東京大や早稲田大、慶応大などに続き、青山学院大でも囲碁の授業が始まった。日本棋院のプロ棋士を講師に、対局を通して、卒業後に役立つ論理的思考を養うのが狙いだ。4月から囲碁担当になった記者も、学生に交じって聞いてみた。
「囲碁は、陣地(地〈じ〉)を多く囲ったほうが勝ち。地は『1目(もく)、2目』と数えます」
18日、青山学院大青山キャンパス(東京都渋谷区)で本格的に始まった「囲碁で養うロジカルシンキング」の授業。囲碁初心者の学生48人が参加した。
囲碁授業は、東大や早稲田大でもおこなわれてきた。同大では、全学共通教養教育にあたる「青山スタンダード」内に、就業力の育成を目指す領域を設けてキャリアに関する科目をまとめており、本講座はそのひとつだ。
講師の桑原陽子六段はにこやかに講義を進めるが、記者は「陣地を囲う」というイメージがわかず、いきなりつまずく。黒板に貼られた決着がついた盤の図には、まだ空いている部分がある。「これで勝負がついてるの?」と疑問がわいてきた。
基本の五つのルールを学び、まずは、相手の石を先に2個取ったほうが勝ちという石取りゲームに挑戦する。6×6の小さな「6路盤」(図の〈2〉で使用)が、囲碁ワールドの入り口を体験させてくれた。
しかし、地の数を競う「囲碁」に移った途端、何かが違う。学生同士の対局は、黒白が市松模様風に並んでいたり、オセロのように石が盤にぎっしり並んでいたり。ルールが少なくても、適当に並べては「囲碁の形」にはならないようだ。
そこに「ここに打たれたら、自陣に入り込まれないよう、こちらに打って防ぎましょう。陣地を守ることを意識して」のアドバイス。すると、それらしい形になってくるから不思議だ。
「これって、勝ってるんですか?」。学生から質問が出る。「白はもうどう頑張っても巻き返せない。だから黒の勝ちですね」。囲碁は、王を詰ませば勝ちという将棋のような初心者にも分かりやすい終わり方ではないという。「自分が納得できるところまで打ち、お互い打つところがないと宣言すれば終わりです」と桑原六段。終局するにも、自分の地がどこかを理解する訓練がまず必要だ。
授業ではこんな言葉も出た。「逃げてもだめなときは、取られる石が少ないうちにあきらめて、他の地をねらう」「全体の状況を見るのは大事だけど、今、この黒は危ない。そういうときは、まず戦うのが先」
3年の鈴木直人さん(20)は「守ったり攻めたりするのが面白かった!」と次回授業を心待ちにする。元ゲーマーの記者も同感。戦略シミュレーションゲームを連想し、盛りあがった。
3年の福島潔美(きよみ)さん(21)は「聞くだけの講義が多い中、考える時間が楽しい」と言った。大学側は「対局で培われる先を読む力を通し、専門科目で学べるのとは違う思考パターンが得られるのではと期待している」。勝ち負けを経験していない学生に、ルールがある中での「負け」を経験してほしいとの思いもあるという。
桑原六段は「囲碁に『正解』はない。だから決断する力、選んだ道に責任を持つ力がつく」と話した。(鈴村綾子)
■埼玉・琉球大でも
囲碁関連の授業は今年度、埼玉大でも「スポーツで養う思考力」が始まった。囲碁とサッカーをテーマに判断力や分析力、洞察力などを養うのが目的。酒井真樹八段が囲碁を指導する。
また琉球大は8月下旬、プロ棋士による「囲碁の世界」を5日連続の集中講義で開講する。
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