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第8回 | 次世代型の夫へ。「家事マインド」を高める

家事は外注する。家事代行サービス・効率化アイテム最前線

家事について夫婦で話し合い、家事・育児の負担を平等に振り分ける。たしかにそれが理想的だが、必ずしも分担してうまくいくとは限らない。そこで一度試してみたいのが “家事の効率化”だ。最近では、共働き夫婦をサポートする家電アイテムや家事代行サービスが登場しており、それらをうまく活用すると、ストレスのたまった夫婦の不満解消につながるという。家事アドバイザーの矢野きくのさんに家事効率化のメリットについて聞いた。
今回のアドバイザー
矢野きくのさん
家事アドバイザー
家事の効率化、家庭の省エネなどを専門にテレビ、雑誌、講演などで活動。 時短家事、100円グッズ、便利グッズ、業務用食品の情報にも精通し、生活用品や便利グッズの企画にも携わる。ホンダ、イオン、東芝などの大手企業、日経新聞Webや共同通信などでの連載実績も多数。

家事を外注すれば負担が減るだけではなく「自分の時間」や「家族の時間」が増える

ひと口に家事といっても、やるべきことは極めて多岐にわたり、365日休みなく行わなければならない。矢野さんは「毎日のことだからこそ効率化してほしい」と話す。

「夫婦共働きが一般的になり、夫の家事参加も以前に比べて増えてきてはいます。しかし、いまだに妻の負担が大きかったり、慣れない家事に夫が苦戦して『面倒なもの』というイメージを抱いて消極的になったりと、お互いに家事への不満が溜まってしまうケースも多いようです。そうなる前に、最新の家事アイテムの導入や家事代行サービスに家事を外注すると、精神的、肉体的にもお互いに負担が軽くなりますよ」(矢野さん、以下同)

また、家事の効率化は夫婦の負担やストレスが軽減されるだけではなく、「『家族の時間』や『自分の時間』を有意義に過ごすことにもつながります」と矢野さんは話す。

「電気調理鍋」「ルンバ」「温水泡洗浄」…。ここまで進化した家事の効率化アイテム

さっそく矢野さんおすすめの家事の効率化アイテムを紹介しよう。

■電気調理鍋『クックフォーミー エクスプレス』(ティファール)
「150種類の時短レシピが内蔵されている鍋です。見た目は電気炊飯器に似ていますが、材料を入れてボタンを押すだけで加圧調理が始まり、肉じゃがなら3分、リゾットなら5分と、どのメニューも15分程度で料理ができあがるので重宝するでしょう。電気調理鍋なので火元を離れても安心ですし、旦那さんが手軽に料理できるのも魅力ですね」

■自動お掃除ロボット『ルンバ642』(アイロボット)※Amazon限定商品
「『ルンバ』は、昭和中期に登場した全自動洗濯機以来の革命的な家電です。その性能はどんどん向上し、畳、カーペット、フローリング、ラグなど、あらゆる場面に合わせて吸引口を調整し、階段の段差もしっかり回避するので、放っておいても大丈夫。ゴミの多い場所もセンサーが感知し、キレイになったと判断するまで徹底的に掃除してくれます。人間が掃除機をかける手間を、丸ごと『ルンバ』が請け負ってくれるんです」

■全自動洗濯機『温水泡洗浄WホワイトNA-FA120V1』(パナソニック)
「この全自動洗濯機の最大のポイントは、温水で洗濯できる『温水泡洗浄』。温水洗浄によって、汚れや黄ばみをキレイに落とすことができるのです。乾燥機能付きなので、洗濯物を干す作業を省略し、天気や時間を気にする必要もありません。好きなタイミングで洗濯乾燥ができると、洗濯物が溜まって夫婦でケンカになるトラブルもなくなりますよ」

豊富な経験を持つプロが基本的な家事をやってくれるイオングループの「カジタク」

こうしたアイテムに加え、食材の買い出しや家事全般をサポートするサービスもある。

■ネットスーパー(イオン、イトーヨーカドー、西友など)
「意外と大変な買い物の時間が短縮できるうえ、冷蔵庫の在庫を確認しながら発注することが可能なので、“ダブり買い”を防ぐことができます。イオンの一部店舗で提供している『置き楽プラスサービス』なら、不在中も専用コンテナに商品を入れて、玄関前に届けてくれます。1回100円の利用料がかかりますが、再配達の手間が省けるので利用価値は高いですね」

■カジタク(イオングループ)
「家事代行サービスは、豊富な経験を持つプロが掃除や片付け、洗濯、アイロンがけ、ゴミ出しなど、基本的な家事をしてくれるというもの。さまざまなサービスがありますが、おすすめはイオングループのカジタクですね。理由はプランの多さとコスパの良さ。家の広さにもよりますが、月4回の毎週プランなら最安月額が税抜いで2万5200円。月2回の隔週プランなら、最安月額が税抜きで1万6400円です。土曜・祝日も対応可能ですし、仕上がりに不満があったらやりなおしをお願いできる保証サービスもあります」

効率化アイテムや家事代行サービスの導入に妻が難色を示した場合どうすればいい?

とはいえ、コスト面や他人に家を預けるという心配から、家事代行サービスに抵抗を覚える人も少なからずいるかもしれない。効率化アイテムに比べて導入のハードルが高そうだが、「夫のフォローひとつで妻の意見も変わります」と矢野さんはアドバイスする。

「奥さんに『君の時間を過ごしてほしい』と伝え、コストは夫婦で相談しながら家計に合ったものを選んでください。家事代行サービスを利用し、空いた時間で『一緒に◯◯をしようよ』と提案してみると、良いきっかけになるかもしれません。他人に家事を任せるのが不安なら、奥さんの在宅時に利用することから始めてみると安心できると思いますよ」

家事の負担軽減は、夫婦で分担することだけではない。いずれの効率化を試してみるにしても、夫のほうから「これを利用してみよう」と提案してみることをおすすめしたい。

最後にアドバイザーからひと言

「いまや、家族だけで家事をやらなければならない時代ではありません。家計の中で使える金額内で家事代行サービスや最新家電を使いこなして、より充実した暮らしにしていきましょう!」

Text by Akihiro Fukuda(Seidansha)
Edit by Miki Ohnuki(Seidansha)

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第7回 | 次世代型の夫へ。「家事マインド」を高める

やる気も向上。男性向け家事講座で「家事の有用性」を学ぶ

主体的に家事に参加する、仕事と同じように家事と向き合う…。そうやって家事マインドを高めても、いざ実際に家事に取り組むと何から手をつけていいのかわからないというミドル男性は多いのではないだろうか。そんなときに便利なのが、家事初心者の男性向けの「家事講座」だ。「パパ家事サイエンス講座」や「スゴパパ工場」など、男性向けの家事講座を開催している杉山錠士さんに話を聞いた。
今回のアドバイザー
杉山錠士さん
放送作家、兼業主夫、株式会社ジョージ代表取締役
2児の父。NPO法人ファザーリング・ジャパンの非公認団体「秘密結社主夫の友」にて広報を担当。共働き夫婦で、長女が年長になったことをきっかけに、兼業主夫として主体的に家事に取り組むようになる。『新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~』(主婦の友インフォス情報社)など書籍も出版。

家庭内に潜むリスクをレクチャー。「家事をしなければいけない理由」を座学で勉強

杉山さんが所属する「秘密結社主夫の友」は、主体的に家事に参加する夫たちの団体。その活動のひとつが「パパ家事サイエンス講座」の開講だ。家事講座と聞くと、料理教室のようなワークショップのイメージを抱くが、じつは「パパ家事サイエンス講座」は座学が中心だという。

「家事の方法を体で覚えることを想像する人が多いかもしれません。しかし、男性がターゲットの場合は、まず『家事をしなければいけない理由』を理解してもらう必要があるんです。講座では、おもに掃除をサボったときに発生したホコリが子どもの体に与える健康被害や、食事をおろそかにしたときにかかる病気など、家庭内に潜むリスクをレクチャーしています」(杉山さん、以下同)

講師の話を黙々と板書する受講生たちの姿からは、大学で教授の講義を受ける大学生に近い印象を受ける。座学中心の講座となっているのは、「男性の脳の特徴」を踏まえているからだという。

「男性の脳は、直面する問題が明確でなければ行動に移せない仕組みになっています。『さまざまなリスクを避けるには家事が有効』という“理屈”を学んで理解をすると、男性は『家でやってみよう!』というやる気が湧いて、それぞれの家庭でより実践しやすくなるんです」

とくにミドル男性は家庭より仕事を優先しがちな傾向があり、もともと家事に慣れていない。だからこそ「理屈を理解してからのほうが、より家事に取り組みやすいはずです」と杉山さんは話す。

理想的なスケジュール。平日の仕事帰りに家事講座を受けて、休日に家庭で実践する

講義も、男性が興味を持ちやすい「科学」をフックにするなど、男性に響くように意識されている。

「主体的に家事をする男性はまだまだ少数派。『家事のやり方を教えます』というざっくりした内容では講座のイメージが湧かない人がほとんどです。そこで浴室掃除の仕方、包丁の研ぎ方など、ひとつのことを丁寧に掘り下げ、具体的にイメージしてもらうことで参加しやすくなるように工夫しています」

こうした工夫のひとつが講座の開催時間だ。「パパ家事サイエンス講座」は平日の仕事終わりの時間帯に行われているが、これは講座で芽生えた家事への関心を切らさないようにするためだという。

「講座で学んだことを土日に家庭で実践してもらいたいので、あえてこの時間帯に開催しています。夫がもっとも家事に取り組みやすい休日に、『家事を学んでくる』と言って家を留守にしては本末転倒ですからね。とはいえ、土日の講座もありますよ。お好み焼きの上手な作り方や家族写真のキレイな撮り方などを体験しながら学ぶことができる『スゴパパ工場』という講座で、子どもと一緒に参加できるように土日の開催です。親子のコミュニケーションを深める場として参加してくれる人も多いですね」

「主夫の友」が開く家事講座は、企業や法人団体の協賛が得られるため、専門家を講師に招いて行われる「パパ家事サイエンス」は毎回無料だ。親子で参加する「スゴパパ工場」も、材料費や道具代として2000円から4000円が必要となるだけ。この点も参加のハードルを下げてくれそうだ。

講座だけでは家事の正解にたどり着かない。学びを各家庭に合わせてカスタマイズ

言うまでもなく、細かな家事のやり方は各家庭によって異なる。杉山さんは、家事講座で学んだ方法だけにとらわれず、妻の意見にしっかり耳を傾けるのも次世代型の夫の条件と指摘する。

「主夫の友が重視しているのは、男性が自主的に『家事育児をしたい!』と思えるようにサポートをすることです。講座で学んだことだけが家事の正解ではありません。講座で学んだノウハウを活かしつつ、家庭のルールに合わせてカスタマイズしていくのがベスト。また、同じ意識や悩みを持つ者同士意見交換ができる場でもあるので、参加者で交流を深めることもモチベーションの維持につながりますよ」

座学で家事の意味を学び、それを持ち帰って自分の家庭向けにアレンジし、トライ&エラーを重ねて質を高めていく。なるほど、たしかにこれなら男性でも学びやすい。こうした家事講座への参加が、ミドル男性が次世代型の夫へと進化するための第一歩になるのかもしれない。

最後にアドバイザーからひと言

「終了後に交流会がある講座もあります。家事に積極的な男性と交流できる場はなかなかないですから『ほかの人から話を聞いてみたい』という理由でもいいので、ぜひ一度を受講してみてください」

Text by Chie Yamanaka(Seidansha)
Edit by Miki Ohnuki(Seidansha)

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