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第3回 | 次世代型の夫へ。「家事マインド」を高める

最適解はこれだ。夫婦のチーム力を高める家事のシェア法

夫婦で家事をシェアすれば妻の負担が軽減され、労り合う関係を築くことが可能となる。しかし、その場合に頭を悩ませることになるのが分担の割合だ。曖昧に分ければ妻ばかりに負担がかかり、きっちり分けすぎると今度は自分がそれをこなす自信がない。分担通りに家事をやらないと夫婦関係にヒビが入る可能性もあるだろう。NPO法人tadaima!代表理事で、家事シェアの専門家・三木智有さんに理想的な家事のシェア法を聞いた。
今回のアドバイザー
三木智有さん
NPO法人tadaima! 代表理事
2011年NPO法人tadaima!を設立。「ただいま」と帰りたくなる家庭を実現するため、男性が家庭をもっと楽しむ必要を感じ 「関係(家事シェア)」と「環境(インテリア)」の両面からサービスを展開する。

「実質的負担」と「不公平感による不満」。家事をめぐる妻の苛立ち原因はふたつある

家事の課題は家庭によってさまざまだ。家事分担の前にまず課題を洗い出しておかないと、「家事をシェアしても、結局は失敗する場合が多い」と三木さんは指摘する。

「妻が抱える家事のイライラの原因は二つあります。料理や掃除の手間がかかるという『負担』と、自分ばかりがやっているという不公平感からくる『不満』です。家事をシェアする場合も、ただ負担を分けただけでは不満は解消されません。まずは夫婦で話し合って、家事の課題を明確にしてから先に進みましょう」(三木さん、以下同)

家事の分担に目がいくと、どうしても妻の「実質的な負担」ばかりにとらわれる。しかし、同時に妻が抱える「不満」も解消しなくてはならないと三木さんは言う。

妻から指示を受ける「トップダウン型」と夫もリーダー役となる「プロジェクト型」

妻が抱える不公平感という「不満」も考慮したうえで、どのように夫婦間で家事をシェアすべきなのか。三木さんによれば、家事のシェアスタイルには大きく分けて「トップダウン型」と「プロジェクト型」の二つの方法があるという。

「『トップダウン型』は多くの家庭が採用している分担法で、妻がマネージャー役、夫がサポーター役になります。マネージャーの妻が担当を振り分け、サポーターの夫はその指示通りに料理や掃除などの自分に任された家事を行うのです。もうひとつの『プロジェクト型』は、料理、掃除、洗濯などのプロジェクト=家事の種類ごとにリーダーを据え、そのリーダーが責任を持ってプロジェクトを回すというもの。しかし、どちらの型が正解ということはなく、それぞれの家庭のライフスタイルに合わせて選んでも問題ありません」

そのうえで、あえて三木さんがおすすめするのがプロジェクト型のシェア法だ。

「プロジェクト型は妻の指示待ちにならず、夫の自主性も高まるというメリットがあります。とはいえ、本格的な家事の経験が少ない男性は、いきなりプロジェクト型のリーダーになるのはハードルが高いと感じるかもしれません。その場合、まずはトップダウン型で家事をシェアし、家事スキルが向上してからプロジェクト型に移行するのもアリです」

しかし、そうなれば仕事が忙しいという言いわけは通用しなくなる。リーダーになったら仕事と家事の負担を一気に背負うことになるのでは、と心配する人もいることだろう。

「プロジェクトのリーダーになったからといって、担当家事をひとりで遂行しなければならないわけではありません。たとえば、子どもの塾の迎えが夫の担当だとしても、残業が決まったときには『今日は遅くなるからよろしく』と妻に代打を頼んでもいいのです。プロジェクトリーダーは、あくまで上手くプロジェクトが回る方法を考えるポジション。そう考えれば、精神的にも肉体的にも負担は軽くなると思います」

家事の分担がうまくいけば夫婦がお互いを必要な存在と認め合い、チーム感が高まる

じつは、夫婦間の家事シェアにはさまざまメリットがあるという。「家事分担が適切になされると、夫婦の『チーム感』が高まる効果もあります」と三木さんは話す。

「家事シェアに失敗すると、不公平感による不満から、妻は『夫が帰ってこなければいいのに』と思い始め、円満な家庭を築くのが難しくなります。一方、シェアに成功している家庭の妻は、夫が帰ってきてくれると助かるので『早く帰ってきてほしい』と思うようになる。お互いが必要な存在と認め合えれば、夫婦のチーム感も高まっていくはずです」

ミドル男性のなかには「夫婦はチーム」という発想がなかった人もいるかもしれない。しかし、妻の負担を軽減して円満な家庭を築くという目的を考えれば、この発想にはとても腹落ち感がある。善は急げだ。さっそく家事シェアを取り入れてみてはどうだろうか。

最後にアドバイザーからひと言

「家庭の状況は常に変わっていきます。一度決めた夫婦間の家事・育児の分担も、定期的に見直していきましょう」

Text by Yoshiaki Murata(Seidansha)
Edit by Miki Ohnuki(Seidansha)

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家事は外注する。家事代行サービス・効率化アイテム最前線

家事について夫婦で話し合い、家事・育児の負担を平等に振り分ける。たしかにそれが理想的だが、必ずしも分担してうまくいくとは限らない。そこで一度試してみたいのが “家事の効率化”だ。最近では、共働き夫婦をサポートする家電アイテムや家事代行サービスが登場しており、それらをうまく活用すると、ストレスのたまった夫婦の不満解消につながるという。家事アドバイザーの矢野きくのさんに家事効率化のメリットについて聞いた。
今回のアドバイザー
矢野きくのさん
家事アドバイザー
家事の効率化、家庭の省エネなどを専門にテレビ、雑誌、講演などで活動。 時短家事、100円グッズ、便利グッズ、業務用食品の情報にも精通し、生活用品や便利グッズの企画にも携わる。ホンダ、イオン、東芝などの大手企業、日経新聞Webや共同通信などでの連載実績も多数。

家事を外注すれば負担が減るだけではなく「自分の時間」や「家族の時間」が増える

ひと口に家事といっても、やるべきことは極めて多岐にわたり、365日休みなく行わなければならない。矢野さんは「毎日のことだからこそ効率化してほしい」と話す。

「夫婦共働きが一般的になり、夫の家事参加も以前に比べて増えてきてはいます。しかし、いまだに妻の負担が大きかったり、慣れない家事に夫が苦戦して『面倒なもの』というイメージを抱いて消極的になったりと、お互いに家事への不満が溜まってしまうケースも多いようです。そうなる前に、最新の家事アイテムの導入や家事代行サービスに家事を外注すると、精神的、肉体的にもお互いに負担が軽くなりますよ」(矢野さん、以下同)

また、家事の効率化は夫婦の負担やストレスが軽減されるだけではなく、「『家族の時間』や『自分の時間』を有意義に過ごすことにもつながります」と矢野さんは話す。

「電気調理鍋」「ルンバ」「温水泡洗浄」…。ここまで進化した家事の効率化アイテム

さっそく矢野さんおすすめの家事の効率化アイテムを紹介しよう。

■電気調理鍋『クックフォーミー エクスプレス』(ティファール)
「150種類の時短レシピが内蔵されている鍋です。見た目は電気炊飯器に似ていますが、材料を入れてボタンを押すだけで加圧調理が始まり、肉じゃがなら3分、リゾットなら5分と、どのメニューも15分程度で料理ができあがるので重宝するでしょう。電気調理鍋なので火元を離れても安心ですし、旦那さんが手軽に料理できるのも魅力ですね」

■自動お掃除ロボット『ルンバ642』(アイロボット)※Amazon限定商品
「『ルンバ』は、昭和中期に登場した全自動洗濯機以来の革命的な家電です。その性能はどんどん向上し、畳、カーペット、フローリング、ラグなど、あらゆる場面に合わせて吸引口を調整し、階段の段差もしっかり回避するので、放っておいても大丈夫。ゴミの多い場所もセンサーが感知し、キレイになったと判断するまで徹底的に掃除してくれます。人間が掃除機をかける手間を、丸ごと『ルンバ』が請け負ってくれるんです」

■全自動洗濯機『温水泡洗浄WホワイトNA-FA120V1』(パナソニック)
「この全自動洗濯機の最大のポイントは、温水で洗濯できる『温水泡洗浄』。温水洗浄によって、汚れや黄ばみをキレイに落とすことができるのです。乾燥機能付きなので、洗濯物を干す作業を省略し、天気や時間を気にする必要もありません。好きなタイミングで洗濯乾燥ができると、洗濯物が溜まって夫婦でケンカになるトラブルもなくなりますよ」

豊富な経験を持つプロが基本的な家事をやってくれるイオングループの「カジタク」

こうしたアイテムに加え、食材の買い出しや家事全般をサポートするサービスもある。

■ネットスーパー(イオン、イトーヨーカドー、西友など)
「意外と大変な買い物の時間が短縮できるうえ、冷蔵庫の在庫を確認しながら発注することが可能なので、“ダブり買い”を防ぐことができます。イオンの一部店舗で提供している『置き楽プラスサービス』なら、不在中も専用コンテナに商品を入れて、玄関前に届けてくれます。1回100円の利用料がかかりますが、再配達の手間が省けるので利用価値は高いですね」

■カジタク(イオングループ)
「家事代行サービスは、豊富な経験を持つプロが掃除や片付け、洗濯、アイロンがけ、ゴミ出しなど、基本的な家事をしてくれるというもの。さまざまなサービスがありますが、おすすめはイオングループのカジタクですね。理由はプランの多さとコスパの良さ。家の広さにもよりますが、月4回の毎週プランなら最安月額が税抜いで2万5200円。月2回の隔週プランなら、最安月額が税抜きで1万6400円です。土曜・祝日も対応可能ですし、仕上がりに不満があったらやりなおしをお願いできる保証サービスもあります」

効率化アイテムや家事代行サービスの導入に妻が難色を示した場合どうすればいい?

とはいえ、コスト面や他人に家を預けるという心配から、家事代行サービスに抵抗を覚える人も少なからずいるかもしれない。効率化アイテムに比べて導入のハードルが高そうだが、「夫のフォローひとつで妻の意見も変わります」と矢野さんはアドバイスする。

「奥さんに『君の時間を過ごしてほしい』と伝え、コストは夫婦で相談しながら家計に合ったものを選んでください。家事代行サービスを利用し、空いた時間で『一緒に◯◯をしようよ』と提案してみると、良いきっかけになるかもしれません。他人に家事を任せるのが不安なら、奥さんの在宅時に利用することから始めてみると安心できると思いますよ」

家事の負担軽減は、夫婦で分担することだけではない。いずれの効率化を試してみるにしても、夫のほうから「これを利用してみよう」と提案してみることをおすすめしたい。

最後にアドバイザーからひと言

「いまや、家族だけで家事をやらなければならない時代ではありません。家計の中で使える金額内で家事代行サービスや最新家電を使いこなして、より充実した暮らしにしていきましょう!」

Text by Akihiro Fukuda(Seidansha)
Edit by Miki Ohnuki(Seidansha)

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