『Sクラスクーペ』『6シリーズクーペ』と対峙するLEXUSのラグジュアリークーペ
『LC』は、レクサスのフラッグシップクーペとして2017年3月にデビューした。「驚きと感動を提供するライフスタイルブランドとしての進化」を目指すレクサスが、変革の象徴とした一台だ。メルセデス・ベンツ『Sクラス クーペ』、BMW『6シリーズ クーペ』を仮想的に据え、ヨーロッパのラグジュアリーブランドに真正面から挑んでいる。
デザインは、低重心の低い全高とワイドな全幅が生み出すアグレッシブさが印象的。艶やかな曲面とシャープなラインが醸し出すエレガントさは、まさにスポーティさとラグジュアリーさを両立した秀逸さだ。発表時には海外メディアからも絶賛された。
走行性能では、新世代レクサスのFR車に展開される新開発プラットフォーム「GA-L(グローバル アーキテクチャー ラグジュアリー)」をいち早く採用。また、ハイブリッドシステムに有段ギヤを組み合わせた世界初の機構でエンジンと走行用モーター両方の出力を制御することにより、低速から力強い駆動力を生み出してパワフルな走りを実現する。
加えて、低速域から高速域まで、システム効率の高い動作点を選択することで、エモーショナルな走りと燃費性能に優れた快適なクルージング走行を両立した「マルチステージハイブリッドシステム」やシフトチェンジの際の心地良いフィードバックと、切れ味の良い変速が持ち味の「Direct Shift-10AT」など、最先端技術が満載である。
外装色は太陽のリングがモチーフ。パーフォレーションひとつにもこだわりが見える
こだわりのデザインと卓越した動力性能によって本物を知るユーザーから多くの支持を得た『LC』だが、今回発表した特別仕様車のこだわりは“カラー”。内外装色をイエローでトータルコーディネートした。
外板色には「ネープルスイエローコントラストレイヤリング」を、内装色には新開発した専用色の「ラスターイエロー」を採用。ちなみに、ラスターは光沢や艶、輝きという意味をもつ。通常モデルの内装にも同系統のカラーはあるが、これは「オーカー」という黄土色に近い色だ。「ラスターイエロー」で彩った内装のモチーフは金環日食。非日常的な室内空間を表現したという。
専用シートは、白地に黄色のシートステッチを組み合わせたセミアニリン本革。シート表皮のパーフォレーション(穴開け)は有機的な配置が特徴で、インテリアに華やかな印象を与え、同時に個性を際立たせた。このパーフォレーションは、金環日食が生み出す太陽のリングからインスピレーションを受けた幾何学模様を採用するこだわりぶりだ。
ほかにも、「専用スカッフプレート」ではCFRP(炭素強化繊維プラスティック)にイエローのアクセントを効かせるという、さりげなくも妥協ないこだわりが見てとれる。
『LC』特別仕様車の価格は、3.5L V6モデルが1485万円。5.0L V8は1435万円
ラインナップは2車種。『LC500h 特別仕様車 “Luster Yellow”』は、3.5L V型6気筒エンジンにマルチステージ ハイブリッド トランスミッションを組み合わせたFR車だ。税込み価格は1485万円。『LC500 特別仕様車 “Luster Yellow”』は、5.0L V型8気筒エンジンにDirect Shift-10ATを組み合わせたFR車で、税込み価格は1435万円だ。
写真は8月にペブルビーチ・コンクールデレガンスで発表された『LCインスピレーション シリーズ』で、特別仕様車とホイールやハンドル位置が異なる。
レクサスの塗装は、匠の手によって磨かれた極めて平滑な下地づくりと、独自の複層工程によって芸術の域にまで高められている。イエローはスポーツカーに多い色だが、ひと味違う、レクサスならではの深みあるカラーが男の所有欲を満たしてくれるはずだ。
Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) LEXUS
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)