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2019-06-11

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・いまも京都のTOBICHIで、
 梅干しづくりのワークショップをやっている
 「バンブーカット」の順平くんが、
 梅干しづくりのキットを贈ってくれた。
 このところ家人がたいへんに多忙で、
 犬とぼくは、なるべく自立的に生きてなくてはいけない。
 いま犬は、「ようちえん」にいるし、
 そもそも彼女は台所仕事はできない。
 つまり、2019年の梅干しを漬けるのは、ぼくの役目だ。
 そうと決めたら、やる気にもなってきた。

 梅の実が店頭に並びはじめたころに、
 梅干しを漬けたりすることを、「梅仕事」と言う。
 ちょっぴりの量ならそれほどでもないのだけれど、
 20キロとか50キロの梅を梅干しにすることは、
 根気のいる、時間も手間もかかる大仕事だ。
 「梅仕事」と、田植えのように特別な言い方をするのは、
 覚悟して迎える季節のたのしみでもあったのだろう。

 ぼくのセットには、完熟直前の梅が3キロ入っていた。
 3キロ分の「梅仕事」など、たいしたことはない。
 それでも、梅にも器にも塩にも、じぶんの手にも、
 35度のホワイトリカーを霧吹きでかけ消毒し、
 竹串の先で梅のへたを取り、桶に並べ…と、
 まじめにやっていくと、それなりに時間もかかる。
 この時間、かつてよくジャムを煮ていたころ、
 よく味わっていた「いい空っぽ」によく似ている。
 なにかしている分だけ、ちょっとずつだけれど、
 なにかが完成に近づいている。
 考えたり悩んだりがほとんど無くなって、
 目を離さず手を離さずにいれば、
 ジャムづくりも梅仕事もちゃんと前に進むのだ。

 もしかしたら、なにかヘマをしている可能性もあるが、
 たぶん、明日か明後日には水が上がってきて、
 ひと月ほど先には、スリルのある天日干しに進む。
 そうそう、雨の心配をしながら梅を干すんだよねー。
 おっと、その前に赤紫蘇をもんで入れるんだっけな。
 やりはじめたら、すっかりたのしくなってきたぞ。
 あの二月に花をたのしませてくれた梅が、ねぇ…。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。 
「無趣味」だと思ってる人に「梅仕事」はたのしいですよ。


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