「私だけがペットの世話をしている」。妻の負担が大きくなるといずれ不満が爆発する
言うまでもなく、ペットと暮らすとさまざまな責任が発生する。日々の食事の世話からトイレの片付け、散歩などによるストレスの軽減、体調の心配と、やるべきことがたくさん出てくる。それだけに、ペットと暮らす夫婦には世話をめぐるトラブルがつきものだという。
「子育てがそうであるように、ペットの世話も家事のひとつであり、夫婦のどちらかの負担が大きくなりがちです。傾向としては、妻の負担のほうが大きい家庭が多いのではないでしょうか。食事、トイレの交換などの細々とした作業に加え、犬なら散歩をしなければならない。こうした世話が妻に偏ると、『私だけが面倒を見ている!』という不満が蓄積されていってしまい、夫婦間のトラブルに発展する可能性があります」(藤原さん、以下同)
たしかに、それぞれの職場で重要なポジションに就いているミドル男性は、どうしても家庭より仕事を優先しがちで、ペットの世話は週末だけという人も多そうだ。
「ミドルエイジの男性にはペットの世話に関与していないケースが見られます。夫婦関係を良好に保つためにも、ペットの世話が妻に偏らないように配慮してあげてください」
ペットの世話を夫婦で分担するポイントは、精神的につらくならない負担の振り分け
しかし、どのようにペットの世話を夫婦で分担すればいいのだろうか。藤原さんは「ペットを家庭に迎え入れる前に、まず世話の分担を話し合うべき」とアドバイスする。
「ペットを迎えるということは、夫婦でひとつの命に責任を持つということなので、行き当たりばったりというわけにはいきません。日々の世話の分担など、決められることは事前に夫婦で相談し、万全な状態で受け入れる必要があります。妻が『私だけが世話をしている』と不満を漏らしてから夫婦で話し合うのでは、ハッキリ言って遅すぎます」
分担を決める際のポイントは、藤原さんによると「それぞれが苦痛を感じずにこなせる役割を受け持つこと」。そうすればお互いのストレスが最小限になるという。
「仕事と同じように、ペットの世話にも向き不向きがあります。また、ペットに向き合える時間帯にも夫婦それぞれでバラつきがあるでしょう。その点をすり合わせ、相手の苦手なこと、仕事上むずかしい時間帯の世話は自分が引き受ける。逆に、日中の散歩など自分ができないことは妻に任せるといった分担法がおすすめです。夫婦ともに苦手なことは交代制にし、互いの精神的な負担を半々にすれば、一方に不満が溜まる心配はないと思います」
つまり単純に世話の分担ではなく、精神的につらくない負担の振り分けをするわけだ。
自分の分担にとらわれすぎるな。日頃から担当じゃない世話もできるようにしておく
ただし、「自分の担当の世話だけすればいい」という考え方は禁物と藤原さんは指摘する。
「たとえば、妻が体調不良で寝込んでしまったときに、相手が担当していた世話を代わりにすることもできないようでは困ってしまいます。日頃から自分の担当ではない世話もできるようにし、お互いにペットの世話の全貌をきちんと把握するのがポイントです」
ペットを迎えれば自然と夫婦関係がうまくいくと考えるのは大間違い。子育てと同じように真剣に取り組めば、おのずと夫婦の関係も良好になっていくのではないだろうか。
最後にアドバイザーからひと言
「ペットの世話をしていくうちに『この世話は苦手かも…』と感じたら、自分のためにもペットのためにも我慢はNGです。すぐに家族に相談するようにしてください」
Text by Chie Yamanaka(Seidansha)
Edit by Miki Ohnuki(Seidansha)