってしまう可能性があるからだ。
「たとえば、家事に追われる妻の在宅中は部屋が散らかりがちだとしましょう。それなのに、『俺ひとりのときはキレイだぞ』とアピールされたらどう思うでしょうか。カチンときてケンカになるかもしれません。そうではなく、『ここまでは片付けられたけど、なかなか難しいね』という言葉で妻への共感を表現したり、ほめたりすれば、家事の大変さが共有されて夫婦仲が深まるかもしれません」
夫婦で「ひとり時間」を贈り合うのが理想。家庭環境に合わせてカスタマイズしよう
三木さんによると、ひとり時間は妻だけではなく夫婦双方にとって重要なものだという。
「夫から妻へ一方的にプレゼントするだけでは長続きしません。休日のたびに『妻を助けなきゃ』という気持ちでいると、夫も疲れてしまいます。理想は、お互いにひとり時間をプレゼントし合える関係を築くこと。ふだんは二人でこなしている家事や子どもの世話を相手に任せることになるので、『ひとり時間を大切に過ごそう』という意識にもつながり、安心して任せられるという確証ももてます。すごく価値ある時間を有意義に過ごそうと思うため、充実した時間を過ごせるようになるでしょう」
ひとり時間のプレゼントは、無理なく習慣化できれば大きなメリットを得られる。妻がリフレッシュできるだけではなく夫にも主体的な家事が身につく。まず一度試してみることをおすすめしたい。
最後にアドバイザーからひと言
「陸上競技に例えると、日常的に家事をしている妻は『長距離選手』、サポート的な立場の夫は『短距離選手』といえます。夫が1日だけ家事をできたからといって、ドヤ顔するのはやめましょう。100メートルを走れたとしても、マラソンを走れるわけではないですからね」
Text by Chiharu Matsushima(Seidansha)
Edit by Miki Ohnuki(Seidansha)