「ルーク、ヤン、また何かしたな」
兄弟の格好を見て問いただす、二人は何も答えずコキュートスを見る。見られたコキュートスは何故見られているのかわからずデミウルゴスに目で助けを求める。デミウルゴスは無情にも顔を横に振る。この一連の流れを見たアインズは再び兄弟に問いただす。
「ルークにヤン、コキュートスのせいにしないで正直に答えてくれないか?」
言葉は優しいが絶望のオーラが出ている、今はレベル2程度だ。
「あ~… そんな私達の事より何か理由があって各階層守護者と私達を呼んだんですかね?」
「……… はぁ、まぁ良い。今回呼んだのはコキュートスのリザードマン侵略の件だ」
アインズは諦めたのか今回の件について話す、そしてなんやかんやあって皆でリザードマンの所に行く事になった。
リザードマン軍の前にアンデッドの軍団が列をなす。コキュートスの時とは違い魔法の武具を着込んだ化け物の軍団だ。そして中央の隊列が左右に分かれる、そこに現れたのは死の支配者。死の支配者が魔法を放つ、一瞬にして沼地が凍り付く。そして間髪入れずに超巨大なゴーレムが四角い超巨大な岩を投げ入れるとアンデット軍が行進し階段状になっていく。
「まさか… 王の通り道か」
リザードマン達には今驚愕と恐怖が支配している、死の支配者達が岩の上に着くとメッセンジャーモンスター達ををリザードマン達に向け放った。
「偉大なる御方の言葉を伝える」
「偉大なる御方々は対話を望まれている」
「代表となる者は即座に歩みでよ」
「無駄な時間の経過は偉大なる御方々を不快にさせるだけと知れ」
それだけ言うとメッセンジャーモンスター達は戻っていく、そして戻ったと同時に漆黒のボールガウンを着た少女が手を鳴らし消滅させた。
「あ… あれだけの為にモンスターを使ったのか…」
そして直ぐにシャースーリューがザリュースの元へ行く。
「弟よ、来てくれるか」
「うむ」
そういうとシャースーリューは砦から飛び降りる。
「ザリュース…」
「クルシュ、行ってくる」
「気を付けて」
ザリュースもクルシュと会話を済ませると飛び降りた。二人は堂々と死の支配者に向かって歩き出す。向かう最中二人は会話をする。
「すまんな」
「相手の数を考慮すれば兄者一人では無礼と思われるかもしれん、それに見せしめで殺されたとしても旅人の俺ならば部族の団結の点では惜しくない」
そして目の前に付き歩みを止める、そして名を名乗った。
「リザードマンの代表、シャースーリュー・シャシャだ。そしてこの者こそリザードマン最強の者!」
「ザリュース・シャシャだ!」
「そしてルークと!」
「ヤンだ!」
いつの間にかシャースーリューとザリュースの後ろに居る吸血鬼兄弟、やはりワニの着ぐるみを着ている、その姿を見たリザードマン二人は驚いた。一方死の支配者、アインズは口をアングリ開けて精神の鎮静化に身を任せていた。
各守護者達は動揺した、なぜ至高の御方々であられるお二人がリザードマンに組みしているのかを。シャルティアは動揺が顔に出ている、アウラ、マーレは固まったまま、デミウルゴスはなるほどっと何か盛大に勘違いして眼鏡をクイッとあげアルベドは二人を睨む。
「……… ルークにヤン… 戻ってこい」
やっと正気に戻ったアインズは吸血鬼兄弟に向け話す、ニグンの二の前にならない様に細心の注意を払って。
「え~これからが面白いのに~」
「そうだそうだアインズ! これからが面白いんだぞ!」
吸血鬼兄弟はリザードマン兄弟を盾にして答える。
「はぁ… デミウルゴス、あの兄弟を連れてこい」
「アインズ様、よろしいので?」
「あぁ大丈夫だ」
アインズがデミウルゴスに指示を出した、デミウルゴスは確認を取ると素早く吸血鬼兄弟に近づいた。
「ルーク様、ヤン様、お戻り願えますか?」
「「えぇ~、やだぁ~」」
吸血鬼兄弟は尚も拒否する、デミウルゴスは仕方ないといった感じで吸血鬼兄弟にもっと近づき耳元で何かを呟いた、すると吸血鬼兄弟は態度を一変させアインズの元に戻った。
「さぁ~早く終わらせようぜぇ」
「まったくだ、こんな事は早く終わらせましょうアインズ様」
アインズはデミウルゴスが一体何を呟いたのか解らない、デミウルゴスの方を見ても当然の事ですと言わんばかりの顔で見てくるだけである。
ここからはアインズの計画通り事は進んだ、話が終わるとアインズ御一行はゲートで偽ナザリックへ向かったのであった。