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第22回 | モーターショーからの最新リポート

ベトナムモーターショーを彩ったエキゾチックな美女たち

自動車ショーというと、多くのブランドが出展するヨーロッパやアメリカのショーを思い浮かべるかもしれない。しかし、自動車の見本市が開催されるのは欧米の各都市や東京だけではない。中国はもちろん、近年は東南アジアでも盛んに行われている。最も規模が大きいのはバンコク国際モーターショーだが、ベトナムモーターショーも要注目だ。ベトナムは工業国として目覚ましい進歩を遂げており、輸出も国内消費も拡大。2020年にはハノイでF1グランプリも開催される。そのため自動車ショーも活気に溢れているのだ。

東南アジア有数の都市、ホーチミンを舞台に開催されるベトナム最大の自動車見本市

ベトナムモーターショーは、同国最大の都市であり、東南アジア有数の世界都市でもあるホーチミン(旧サイゴン)を舞台とするベトナム屈指の自動車見本市である。

じつは、ベトナムの自動車ショーは2017年まで、ベトナム自動車工業会(VAMA)が主催する「ベトナムモーターショー」と輸入車ブランドに特化したベトナム自動車輸入業会(VIVA)による「ベトナム国際モーターショー」が別々に開催されていた。

しかし2018年は初めて両団体の共催となり、VMS 2018(Vietnam Motor Show 2018)へと一本化。5日間の会期中には、およそ18万人の来場者が訪れたという。

アオザイを意識? 大きくスリットの入ったセクシー衣装をまとうベトナムの美女たち

とはいえ、出展ブランドの数はやや物足りない。ヨーロッパ勢はアウディ、メルセデス・ベンツ、ジャガー、マセラティ、フォルクスワーゲン、ランドローバー、ボルボの7ブランド。アメリカ勢はシボレーとフォード。そして日本勢では、トヨタ、レクサス、日産、ホンダ、スバル、三菱の6ブランドが参加した。つまり計15ブランドである。

これは会場となったサイゴンエキシビション&コンベンションセンター(SECC)のキャパシティが足りなかったことが原因だ。もっと大きな会場を確保すれば、2019年以降はBMWやポルシェ、フランスのシトロエンやルノーなどもこぞって参加するに違いない。

事実会場はアジア特有の熱気に満ち溢れている。目を奪われたのは、露出度の高い衣装をまとい、高級車の傍らで笑顔を見せるモデルの美しさだ。アウディやマセラティなどはブランド専属のモデルを連れてきていたが、大半は美しくエキゾチックなベトナム美女たち。全体的に腰から裾へ長いスリットの入ったセクシーなドレスが目立つ。これはおそらくベトナムの民族服であり正装でもあるアオザイを意識してデザインしたものだろう。

ベトナムは今後5年間でプラス6〜7%の成長。大手メーカーが注目する自動車市場

ベトナムの新車販売台数は年間25万台程度で、クルマの所有率は人口1000人あたり約20台にとどまっている。ベトナムの庶民にとってクルマはまだ手の届かない存在だ。今も昔もホンダ『スーパーカブ』が日々の生活のなかで欠かせない足となっている。

それは逆にいえば、ベトナムの自動車市場が成長の可能性を秘めているということ。ベトナム経済全体では、今後5年間でプラス6〜7%の成長が見込まれており、世界各国の自動車メーカーが熱い視線を注いでいる。ベトナムモーターショーは今後、タイ国際モーターショーとともに自動車業界で大きな注目を集めていくのではないだろうか。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) VMS 2018
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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第21回 | モーターショーからの最新リポート

カールマン・キング──ゴツすぎる地上ステルス戦闘機

ステルスとは、レーダーの反射が少なくなるように設計された軍事技術のことだ。戦闘機や爆撃機などさまざまなタイプがあるが、一般的にイメージするのは、アメリカ空軍初のステルス戦闘機である『F-117 ナイトホーク』の黒くていかつい機体だろう。最近、このステルス戦闘機をコンセプトに開発された超豪華SUVが「まるでバットモービルだ」と話題を集めている。

これはレーダーに映らないステルスカー? それともトランスフォーマーか?

このクルマの画像を見たとき、「えらいことが起こったぞ!」と思った。これはレーダー式の速度取り締まり測定器に映らないクルマか? それとも巨大ロボットにトランスフォームするのか?

しかし、ブラックアウトされたこの異形のクルマは、れっきとした市販SUVだ。その名を『Karlmann King(カールマン・キング)』という。2017年11月のドバイ国際モーターショーで初披露され、その際には世界各国から集まった名だたる自動車評論家やジャーナリストが驚きの声を上げて車両に駆け寄ったほどだった。

中東屈指の金融センターという土地柄もあり、ドバイ国際モーターショーには毎年、浮世離れした特別仕様の贅沢なクルマ、型破りなクルマが数多く登場する。そのドバイでも、これほどインパクトのある外観のクルマは滅多に見ることができないに違いない。

重量は最大6トン! ステルス機をコンセプトにしたハイエンドカスタムSUV

『カールマン・キング』は、北京に本社を置く中国企業「IAT Automobile Technology(IATオートモバイル・テクノロジー)」が企画・開発した。

車両を製作したのは、ヨーロッパから集められた1800人ものトップ技術者からなる特別な自動車設計チーム。その開発コンセプトは「ハイエンドカスタムメイドのSUV(地上ステルス戦闘機)」「前例のないデザインと饗宴体験を世界の自動車ファンに届けよう」というものだ。

ベースとなったのは、フォードのピックアップトラック『F-550』。6.8LのV10エンジンを搭載し、このパワーユニットを載せる強固なシャシーに、独自に開発したダイヤモンドのブリリアント・カットデザインのボディを架装している。

とりわけ、そのマットブラックのカラーリングはアメリカ空軍のステルス戦闘機『F-117 ナイトホーク』をイメージさせ、それが世界に類を見ないデザインポイントとなっているのだ。

ボディの素材は、カーボンファイバーや鋼鉄で構成され、車重は4.5トンになるそうだ。防弾の装甲仕様のオプションも用意されており、その場合の車重は6トン。「そんなに重くて砂漠が走れるのか?」と心配になるのは筆者だけではないだろう。当然、最高速度は約140km/hほどにとどまる。

いかつい外観から一転、内装はストレッチリムジンのような砂漠の王族仕様

このいかつい外観を見たら、内装も「鋼鉄むき出しに違いない」と考えるのが普通だ。ところが、車内には一転してゴージャスかつラグジュアリーなインテリアが広がる。

天井に星空をあしらい、室内を照らすのはホテルのラウンジライクなムーディなライティングだ。そして、最上級の本皮と思われる座り心地の良さそうなシート、4Kテレビ、Hi-Fiサウンドシステム、シャンパン用の冷蔵庫、エスプレッソマシン…。金庫にゲーム機のPS4まで搭載されるという。

さらに、エアコンはフロントとリアで独立し、引出し式のテーブル、スイスの超一流時計メーカー「IWC」製の時計、空気清浄機なども備える。この超豪華装備は、まさにストレッチリムジンにそのもの。砂漠の王族仕様といっても過言ではあるまい。

顧客は中東や中国の超富裕層、もしかして『ザ・バットマン』にも登場する?

『カールマン・キング』はドバイ国際モーターショーに続き、2018年4月の北京モーターショーでも披露された。

ドバイと北京で公開されたこと、そして防弾仕様のオプションやケタ外れの豪華な内装などを考えると、このクルマが中東や中国の超富裕層に向けたSUVであるのは間違いないだろう。

そのため、プライスも桁外れだ。車両本体が約2.3億円、カスタマイズやオプションも加えると約4.3億円という途轍もない価格がつけられている。12台のみの限定生産となるそうだ。

もはや「ほしい」という次元を超えたバットモービルのようなSUV。もしかすると、今年公開予定と噂される『The Badman(ザ・バットマン)』にも登場するかもしれない!?

Text by Katsutoshi Miyamoto
Photo by (C)karlmannking.com
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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