editeur

検索
サービス終了のお知らせ
第2回 | 次世代型の夫へ。「家事マインド」を高める

夫婦のトラブル回避のコツ。夫が知らない「名もなき家事」

家事と聞くと、多くの男性は買い物・炊事・掃除・洗濯といった名前のある家事を思い浮かべるかもしれない。しかし、多くの妻が夫にやってもらいたいと感じているのは、じつは「名もなき家事」だという。名もなき家事とはどんなものを指すのだろうか。世の夫たちが意識していない家事について、住宅・家事ライターの藤原千秋さんに聞いた。
今回のアドバイザー
藤原千秋
家事・掃除・子育て ガイド
大手住宅メーカーの営業職を経て、現在は住まいや暮らしに関するガイドとして、生活に役立つ情報を多数発信している。ほかにも、『この一冊ですべてがわかる!家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)の監修や、『人生が整う 家事の習慣』(西東社)の執筆など、多くの書籍を出版したり、アドバイザーとしてメディアに出演したりと、その活躍は多岐に渡る。

洗濯は衣類の分類からタンスにしまうまでが家事。夫は家事の工程を認識していない

そもそも家事とはどういうものか。『大辞林 第三版』には、「かじ【家事】①炊事・洗濯・掃除・育児など、家庭生活に必要な仕事」と書いてある。しかし、藤原さんは「家事は、そのようにはっきりと分類できるものだけではありません」と話す。

たしかに、大和ハウス工業が2017年に300組(男300女300)の共働き世帯を対象に実施した「20代から40代の共働き夫婦の『家事』に関する意識調査」を見ても、藤原さんが指摘するように、「家事の定義」に対する夫婦間の認識のズレがうかがえる。

「調査では妻の家事負担が多いことがわかりましたが、同時に家事全般に対する認識の違いも明らかになっています。多くの妻たちは、『食卓を拭く』『手洗い場のタオルを取り替える』『ゴミを分類する』などの作業を含めて家事だと認識していますが、一方、多くの夫たちはそれらを家事だとは思っていないのです。この家事に関する意識調査では、夫の認識が薄い家事を『名もなき家事』と定義しています」(藤原さん、以下同)

藤原さんは、「問題は夫たちが『家事の全貌』を理解していないことです」と指摘する。

「たとえば、ふだんから洗濯をしている人なら、洗濯という家事が『水洗い不可の洋服を仕分けてポケットのなかのゴミを確認する』『畳んだ洗濯物をタンスにきれいに仕舞う』という一連のプロセスであることが理解できるでしょう。しかし、洗濯をしていない人はそれがわからない。洗濯機に衣類を入れ、スイッチを押すことが洗濯だと思っているのです。この家事をめぐる双方の認識のズレが、大きな溝になる可能性はとても高いですね」

家事に臨む姿勢を変える。妻に「洗濯をイチから教えてください」と請う勇気をもて

だとしたら、夫たちは溝が深くなる前に「名もなき家事」の存在を理解し、認識のズレをあらためておく必要がある。ふだん家事をしない男性ならなおさらだ。そのためには「まず家事に臨む姿勢を変える必要があります」と藤原さんは言う。

「家事は日々の生活に欠かせず、仕事と同じくらい重要なことです。気まぐれで週末に料理をしてみる、という程度で家事をした気になるのは妻に対して失礼。また、プロセスを知らずに部分的に関与すると、家事が中途半端になってしまう可能性が高いです。たとえば、あなたが立案して進めているプロジェクトに、わかっていない上司が気まぐれで口を出してきたらイラッとしませんか? それと同じ感覚であることを理解してください」

だからといって、炊事・掃除・洗濯をすべて妻にまかせればいいというわけではない。

「『部分的に参加すると妻に怒られるから家事をしない』では、何も解決しません。まず自分が家事の本質を理解していないことを自覚する。そのうえで、妻に『洗濯をイチから教えてほしい』と素直に教えを請うのがベターです。口頭で教わった洗濯のプロセスを実行し、炊事や掃除も同じように経験して、何度でも反復しましょう。実際に家事の全行程をやってみれば、『名もなき家事』の存在も理解できるようになると思いますよ」

家事もホウレンソウが大切。「名もなき家事」を学ぶ過程で起こりうる初歩的なミス

気をつけなければいけないのは、家事を学ぶ過程で生じる問題だ。妻に相談せず家事のプロセスを独断で進めると、初歩的なミスから夫婦間のトラブルになりやすいという。

「事例として多いのが買い物です。たとえば、夫が食品や洗剤を買いに行ったところ、ふだん家で使っている洗剤などの銘柄がわからず、別の商品を買ってきてしまう。あるいは妻に鶏むね肉を買ってきて頼まれたものの、『100グラム100円以下』という値段の感覚が共有されていなかったために不必要に高い鶏むね肉を買ってきてしまう…。家計を無視した買い物をすると、結果的に妻が支出を切り詰めて尻拭いをするなど、別の負担が生じます。これらは『名もなき家事』を学んでいる途中で発生しやすいトラブルです」

それを避けるには、「買い物中にメールやLINEで妻に連絡をとり、写メを撮って商品の確認をしてもらうようにしましょう」と藤原さんはアドバイスする。そういえば、若手時代に上司への「報告・相談・連絡」を口酸っぱく言われたものだ。次世代型の夫に進化するためにも、まずは「名もなき家事」を認識し、実際に参加するところから始めたい。

最後にアドバイザーからひと言

「家事は仕事と同じ。きちんと参加して、はじめて発言権を得られるものです」

Text by Mitsuo Okada(Seidansha)
Edit by Miki Ohnuki(Seidansha)

ピックアップ
第8回 | 次世代型の夫へ。「家事マインド」を高める

家事は外注する。家事代行サービス・効率化アイテム最前線

家事について夫婦で話し合い、家事・育児の負担を平等に振り分ける。たしかにそれが理想的だが、必ずしも分担してうまくいくとは限らない。そこで一度試してみたいのが “家事の効率化”だ。最近では、共働き夫婦をサポートする家電アイテムや家事代行サービスが登場しており、それらをうまく活用すると、ストレスのたまった夫婦の不満解消につながるという。家事アドバイザーの矢野きくのさんに家事効率化のメリットについて聞いた。
今回のアドバイザー
矢野きくのさん
家事アドバイザー
家事の効率化、家庭の省エネなどを専門にテレビ、雑誌、講演などで活動。 時短家事、100円グッズ、便利グッズ、業務用食品の情報にも精通し、生活用品や便利グッズの企画にも携わる。ホンダ、イオン、東芝などの大手企業、日経新聞Webや共同通信などでの連載実績も多数。

家事を外注すれば負担が減るだけではなく「自分の時間」や「家族の時間」が増える

ひと口に家事といっても、やるべきことは極めて多岐にわたり、365日休みなく行わなければならない。矢野さんは「毎日のことだからこそ効率化してほしい」と話す。

「夫婦共働きが一般的になり、夫の家事参加も以前に比べて増えてきてはいます。しかし、いまだに妻の負担が大きかったり、慣れない家事に夫が苦戦して『面倒なもの』というイメージを抱いて消極的になったりと、お互いに家事への不満が溜まってしまうケースも多いようです。そうなる前に、最新の家事アイテムの導入や家事代行サービスに家事を外注すると、精神的、肉体的にもお互いに負担が軽くなりますよ」(矢野さん、以下同)

また、家事の効率化は夫婦の負担やストレスが軽減されるだけではなく、「『家族の時間』や『自分の時間』を有意義に過ごすことにもつながります」と矢野さんは話す。

「電気調理鍋」「ルンバ」「温水泡洗浄」…。ここまで進化した家事の効率化アイテム

さっそく矢野さんおすすめの家事の効率化アイテムを紹介しよう。

■電気調理鍋『クックフォーミー エクスプレス』(ティファール)
「150種類の時短レシピが内蔵されている鍋です。見た目は電気炊飯器に似ていますが、材料を入れてボタンを押すだけで加圧調理が始まり、肉じゃがなら3分、リゾットなら5分と、どのメニューも15分程度で料理ができあがるので重宝するでしょう。電気調理鍋なので火元を離れても安心ですし、旦那さんが手軽に料理できるのも魅力ですね」

■自動お掃除ロボット『ルンバ642』(アイロボット)※Amazon限定商品
「『ルンバ』は、昭和中期に登場した全自動洗濯機以来の革命的な家電です。その性能はどんどん向上し、畳、カーペット、フローリング、ラグなど、あらゆる場面に合わせて吸引口を調整し、階段の段差もしっかり回避するので、放っておいても大丈夫。ゴミの多い場所もセンサーが感知し、キレイになったと判断するまで徹底的に掃除してくれます。人間が掃除機をかける手間を、丸ごと『ルンバ』が請け負ってくれるんです」

■全自動洗濯機『温水泡洗浄WホワイトNA-FA120V1』(パナソニック)
「この全自動洗濯機の最大のポイントは、温水で洗濯できる『温水泡洗浄』。温水洗浄によって、汚れや黄ばみをキレイに落とすことができるのです。乾燥機能付きなので、洗濯物を干す作業を省略し、天気や時間を気にする必要もありません。好きなタイミングで洗濯乾燥ができると、洗濯物が溜まって夫婦でケンカになるトラブルもなくなりますよ」

豊富な経験を持つプロが基本的な家事をやってくれるイオングループの「カジタク」

こうしたアイテムに加え、食材の買い出しや家事全般をサポートするサービスもある。

■ネットスーパー(イオン、イトーヨーカドー、西友など)
「意外と大変な買い物の時間が短縮できるうえ、冷蔵庫の在庫を確認しながら発注することが可能なので、“ダブり買い”を防ぐことができます。イオンの一部店舗で提供している『置き楽プラスサービス』なら、不在中も専用コンテナに商品を入れて、玄関前に届けてくれます。1回100円の利用料がかかりますが、再配達の手間が省けるので利用価値は高いですね」

■カジタク(イオングループ)
「家事代行サービスは、豊富な経験を持つプロが掃除や片付け、洗濯、アイロンがけ、ゴミ出しなど、基本的な家事をしてくれるというもの。さまざまなサービスがありますが、おすすめはイオングループのカジタクですね。理由はプランの多さとコスパの良さ。家の広さにもよりますが、月4回の毎週プランなら最安月額が税抜いで2万5200円。月2回の隔週プランなら、最安月額が税抜きで1万6400円です。土曜・祝日も対応可能ですし、仕上がりに不満があったらやりなおしをお願いできる保証サービスもあります」

効率化アイテムや家事代行サービスの導入に妻が難色を示した場合どうすればいい?

とはいえ、コスト面や他人に家を預けるという心配から、家事代行サービスに抵抗を覚える人も少なからずいるかもしれない。効率化アイテムに比べて導入のハードルが高そうだが、「夫のフォローひとつで妻の意見も変わります」と矢野さんはアドバイスする。

「奥さんに『君の時間を過ごしてほしい』と伝え、コストは夫婦で相談しながら家計に合ったものを選んでください。家事代行サービスを利用し、空いた時間で『一緒に◯◯をしようよ』と提案してみると、良いきっかけになるかもしれません。他人に家事を任せるのが不安なら、奥さんの在宅時に利用することから始めてみると安心できると思いますよ」

家事の負担軽減は、夫婦で分担することだけではない。いずれの効率化を試してみるにしても、夫のほうから「これを利用してみよう」と提案してみることをおすすめしたい。

最後にアドバイザーからひと言

「いまや、家族だけで家事をやらなければならない時代ではありません。家計の中で使える金額内で家事代行サービスや最新家電を使いこなして、より充実した暮らしにしていきましょう!」

Text by Akihiro Fukuda(Seidansha)
Edit by Miki Ohnuki(Seidansha)

ピックアップ

editeur

検索