骨と吸血鬼兄弟   作:大三元
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五話 吸血鬼少女と吸血鬼兄弟1

あの後は凄く大変だった、吸血鬼兄弟がアインズに謝り先ほどのは冗談だとNPC達に説明した。そしてアインズを名乗るのはモモンガだともう一度宣言しその場は終わった。

 

その後デミウルゴスやアルベド等が何か深読みしすぎてNPC達の好感度が上がっていく、この話はまたいずれに…。

 

 

 

 

 

 

「ルークとヤンの階層探索隊~」

 

誰に言う訳でもなく二人の声は廊下に響き渡る、今居る場所は第一階層。なぜこの様な所に居るかと言うとアインズから外出禁止令が出されたため暇つぶしの為に居る。因みにアインズは頑張ってお仕事をしている。

 

「なぁ兄ちゃん、なんもねーな」

 

「あぁ、ここは罠やらしかないからな。後雑魚モンスターと」

 

二人は第二階層へと向かって歩いた。

 

 

 

 

 

 

「えーとここの部屋なんだっけ?」

 

「確か… あっ、まぁいい次に行くぞ」

 

「え? なになに!? 教えてよ兄~ちゃん!」

 

興味津々で聞いてくるヤンに対しルークは顔を引きつらせて先に行こうとヤンの袖を掴んで歩き出す。ヤンは気になったのかその部屋の扉を開く、そこには無数の小さな黒い悪魔がカサカサと蠢いていた。

 

「ギャァー!」

 

「うわぁああああ!」

 

急いで扉を閉める、ヤンは思い出した…ここは黒棺〈ブラックカプセル〉恐怖公が守護する領域。二人は何も見なかった事にし無言で次の場所に早歩きで向かった。

 

「着いたぞ、ここは屍蝋玄室。確かシャルティアの部屋だったか」

 

「なんでもいいや、こっちは暇つぶしが出来て楽しかったらなんでも構わねぇや。屍蝋玄室だがシャルティアだが知らねーが、楽しんでやらぁ!」

 

そういうとノックもせず部屋に入る、中には吸血鬼の花嫁しか居らずシャルティアが居ない。

 

「アローアロー、吸血鬼の花嫁の皆さまこんにちはぁ。僕ちゃん達はバレンタイン兄弟、僕弟のヤンで~すよろしくねぇ~」

 

吸血鬼の花嫁達は突然現れた兄弟に驚いた。しかしナザリックのNPC、即座に二人の前に跪く。

 

「ルーク・バレンタイン様、ヤンバレンタイン様、このような場所にいかがなされましたか?」

 

「ふん、暇つぶしさ暇つぶし。ただのくだらん普通のな」

 

そういうと近くにあった椅子に座った、ヤンは跪いた吸血鬼の花嫁の肩に手を置く。

 

「ねぇねぇ、シャルティアはど~こ~?」

 

「シャ… シャルティア様はただいまアインズ様の元へ挨拶に伺っております」

 

「ふ~ん」

 

ヤンに触れられ少し動揺はしたものの直ぐに正気に戻り答える、なぜか頬を赤く染めているのはご愛敬。

 

ヤンは考える、この場所の責任者が居ない…となるとやりたい放題だ、と。

 

「じゃあさおまえ暇だよね、僕ちゃんと遊ぼうぜ」

 

「なら俺はお茶でも貰おうか」

 

ヤンは吸血鬼の花嫁一人を抱き寄せるとそのまま椅子に向かう、ルークは他の吸血鬼の花嫁に紅茶を持ってこさせる。

 

 

 

 

 

 

暫くしてシャルティアが戻ってきた、部屋の前に来て異変に気付く。部屋からヤンのゲスい笑い声とルークの楽しそうな話声、至高の御方々が居ると。すぐに扉を開け中に入る、するとそこは何とも楽しそうな光景が広がっていた。吸血鬼の花嫁とイチャイチャするヤン、吸血鬼の花嫁達と他の至高の御方々の話をしているルーク。

 

「おっ、シャルティアちゃ~んまってたよ~ん」

 

「申し訳ありんせん。ヤン・バレンタイン様、ルーク・バレンタイン様、至高の御方々がいらっしゃるのであれば即座に駆け付けたものを!」

 

ヤンは気軽に手を振り歓迎したのだがシャルティアは二人を前に跪き謝罪を始める。ヤンはどうしようという顔でルークを見る、仕方なくルークが声をかける。

 

「あー、勝手に来たのは私達の方だ、気にしないで貰えると助かる。むしろ謝るのは私達n」

 

「そんなことありんせん! 悪いのは私でありんす!」

 

必死で謝るシャルティア、今度はどうしようという顔でルークがヤンを見る。仕方ないという感じにヤンは抱き寄せていた吸血鬼の花嫁を横に立たせると自身も立ち上がりシャルティアに近づく。シャルティアは何か罰を与えられるのかと思っていたが予想外の事をされた。

 

「はぁ、俺は子守りなんてしたことねぇ~ってのによ~」

 

そう言いながらシャルティアを抱きかかえる、所謂お姫様抱っこだ。

 

「ヤ、ヤン・バレンタイン様?」

 

キョトンとした顔になるシャルティア、ヤンはそのまま椅子に戻りドカッと座る。

 

「あーやだやだ、俺はボインのねーちゃんの方がいいんだけどねぇ~」

 

ヤンの視線は吸血鬼の花嫁の胸に向いている、しかし手は優しくシャルティアの頭を撫でている。シャルティアは気持ちよさそうに目を細めされるがままだ。

 

 

 

 

 

 

「へぇ、セバスと…」

 

「兄ちゃん…」

 

「あぁ…」

 

何とかシャルティアを落ち着かせなぜアインズの元に行っていたのかを聞いた兄弟はにんまりと不気味な笑顔をで話し始める。それを見たシャルティアは何が何だか分からないという感じの顔で伺う。

 

「あの、どうかしんしたか?」

 

「よーし俺たちも行くぞー!」

 

「っと言うことだシャルティア、私達も行くからな」

 

「それは駄目でありんす! アインズ様から「あの兄弟が外に行く事を禁じた、故にそれらしい事をした時は全力で止めるように」っとご命令されていんす!」

 

兄弟はシャルティアに叱られがっくりと肩を落とす、がルークが何やら思いついたのか真剣な表情になりシャルティアに話始める。

 

「なぁシャルティア、アインズと私達どっちが大切なんだ? まぁその言い方ではアインズの方が上なんだろうけどな」

 

「そ! そんな事はありません!」

 

必死になりすぎて素に戻るシャルティア、兄のやり方を察したヤンも話に入る。

 

「けどよー俺らの提案は駄目だと言うけどアインズちゃんのはちゃんと守るんだもん、そりゃ嘘だわな」

 

シャルティアがあわあわと身振り手振りで動揺し始める、顔は元から白いがどんどん青白くなっていく。

 

「はぁ、私達は居ても居なくてもいい存在だったのか…」

 

「僕ちゃんすっごく悲しいよ~!」

 

ルークは体育座りになりヤンは両手で頭を抱える、シャルティアのみならず吸血鬼の花嫁達もあわあわと青白くなっていく。私達のせいで至高の御方々がお隠れになるやも知れぬ、それだけは阻止せねばと一同跪き懇願する。

 

「そのような事はございません! ルーク・バレンタイン様もヤン・バレンタイン様もこのナザリックにおいてかけがえのない存在であります! ですのでどうかお隠れになる事は! どうか!」

 

「なら僕ちゃん達も行っていい?

 

「行っていいよね? ね?」

 

兄弟は目をキラキラさせてシャルティアを見る、シャルティアは二人が付いて行くのを許可したのでした。

 

 

 



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