骨と吸血鬼兄弟   作:大三元
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二話 骨と吸血鬼兄弟2

「分かったな弟、これは異常な事なんだぞ」

 

「そうみたいだな兄ちゃん…」

 

モモンガと兄であるルークから今の異常な現状を説明されてやっと全て理解した弟ヤン。

 

「しかし兄ちゃんよ~、これからどうするんだ? NPCも自我を持ってるみたいだし外の事もセバスが返って来るまでわからない。ずっと玉座の間に缶詰めってのはごめんだぜ?」

 

「そうだな… こういう時はギルド長であるモモンガさんが何とかしてくれるじゃない?」

 

ルークとヤンがモモンガを見る。その目は何処かキラキラと輝いているようでもあった。そんな二人を見てモモンガが少しあきれながら提案する。

 

「いや、そんな目で見られても… はぁ、まずは自分が何ができるか確認するために第六階層の円形闘技場に行きましょうか」

 

「モモンガさんそれいいね! さぁ早く行こうぜ!」

 

「待て、NPCが自我を持ってるんだからちゃんとロールしないと。ね、モモンガさん」

 

またしてもこの兄弟は目を輝かしてモモンガを見る。この兄弟はユグドラシルの時から何も変わっていない、なんでも全力で楽しもうとしている。モモンガはそんな事を思いながら頷く。

 

「よ~し! なら僕ちゃんはいつも通り遊びま~すよ~!」

 

「やかましいぞ、皆に見られるんだ。巻末じゃなく本編の方で行け」

 

「はいはいはい、わかったよ兄~ちゃん」

 

「してモモンガ様、どうやって第六階層に?」

 

こうも切り替わりが早いとモモンガも少し呆れる、アイテムが正常に使えるか試す為にリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを使う事を提案する。

 

「…なぁ兄貴~、指輪はめてるか?」

 

「あぁ、はめてるとも、もしかして持ってないとか言わないよな?」

 

少しきつめにルークが咎める、ヤンは苦笑いしながら返事をする。

 

「いやぁ~、持ってるは持ってるんだが… インベントリってどうやって開くの?」

 

ルークも分からず兄弟二人してまたまたモモンガを見る、そろそろウザくなってきたが同じギルドメンバーだ、我慢して答える。

 

「私にもわかりまs」

 

「あー! モモンガちゃん魔王ロールしてなーい!」

 

「えぇ… ここでもするんですか? せめてNPCのm」

 

「モモンガ様、いつどこで見られているかわかりません。ならばやらない方がおかしいでしょう?」

 

「あぁー! うっさい! わかった! やるよ! やればいi… あれ? 落ち着いた? もしかして強制的に沈静化された、ならこれはアンデットの……」

 

モモンガが思考の海に旅立ってしまった、それを察すると兄弟で話しだす。

 

「兄ちゃん、どうしよっか」

 

「うーん、亜空間にでも手を突っ込む感じで念じながら出せばいいんじゃないか?」

 

「OK~! やってみる~」

 

そういうとヤンが何もない空間に手を伸ばす、すると手が闇に吸い込まれていくように見える。そして取り出したのは間違いなくリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンだ。

 

「兄貴… マジで出来るもんなんだな」

 

「あぁ… 言ったのは私だが本当に出来るとは驚いている」

 

ヤンが指輪をはめる、そしてモモンガさんを正気に戻して三人で第六階層の円形闘技場に転移する。

 

 

 

 

 

 

「指輪の転移機能に問題は無いみたいだな、アイテムは使えるようだ」

 

「だね~モモンガちゃん」

 

「そのようですねモモンガ様」

 

三人は無事円形闘技場に転移する、そこには円形闘技場の見回りに来ていた第六階層守護者のアウラとマーレが居た。二人は突然現れた至高の御方々に驚きながらも声をかける。

 

「いらっしゃいませ、モモンガ様、ルーク・バレンタイン様、ヤン・バレンタイン様あたし達の守護階層にようこそ!」

 

「あ、あの、僕たちになにか御用ですか?」

 

何処か不安げな二人、それを察したのか優しく問いかけるルークとおちゃらけるヤン。

 

「これはこれは失礼、私達は少々体を動かしたくてね」

 

「ここぉ~使ってもいいっすか?」

 

「失礼だなんてとんでもない! 至高の御方々であられるルーク・バレンタイン様とヤン・バレンタイン様の頼みならなんだって聞きますよ!」

 

元気いっぱいに答えるアウラ、そんな姿を見て微笑ましくなったモモンガが居る。

 

 

 

 

 

 

一通り魔法や身体能力を確認した三人は〈メッセージ〉で会話をする。

 

『何も問題なく終わりましたね』

 

『そうですねモモンガさん、これで不安材料が一つ減りました』

 

『で、これからどーすんの? てかセバスまだ帰ってこないのか?』

 

ヤンの言葉で思い出したモモンガは直ぐにセバスに〈メッセージ〉を繋げた。

 

『はい、何でございましょうかモモンガ様』

 

『どうだ周辺の様子は』

 

『はい、ナザリック地下大墳墓の周辺はすべて草原になっており周囲一キロに人口建造物、大型生物及びモンスターの存在は一切確認できず六階層と同じ夜空が広がっております』

 

『わかった、セバスよ帰還せよ』

 

『かしこまりましたモモンガ様』

 

セバスからの報告を兄弟二人にする、ここはユグドラシルではなく違う世界じゃないかという事に話は落ち着いた。

 

『ゲームが現実になったんじゃなくこのナザリックが別の現実世界に転移したのか』

 

『そうみてーだなモモンガちゃん、さてこれからどーしよーか』

 

『まずはNPC達にも説明した方がいいんじゃないか?』

 

ルークの提案でNPC達にも報告することになった、しかし階層すべて回るにも時間がかかるしNPCの数も多いため各階層守護者に円形闘技場に集まる趣旨をメッセージにてアルベドに出す。

 

「アウラ、マーレ、ここに各階層守護者が来る、お前たちも残るように」

 

「「わかりましたモモンガ様」」

 

 

 

 

 

 

まず初めに到着したのは第一、第二、第三階層守護者のシャルティア・ブラッドフォールンだ。そして次々と各階層守護者達が集まってくる。

 

「申し訳ありませんモモンガ様、第四、第八守護s」

 

「うっひょー! すげーよ兄ちゃん! コキュートスが動いてる!」

 

「やかましいぞヤン、今アルベドが話していたじゃないか」

 

空気を読まずヤンのテンションが上がる。咎めるルーク、そしてまた困った顔になるアルベド。

 

 

 

 

 

 

忠誠の儀等々終えてモモンガの自室に戻った三人は先ほどの守護者達について話している。

 

「はぁー疲れた、あいつらマジだ」

 

「楽しくなって来たねーにーちゃーん!」

 

「そうだな愚弟オブ愚弟! これから皆で楽しく暮らしていくんだぞー」

 

「うるせーう〇こ」

 

そして唐突に兄弟が殴り合う、いつもの事なのでスルーするモモンガ。

結局ろくに話し合いも出来ずおまけ漫画よろしくルークとヤンがふざけたおしたのでした。

 

 

 

 

 

 

 



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