骨と吸血鬼兄弟   作:大三元
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八話 ワニと吸血鬼兄弟 上

パンドラ事件から数日後吸血鬼兄弟は黒棺に幽閉されていた。出ようと思えば出れるのだが真面目にアインズの罰を受けている。

 

「なぁ恐怖公、今日で罰終わりだよなぁ?」

 

「そうでございますねヤン様」

 

優雅に一礼して答える貴族風のG。もうこの部屋に慣れたらしくヤンは恐怖公と、ルークは寝転がっている。ルークにはG達が群がっていて、傍から見たら黒い山が出来ている。

 

「兄ちゃん! アインズちゃん所いこ~ぜ!」

 

「………」

 

「兄ちゃん?」

 

兄が居るであろうG団子へ声をかけるが返事がない、恐る恐る近づくとルークがガバッっと起き上がり手に持っていたG達をヤンの口に詰め込んだ。

 

「これで37対36ッ! 私の勝ちだ愚ッ弟ィ!」

 

「フゴフゴッ! フゴフゴフゴッ!」

 

二人はGに慣れてからというものGを使った何かで相手に何かをし、それに引っかかったら仕掛けた方が勝ちという遊びをしていた。恐怖公はその遊びには余り良い顔をしていないが偏見なく眷属達を見てくれている兄弟には敬意を示している。

 

 

 

 

 

 

「アインズちゃ~んあんときはごめんねぇ~」

 

「アインズ様、本当にすみませんでした」

 

「… まぁちゃんと罰は受けていたみたいなのでこれであの事件は… あぁ… あの事件は許します」

 

途中で鎮静化しつつ話すアインズ、余程あの事件は印象に残ったのだろう。

 

「そうそう、今コキュートスにリザードm」

 

「っで兄ちゃんこれから何しよっか」

 

「そうだな燃えカス、エントマにでも会いに行くか」

 

兄弟はアインズの話を聞かず扉へ向けて歩いている。

 

「ぅおぉおい馬鹿兄弟! こっち来て正座だ正座!」

 

この後メチャクチャ怒られた。

 

 

 

 

 

 

トブの大森林偽ナザリック、コキュートスがエントマからデミウルゴス製スクロールを受け取っている時ゲートの空間が広がった、何も連絡を受けていないコキュートス達は警戒したが出てきた人物達を見て直ぐにその場に跪いた。

 

「コキュートスだ! 兄ちゃんコキュートス!」

 

「なぁヤン、コキュートスの何処がそんなにいいんだ?」

 

「だってよぉー兄貴ぃ、カッコイイじゃん!」

 

カッコイイ等と言われてコキュートスは凄くテンションが上がったが僕として表には出さない。

 

「ルーク・バレンタイン様、ヤン・バレンタイン様、コノヨウナ場所ニ何カ御用デショウカ」

 

「ん? あぁなんかおもしろそ~な事してるなぁ~って思って来ただけだ」

 

「くれぐれもアインズには言わないでくれたまえ」

 

二人はコキュートスに答えるとエントマに近づいていく。

 

「エントマちゃ~んお土産だよぉ~ん」

 

そういうと小さな袋を渡す、何やらカサカサ蠢いているが気にしないでおこう。

 

「ありがとうございますぅヤン・バレンタイン様ぁ」

 

そして二人はエントマで遊び始めたのであった。

 

 

 

 

 

 

そして数日が経ちリザードマン軍とコキュートス軍の戦いが始まった。リザードマンの族長たちは砦の上で話し合っている。

 

「あいつら舐めてんのかよ」

 

「なんだか理解できないな、もしかして指揮官が居ないんじゃないか?」

 

「つまりよ、頭数そろえりゃいいって思われてんのか?」

 

「ふざけやがって!」

 

「そうだそうだふざけんじゃねぇ!」

 

「アインズに一泡吹かせろー!」

 

聞きなれない二つの声に族長たちは一斉に後ろを見る、そこには見慣れない人物が立っていた。

 

「誰だ貴様らぁ!」

 

ゼンベルが声を上げると一斉に戦闘態勢に入る、しかし相手方は動揺も何もない。

 

「僕ちゃんの名前はヤンでぇ~す!」

 

「兄のルークだ、以後お見知りおきを」

 

二人の格好はワニの着ぐるみを着た姿だった、完全に場違いな姿に困惑しつつもザリュースが声を出す。

 

「俺はザリュース・シャシャ、貴様達は何者だ!」

 

「え? 見ての通りワニでぇ~す!」

 

「いぇ~い」

 

何ともふざけた言い方で挑発をする。族長達は何とも言えない空気が漂った。

 

「いや、そういう意味ではなくてn」

 

「よっしゃ行けぇ! アンデットなんて倒しちまえぇ!」

 

二人は戦を見て声を上げている、無視されたザリュースはもう話すことを諦めた。そして業を煮やしてゼンベルが二人に攻撃を仕掛けた。

 

「俺達を無視すんじゃねぇ!」

 

しかし攻撃は空を切る、いつの間にか二人はゼンベルの後ろに立っていた。

 

「おーおー怖いねぇ~」

 

「まぁアレだ、私達には敵意はない。ゆっくりこの戦を観戦しようじゃないか」

 

そういうと二人はゼンベルの肩を掴みまた観戦し始めた。ゼンベルは混乱している、いや族長達は困惑している。

 

 

 

 

 

 

そうこうしているうちに敵の総大将らしきエルダーリッチが出てきた、族長達は二人の事は一旦置いといて敵をどうするか話し合いを始めた。そしてザリュース、ゼンベル、クルシュのロロロに乗った決死の突撃で打ち負かしたのだった。

 

そして祝勝会が開かれたのだが例の二人はちゃっかり参加していて酒を飲み騒いでいた。族長達も害は無さそうだし監視を付けるっという事で話は纏まったみたいだ。

 

「おっと、ヤン。アインズが呼んでるぞ」

 

「しゃぁ~ねぇ、帰りますか」

 

二人は忽然と消えた、その光景を見ていたリザードマン達は驚き警戒をしたのだがその場は静寂に包まれるだけだった。

そして帰ってきた二人を見てまた静寂に包まれるアインズと階層守護者達であった。

 

 

 

 



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