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第5回 | 次世代型の夫へ。「家事マインド」を高める

「手伝うよ」はタブー。妻の怒りを買う家事のNGワード

家事・育児に追われる妻をいたわる気持ちで「忙しいならやらなくていいよ」と言ってしまったために、「じゃあ誰がやるの?」と激怒されてケンカになった…。そんな経験はないだろうか。夫の「忙しいなら」は妻にとって「NGワード」。ちょっとしたひと言が妻を怒らせてしまう原因と解決法について、家事シェアの第一人者・三木智有さんに聞いた。
今回のアドバイザー
三木智有
NPO法人tadaima! 代表理事
2011年NPO法人tadaima!を設立。「ただいま」と帰りたくなる家庭を実現するため、男性が家庭をもっと楽しむ必要を感じ 「関係(家事シェア)」と「環境(インテリア)」の両面からサービスを展開する。

「忙しいならやらなくていい」は絶対ダメ。妻は「あなたに言われたくない」と苛立つ

忙しそうな妻を気遣ったつもりなのに、なぜ逆に機嫌が悪くなるのか。三木さんは「妻たちは、当事者意識のない夫の姿勢に敏感に反応しているのです」と指摘する。

「『忙しいならやらなくていいよ』と言われると、妻は『(何もやっていない)あなたに言われたくない』と感じ、よけいに苛立ちます。また、『手伝う』という言葉からも家事への当事者意識の低さが伝わり、相手の怒りを買う可能性が高い。これらのNGワードを発すると、家族としての自覚がない夫だと見なされるでしょう」(三木さん、以下同)

「手伝うよ」は「俺がやっておく」に言い換える。家事のNGワードを言わない方法

では、妻の逆鱗に触れる家事の「NGワード」の具体例を見ていこう。三木さんは、夕飯時に「ご飯なにがいい?」と妻に聞かれたときの返答にも注意が必要とアドバイスする。

「『ご飯、何がいい?』と聞かれ、『簡単なものでいいよ』と答えるのはNGです。夫にすればわがままを言わないように配慮したつもりかもしれませんが、毎日献立を考える妻は『簡単な料理なんかないよ』と言いたくなるでしょう。この場合、自分で食事を用意しないなら、できるだけ具体的なメニューを伝えるのが得策です。また、『今日は僕が作るよ』と炊事を買って出たり、外食に誘うなどの提案をしたりすると、妻との口論を避けることができます」

料理を担当する妻は「メニューを考えること」が面倒なのであり、「簡単なものでいいよ」という返事ではなんの助けにもならない。むしろ、夫からメニューを提案すれば「考える」というプロセスが省略されるため、その分だけ妻の負担が減って喜ばれるわけだ。

「先ほどお話したように『手伝うよ』もイラッとされやすいNGワードです。こういうケースでは、『俺がやっておくよ』という当事者意識が感じられる言葉に言い換えるといいでしょう。その際は、“やってあげる感”が伝わってしまうドヤ顔にならないよう注意してください」

それでも、気をつけていたNGワードをつい口にしてしまうケースもあることだろう。そのときは「まず、妻がなぜ怒ったのかを理解する必要があります」と三木さんは言う。

「ケンカになると『そんなつもりはなかった』と自己弁護に走りがちですが、怒った妻に言いわけは通用しません。相手が自分の言葉のどこに引っかかり、どんな点にイライラしたのかについて耳を傾け、妻の気持ちを理解した上で謝罪しましょう。とりあえず謝るという姿勢では、『なんで私が怒っているのか本当にわかってる?』と怒りを増幅させる可能性があります」

日頃から家事育児に参加して「信頼貯金」を貯めれば、やがてNGワードはなくなる

NGワードは、妻との現在の関係性によっても変わってくるものだ。日頃から主体的に家事をしている夫に対しては、妻も「お前が言うな」という感覚にはならないという。

「家事に参加しようとせず、当事者意識も低い。そんな姿勢で耳障りのいい言葉だけをかけても、妻に響くはずがありません。『やらなくていいよ』という言葉自体が妻の逆鱗に触れるわけではなく、普段のあなたの積み重ねに対して怒っていると考えてください」

そもそも、ささいな言葉ひとつで妻を怒らせてしまうのは、お互いの信頼関係が崩れかけている証し。日頃から信頼関係が築けていれば、不要な口論は避けることができるという。

「私は『信頼貯金』と表現しているのですが、夫婦間の信頼は増えたり減ったりするもの。毎日の家事にしっかり参加し、信頼貯金を貯めておけば多少の失言ではケンカに発展しません」

そのうえで妻の信頼度を高めるコツがあるとするなら、それは「日頃の感謝の気持ちをきちんと言葉で伝え、妻をほめること」と三木さんはアドバイスする。

「もっとも効果的な言葉は『ありがとう』です。妻をほめる際は、できるだけ具体的な例を挙げてほめてください。自分で家事をしてみれば、妻が普段どれだけ要領よく家事をこなしているか、どんな工夫をしているのか、その大変さがわかるはず。実際に家事をして気づいたポイントを伝えてほめ、その場できちんと感謝の気持ちを伝えることが大切です」

NGワードは、家事・育児に参加してないからこそNGとなりうる。妻が「何に怒り」「何をがんばっているのか」。そこにちゃんと向き合えば信頼関係が深まるかもしれない。

最後にアドバイザーからひと言

「家事の大変さを理解し、感謝の気持ちを持つことで自然とNGワードも減っていきます!」

Text by Akeno Kataoka(Seidansha)
Edit by Miki Ohnuki(Seidansha)

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第8回 | 次世代型の夫へ。「家事マインド」を高める

家事は外注する。家事代行サービス・効率化アイテム最前線

家事について夫婦で話し合い、家事・育児の負担を平等に振り分ける。たしかにそれが理想的だが、必ずしも分担してうまくいくとは限らない。そこで一度試してみたいのが “家事の効率化”だ。最近では、共働き夫婦をサポートする家電アイテムや家事代行サービスが登場しており、それらをうまく活用すると、ストレスのたまった夫婦の不満解消につながるという。家事アドバイザーの矢野きくのさんに家事効率化のメリットについて聞いた。
今回のアドバイザー
矢野きくのさん
家事アドバイザー
家事の効率化、家庭の省エネなどを専門にテレビ、雑誌、講演などで活動。 時短家事、100円グッズ、便利グッズ、業務用食品の情報にも精通し、生活用品や便利グッズの企画にも携わる。ホンダ、イオン、東芝などの大手企業、日経新聞Webや共同通信などでの連載実績も多数。

家事を外注すれば負担が減るだけではなく「自分の時間」や「家族の時間」が増える

ひと口に家事といっても、やるべきことは極めて多岐にわたり、365日休みなく行わなければならない。矢野さんは「毎日のことだからこそ効率化してほしい」と話す。

「夫婦共働きが一般的になり、夫の家事参加も以前に比べて増えてきてはいます。しかし、いまだに妻の負担が大きかったり、慣れない家事に夫が苦戦して『面倒なもの』というイメージを抱いて消極的になったりと、お互いに家事への不満が溜まってしまうケースも多いようです。そうなる前に、最新の家事アイテムの導入や家事代行サービスに家事を外注すると、精神的、肉体的にもお互いに負担が軽くなりますよ」(矢野さん、以下同)

また、家事の効率化は夫婦の負担やストレスが軽減されるだけではなく、「『家族の時間』や『自分の時間』を有意義に過ごすことにもつながります」と矢野さんは話す。

「電気調理鍋」「ルンバ」「温水泡洗浄」…。ここまで進化した家事の効率化アイテム

さっそく矢野さんおすすめの家事の効率化アイテムを紹介しよう。

■電気調理鍋『クックフォーミー エクスプレス』(ティファール)
「150種類の時短レシピが内蔵されている鍋です。見た目は電気炊飯器に似ていますが、材料を入れてボタンを押すだけで加圧調理が始まり、肉じゃがなら3分、リゾットなら5分と、どのメニューも15分程度で料理ができあがるので重宝するでしょう。電気調理鍋なので火元を離れても安心ですし、旦那さんが手軽に料理できるのも魅力ですね」

■自動お掃除ロボット『ルンバ642』(アイロボット)※Amazon限定商品
「『ルンバ』は、昭和中期に登場した全自動洗濯機以来の革命的な家電です。その性能はどんどん向上し、畳、カーペット、フローリング、ラグなど、あらゆる場面に合わせて吸引口を調整し、階段の段差もしっかり回避するので、放っておいても大丈夫。ゴミの多い場所もセンサーが感知し、キレイになったと判断するまで徹底的に掃除してくれます。人間が掃除機をかける手間を、丸ごと『ルンバ』が請け負ってくれるんです」

■全自動洗濯機『温水泡洗浄WホワイトNA-FA120V1』(パナソニック)
「この全自動洗濯機の最大のポイントは、温水で洗濯できる『温水泡洗浄』。温水洗浄によって、汚れや黄ばみをキレイに落とすことができるのです。乾燥機能付きなので、洗濯物を干す作業を省略し、天気や時間を気にする必要もありません。好きなタイミングで洗濯乾燥ができると、洗濯物が溜まって夫婦でケンカになるトラブルもなくなりますよ」

豊富な経験を持つプロが基本的な家事をやってくれるイオングループの「カジタク」

こうしたアイテムに加え、食材の買い出しや家事全般をサポートするサービスもある。

■ネットスーパー(イオン、イトーヨーカドー、西友など)
「意外と大変な買い物の時間が短縮できるうえ、冷蔵庫の在庫を確認しながら発注することが可能なので、“ダブり買い”を防ぐことができます。イオンの一部店舗で提供している『置き楽プラスサービス』なら、不在中も専用コンテナに商品を入れて、玄関前に届けてくれます。1回100円の利用料がかかりますが、再配達の手間が省けるので利用価値は高いですね」

■カジタク(イオングループ)
「家事代行サービスは、豊富な経験を持つプロが掃除や片付け、洗濯、アイロンがけ、ゴミ出しなど、基本的な家事をしてくれるというもの。さまざまなサービスがありますが、おすすめはイオングループのカジタクですね。理由はプランの多さとコスパの良さ。家の広さにもよりますが、月4回の毎週プランなら最安月額が税抜いで2万5200円。月2回の隔週プランなら、最安月額が税抜きで1万6400円です。土曜・祝日も対応可能ですし、仕上がりに不満があったらやりなおしをお願いできる保証サービスもあります」

効率化アイテムや家事代行サービスの導入に妻が難色を示した場合どうすればいい?

とはいえ、コスト面や他人に家を預けるという心配から、家事代行サービスに抵抗を覚える人も少なからずいるかもしれない。効率化アイテムに比べて導入のハードルが高そうだが、「夫のフォローひとつで妻の意見も変わります」と矢野さんはアドバイスする。

「奥さんに『君の時間を過ごしてほしい』と伝え、コストは夫婦で相談しながら家計に合ったものを選んでください。家事代行サービスを利用し、空いた時間で『一緒に◯◯をしようよ』と提案してみると、良いきっかけになるかもしれません。他人に家事を任せるのが不安なら、奥さんの在宅時に利用することから始めてみると安心できると思いますよ」

家事の負担軽減は、夫婦で分担することだけではない。いずれの効率化を試してみるにしても、夫のほうから「これを利用してみよう」と提案してみることをおすすめしたい。

最後にアドバイザーからひと言

「いまや、家族だけで家事をやらなければならない時代ではありません。家計の中で使える金額内で家事代行サービスや最新家電を使いこなして、より充実した暮らしにしていきましょう!」

Text by Akihiro Fukuda(Seidansha)
Edit by Miki Ohnuki(Seidansha)

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