7割の夫が「もっと家事を引き受けたい」。その一方、実際は85%の家事を妻が負担
まず「家事は夫婦が協力でやるもの」と考える家事マインドの高い男性がどの程度いるかを見てみよう。2017年4月にパナソニックが既婚の30〜40代男性1555人と30〜40代女性1187人を対象に行った「30・40代夫婦のライフスタイル調査」によると、共働きの妻を持つ夫の72.4%が「家事はもっと分担して引き受けたいと思っている」と回答したという。
じつに7割を超える夫が「家事は夫婦が協力してやるもの」と考えているわけだ。しかし、これは「分担したいと思っている」夫の割合で、実際に分担しているわけではない。
この調査では平日における共働き夫婦の家事の約85%を妻が担っていることが明らかになっている。休日の場合は妻が約76%、夫が約24%とスコアに多少の変化はあるが、家事のほとんどを妻が担っていることに変わりはない。妻の負担が依然高いことがわかるだろう。
夫が家事をしない理由は「家事をする時間がない」「妻にダメ出しされるのが嫌」etc
「もっと分担して引き受けたい」と思っているのに、なぜ夫たちはそうしないのか。この調査ではその点についても夫たちに質問している。もっとも多かったのは、56.1%の支持を集めた「家事をする時間がない」。これに「家事よりもほかのことを優先してしまうから、ほかのことがしたいから」が48.1%で続いている。多くの男性は覚えがあるのではないだろうか。つまり、家事よりも目の前に山積する仕事、あるいは趣味の時間を優先してしまっているようだ。
このほかにも、「妻の家事レベルが高いから」(42.5%)、「家事をやると妻が口を出してくるから、(妻が)やり直したりするから」(34.7%)との声もみられた。とくに「妻の家事レベルが高い」は、夫たちが仕事と同じように捉えて家事と向き合っていない証にも思える。
こうした消極的な姿勢で中途半端に家事に参加すれば、そんな夫にイラッとした妻とのあいだでトラブルになるのは避けられない。「家事の分担についてパートナーとの間でケンカになったことがある」という質問には、64.1%の男女が「YES」と回答している。
妻たちが社会に出て共働きが当たり前となった現在、家事の分担は夫婦関係に大きな影響を及ぼすファクターになっている。家事マインドの高い次世代型の夫が求められるゆえんだ。
夫が考える家事分担の実態は「夫43:妻57」。妻が考える実態は「夫20:妻80」
では、家事は夫婦でどれくらい分担するのが理想なのだろうか。上記までと同様にわかりやすく数字で見てみよう。出典も同じく「30・40代夫婦のライフスタイル調査」だ。
それによると、夫が思う家事分担の理想の割合は「夫46:妻53」、夫が思う実態の割合は「夫43:妻57」。一方、妻が考える理想の割合は「夫34:妻66」、実態の割合は「夫20:妻80」。ご覧のように、両者の家事分担に関する認識には、想像以上に大きなズレが存在している。
しかも、問題は分担の割合だけではないようだ。妻からは「食器洗いをその日のうちに済ませたい自分と、翌日でもいいと考えるパートナーで衝突した。自分は料理をしたので、パートナーにしてもらいたかった」など、家事のタイミングについても厳しい声が出ていたからだ。
家事をめぐる夫婦の問題は根深い。とりわけ男性たちは、よほどマインドを高めないと次世代型の夫に進化することはできない。当シリーズは今後、より具体的に課題を掘り下げていく。
Text by Norifumi Numazawa(Seidansha)
Edit by Miki Ohnuki(Seidansha)