DMMORPGユグドラシル最終日、終了まで僅かな時に二人はログインした。
吸血鬼バレンタイン兄弟、知る人ぞ知る吸血鬼漫画【HELLSING】に登場するキャラクター。
兄のルークは白を基調としたスーツを着たジェントルマン、弟のヤンは黒を基調としたストリートギャング風の青年だ。中の人は普通の兄弟である、兄弟で何かしようとなりユグドラシルをする事に、キャラはお互い知っていた漫画で兄弟のキャラと言う縛りを設けた結果バレンタイン兄弟になったのだが、お互いHELLSINGが好きな事もありロールプレイには力を入れていた。二人はギルド【アインズ・ウール・ゴウン】に所属している、加入の切っ掛けはモモンガの境遇と似たようなものだ。
「モモンガちゃーん、遅くなったけど来たよーん」
「遅くなって済まないモモンガさん、しかし最後は玉座の間でしたか」
「ルークさん! ヤンさん! この前ぶりです、最後は玉座の間と決めていたので」
三人が挨拶を交わしている時に0時を過ぎた、しかし三人とも気が付かない。
「それにしても…なんていうか、最後まで残ってくれてありがとうございます」
「いやぁーなんやかんやあったけど楽しいからねー」
「そうだな愚ッ弟ィ、ユグドラシルは楽しいからな」
「そうですよね、…ってあれ? コンソールが表示されてない」
二人も確認したがやはり表示されていない。三人はバグか?と思ったり糞運営だからなと笑ったりしていたがログアウトできない事にモモンガが気づく。
「ルークさん、ヤンさん、ログアウトできますか」
「いや、私もできない…弟よ、お前はどうだ」
「あんちゃん…俺もできねぇ」
三人が困っていると聞き慣れない声が聞こえてきた。
「どうかなさいましたか、モモンガ様 ルーク・バレンタイン様 ヤン・バレンタイン様」
声をかけたのはNPCである守護者統括のアルベドだ。NPCが声を発するなどあり得ないことに対してモモンガとルークは困惑したがヤンは何も考えず答える。
「いやぁー、ログアウトが出ないんだよなー」
「申し訳ありませんヤン・バレンタイン様、無知な私では〈ろぐあうと〉に関してお答えすることができません」
二人が話しているのを見てアルベドの口が滑らかに動いている、通常ではありえないことである。
『ルークさん、この状況どう思いますか』
『どう思うって… 聞かれても…… あれ、モモンガさんどうやってメッセージ使いました』
『…普通に使いました、なんで使えてるんだろう』
こっちの二人はずっと困惑している。
「あーっとアルベドだっけ?」
「はい! 何でございましょうかヤン・バレンタイン様」
「ヤンでいいぜ、で… あれ?なんでNPCと普通に会話できてんの?」
ここでヤンがやっと気づく、そしてモモンガとルークを見る。見られた二人は顎に手をやり考えるポーズから動かない。ヤンに話しかけられた事に気づいていない。
「ヤン様? 〈えぬぴーしー〉とは何でございまs」
「まぁいいや! こっちは楽しければなんでもいいやぁ! なぁアルベドよぉ~」
「そ、そうでございますねヤン様」
アルベドの声を遮ってヤンが話す、アルベドが少し困った顔をしながら答える。
『たぶんこれは現実になったんじゃないですか? じゃないとNPCの説明がつきませんし』
『ならここがどこだかわかりませんし外を見に行くってのはどうです?」
『いや、外が安全とはわかりませんしそれは反対です』
『モモンガさん、ならNPCに行ってもらうのはどうですか?』
『うーん、他にいいアイデアがないしそれで行きましょうかルークさん』
二人がやっと話し合いを終わるとアルベドとヤンを見る、そこにはNPC達に止められているヤンと困惑しているアルベドがいた。
「あ゛? なんで外行っちゃ駄目なんだ?」
「ヤン・バレンタイン様、至高の御方だけでそのような危険な事はお辞めください。せめて私セバスとプレアデスがお供いたします」
そんな光景を見てルークはあちゃーと目を手で覆う、モモンガは何とかしようと声を出す。
「ヤンよ、外に行くのは今はよせ。セバス、ナザリック地下大墳墓を出て周囲一キロ内の様子を探れ。知的生命体がいれば、なるべく友好的に接して情報を引き出せ。脅威になる存在がいれば即時撤退せよ。そしてプレアデスは9階層に上がり侵入者が来ないか警戒に当たれ」
「「かしこまりました、モモンガ様」」
セバスとユリが答えると動き始めた。
「モモンガ様、私はどのようにしたらよいのでしょうか」
「アルベドは第四、第八守護者を除く各階層守護者に異変がないか調べさせよ」
「かしこまりました」
そしてアルベドも玉座の間から出ていく。
「弟ー! お前は何を考えてるんだ! いや、何も考えてないんだろうな」
「兄貴ー、そりゃないぜー。まぁ何も考えてないってのはあってっけど…」
「まぁモモンガさんが何とかしてくれたからいいものの異変があったのに気づくのが遅すぎだ、なぁモモンガさん」
兄弟二人してモモンガを見る、モモンガは何も変わらないなっと二人を見て内心ほっこりするのであった。