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第8回 | 日産の最新車デザイン・性能情報をお届け

この370Zはすごい──400馬力の公式チューニングカー

カルロス・ゴーンは、1999年にルノーと日産が資本提携を結んだのを受けて、COO(最高執行責任者)として日産にやって来た。このゴーン体制によって開発が始まったスポーツカーのひとつがR35型『GT-R』。もう一台がZ33型『フェアレディZ』だ。このうち復活した『Z』は、主戦場の北米市場でもヒットし、2008年12月にZ34型へと進化した。それからちょうど10年。2019年は『Z』の誕生50周年にあたり、秋の東京モーターショーには新型が登場すると噂されている。そんななか、北米日産が公式というべきチューニングカーを発表した。換装された強力エンジンの最高出力は400馬力に達する。

インフィニティ『Q60』の400馬力ツインターボエンジンを積んだ『フェアレディZ』

そのチューニングカーの名は『370Z Project Clubsport 23』。製作を担ったのは、日産車のカスタムパーツなどを開発・製作・販売し、日産のワークスチームとしてレース活動を行うNISMOと『Z』のモディファイヤーとして知られるMA Motorsportsだ。

最大の変更点は心臓部にある。ベースとなった『370Z NISMO』(日本名『フェアレディZ NISMO』)が搭載するのは最高出力355psを発生するハイパワーの3.7L V6「VQ37」エンジンだが、これをインフィニティ『Q60』の3.0L V6「VR30DDTT」ツインターボエンジンに換装。それにより、最高出力はさらに400psにまで引き上げられた。

組み合わせるトランスミッションは『370Z NISMO』の6速MT。このツインターボはATのみで販売されてきたので、これが初のMT仕様の「VR30DDTT」となる。もちろん補機類やサスペンションもNISMOやMA Motorsports製に変更して強化した。

外観も室内もスパルタン。ナンバープレートの両側から突き出すエキゾーストパイプ

エクステリアも、通常のNISMO仕様からさらにドレスアップされている。ボンネットは軽量のNISMO製カーボンネット、ミラーもカーボンファイバー製だ。リアまわりではバンパーを変更して空力性能を高めているが、目を引くのはユニークなエキゾーストだろう。ナンバープレートの両側からエキゾーストパイプが突き出しているのだ。

足元にはレイズ製18インチアルミホイールを履き、装着するタイヤは285/35R18のハンコックVentusシリーズ「R-S4」。言わずとしれたレーシングタイヤである。ブレーキパッドにNISMO、ローターにZ1 Motorsports製を採用して制動力も高めている。

ロールゲージを装着した室内は黒を基調とし、スポーティかつスパルタンな雰囲気。スパルコのフルバケットレーシングシートと6点シートベルトを採用し、黒のスウェードのステアリングホイールもスパルコだ。インストルメントパネルやセンターコンソール、ドアまわりのトリムには、ダイヤモンドパターンの赤のステッチが施されている。

市販化の予定はなし。しかし反響次第でカスタムパーツのパッケージキットが登場!?

残念ながら『370Z Project Clubsport 23』はコンプリートカーではない。つまり、いまのところメーカーカスタムの完成車として販売する予定はないということだ。

しかし、もしかするとユーザーがカスタムパーツによってこの公式チューニングカーを再現することが可能になるかもしれない。今回開発されたパーツの一部は販売されることが決まっているが、予想以上に反響が大きいようなら、ハードウェアと電装系などをパッケージしたビルダーズキッドを発売する可能性も示唆されているからである。

『Z』のファンは、2019年秋と噂される新型の登場まで待つか、販売されるカスタムパーツによって日産公式のチューニングカーを手に入れるか。悩ましいところだ。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Nissan Motor Co., Ltd.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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第11回 | 日産の最新車デザイン・性能情報をお届け

Zカー伝説、再び──フェアレディZ 50周年記念モデル

1989年は、国産車のヴィンテージイヤーといわれている。トヨタ『セルシオ』、R32型『スカイラインGT-R』、ユーノス『ロードスター』、スバル『レガシィ』。これらのクルマが誕生した年だからだ。しかし、そこから遡ること20年前、1969年もじつは負けていない。日産自動車が誇る伝説的な2台の名車、『フェアレディZ』と初代『GT-R』は1969年に揃ってデビューした。今年はその50周年にあたる。それを記念して発表されたのが、往年の『ダットサンZ』をオマージュした『フェアレディZ 50thアニバーサリー』だ。

世界総販売台数はじつに55万台。空前のセールスを記録した初代『フェアレディZ』

1969年に北米でデビューした初代『フェアレディZ』は、その流麗なスタイリングと動力性能から、一瞬でクルマ好きを虜にした名車だ。高性能なエンジンやストラット式4輪独立懸架サスペンション、手の届く価格などで人気となり、発売直後から大ヒット。1978年までの約10年間で、北米市場を中心に世界総販売台数55万台(日本国内は8万台)という空前の記録を打ち立てた。まさに伝説といっていい国産スポーツカーである。

とりわけ輸出専用モデルだった『240Z(日本での呼び名はニーヨンマルジー)』はレース用車両にも採用され、モータースポーツでの活躍を通じてその評価を高めた。1971年の第19回サファリラリーでは、直列6気筒OHCのL24型エンジンを210馬力にチューンナップした『240Z』が初出場にもかかわらず総合優勝。2位にも『240Z』が入ったことで、ラリーデビューをワンツーフィニッシュで飾るという快挙を成し遂げているほどだ。

今回の50周年記念モデル『フェアレディZ 50thアニバーサリー』では、そうした輝かしい戦績のひとつ、1970年にSCAA(スポーツカークラブ・オブ・アメリカ)主催のレースで優勝した往年の『ダットサン240Z BRE』のデザインを新たな形で再現している。

1970年のSCAA主催レースで優勝した『240Z』のカラーとデザインをオマージュ

ボディカラーは、「ブリリアントホワイトパール」をベースカラーに、ボンネットやAピラー、ルーフ、リアセクションなどを対照的な「バイブラントレッド」で彩るという鮮やかなもの。ドアの下部にもバイブラントレッドのストライプがあしらわれている。これは1970年当時の名門チーム、BRE(ブロック・レーシング・エンタープライゼス)のマシンから着想を得たカラーリングである。ボディ側面の「Z」のロゴ周りには「50Th」の文字をレタリング。ホイールは、リムに赤のラインを追加した19インチアルミホイールだ。

このブリリアントホワイトパール×バイブラントレッドのほか、「ブリリアントシルバー」のボディに「ダイヤモンドブラック」を組み合わせたカラーリングも用意された。

室内も専用装備にあふれ、50周年のアニバーサリーモデルとしてのスペシャル感を演出している。ステアリングホイールの表皮は、レーシングカーをイメージさせるセンターストライプを施したアルカンターラ。そのほか、専用キッキングプレート、専用カラーのシフトノブ、専用ステッチを施したパワーシートやドアトリムを採用した。さらに、メーター、シフトノブ、シート、フロアマットには「50th Anniversary」のロゴが配されている。

『フェアレディZ 50thアニバーサリー』は期間限定モデルとして今夏に発売予定

日産のグローバル商品戦略本部副社長のイワン・エスピノサ氏は、『フェアレディZ 50thアニバーサリー』について次のようにコメントしている。「370Zは日産にとって重要なアイコンたる存在です。このクルマは過去半世紀の間、セグメントを牽引してきました。370Z 50周年記念アニバーサリーエディションは、日産が存在し続けることを助けた重要モデルのオマージュであり、これまでのレースの歴史と功績を祝うモデルなのです」。

『フェアレディZ 50thアニバーサリー』は、2020年3月末までの期間限定モデルとして今夏に発売される予定。「Z」は、メガヒットシリーズ『ワイルド・スピード』にもたびたび登場することでもわかるように、世界中のカーガイがいまも愛し続けるジャパニーズスポーツカーだ。発売されれば、北米を中心にきっと予約受注が殺到するに違いない。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Nissan Motor Co., Ltd.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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