インフィニティ『Q60』の400馬力ツインターボエンジンを積んだ『フェアレディZ』
そのチューニングカーの名は『370Z Project Clubsport 23』。製作を担ったのは、日産車のカスタムパーツなどを開発・製作・販売し、日産のワークスチームとしてレース活動を行うNISMOと『Z』のモディファイヤーとして知られるMA Motorsportsだ。
最大の変更点は心臓部にある。ベースとなった『370Z NISMO』(日本名『フェアレディZ NISMO』)が搭載するのは最高出力355psを発生するハイパワーの3.7L V6「VQ37」エンジンだが、これをインフィニティ『Q60』の3.0L V6「VR30DDTT」ツインターボエンジンに換装。それにより、最高出力はさらに400psにまで引き上げられた。
組み合わせるトランスミッションは『370Z NISMO』の6速MT。このツインターボはATのみで販売されてきたので、これが初のMT仕様の「VR30DDTT」となる。もちろん補機類やサスペンションもNISMOやMA Motorsports製に変更して強化した。
外観も室内もスパルタン。ナンバープレートの両側から突き出すエキゾーストパイプ
エクステリアも、通常のNISMO仕様からさらにドレスアップされている。ボンネットは軽量のNISMO製カーボンネット、ミラーもカーボンファイバー製だ。リアまわりではバンパーを変更して空力性能を高めているが、目を引くのはユニークなエキゾーストだろう。ナンバープレートの両側からエキゾーストパイプが突き出しているのだ。
足元にはレイズ製18インチアルミホイールを履き、装着するタイヤは285/35R18のハンコックVentusシリーズ「R-S4」。言わずとしれたレーシングタイヤである。ブレーキパッドにNISMO、ローターにZ1 Motorsports製を採用して制動力も高めている。
ロールゲージを装着した室内は黒を基調とし、スポーティかつスパルタンな雰囲気。スパルコのフルバケットレーシングシートと6点シートベルトを採用し、黒のスウェードのステアリングホイールもスパルコだ。インストルメントパネルやセンターコンソール、ドアまわりのトリムには、ダイヤモンドパターンの赤のステッチが施されている。
市販化の予定はなし。しかし反響次第でカスタムパーツのパッケージキットが登場!?
残念ながら『370Z Project Clubsport 23』はコンプリートカーではない。つまり、いまのところメーカーカスタムの完成車として販売する予定はないということだ。
しかし、もしかするとユーザーがカスタムパーツによってこの公式チューニングカーを再現することが可能になるかもしれない。今回開発されたパーツの一部は販売されることが決まっているが、予想以上に反響が大きいようなら、ハードウェアと電装系などをパッケージしたビルダーズキッドを発売する可能性も示唆されているからである。
『Z』のファンは、2019年秋と噂される新型の登場まで待つか、販売されるカスタムパーツによって日産公式のチューニングカーを手に入れるか。悩ましいところだ。
Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Nissan Motor Co., Ltd.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)