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第59回 | BMWの最新車デザイン・性能情報をお届け

BMW X7──このSUVには超ド級という言葉がふさわしい

1906年に就役したイギリス海軍の軍艦『ドレッドノート』は、当時の戦艦の概念を一変させた革新的な戦艦として戦史に残る。その革新性と大きさから生まれた言葉が、頭文字を取った「超ド級」だ。BMW『X7』が発表されたとき、この言葉が思い浮かんだ。BMWのSUVライナップである『Xシリーズ』の最上級に据えられた一台は、まさにラグジュアリーSUVにおける『ドレッドノート』と言ったら、あまりに大仰だろうか。しかし、この威風堂々とした姿を目にしたら、思わず超ド級と感じてしまうはずだ。

『X5』よりもさらに大きなボディと広くて贅沢な室内空間。キドニーグリルも巨大化

『7』という数字が与えられていることからも、『X7』がラグジュアリー性や室内の広さにこだわり抜いた一台だということがわかるだろう。その高級感はエクステリアをひと目見ただけでも伝わってくる。

なにより、圧倒されるのはボディサイズだ。全長5151mm×全幅2000mm×全高1805mm、ホイールベース3105mmは、今夏にデビューした新型『X5』に比べて、全長は229mm長く、全高は60mm高く、ホイールベースは130mm長い。

大きいのはボディサイズだけではない。真っ先に目に入るのは、BMWのアイコンであるキドニーグリルだ。BMW史上最大であろうその大きさは、見る者に強い印象を残す。そして、この巨大なキドニーグリルを対比によって引き立たせているのが薄型のLEDヘッドライト。オプションではハイビームで600mを照らすレーザーライトが準備されている。点灯時、内側がブルーに光るさまも幻想的だ。

3列シートは、全列・全席に「アームレスト」「USBソケット」「電動シート」を装備

室内空間は、広さに加えて贅沢な設備が備わっており、よりラグジュアリーさを感じさせる。広さを活かした3列シートは、すべての列にアームレストとドリンクホルダー、USBソケットを装備し、全席に電動シートを採用。2列目は独立したパイロットシートを選ぶこともできる。ルーフにはパノラマルーフも採用され、頭上でもより開放的な雰囲気を演出してくれる。

3列シートだと荷室容量が気になるが、通常時は326L、3列目を倒せば750L、2列目までを倒せば2120Lの大容量を得ることができるので安心だ。

夜間には間接照明であるアンビエントライトがムードを高める。また、パノラマガラスルーフのスカイ・ラウンジは、LEDの光を1万5000個以上ある点状のグラフィック・パターンに投射して星空のように輝き、夜のドライブをより魅惑的にしてくれる。

コックピットには、新世代BMWに搭載が進められている「BMWオペレーティング・システム7.0」が採用された。タッチパネル式ディスプレイは、わかりやすい表示や構成に加え、カスタマイズも可能。ドライバーに必要な情報を、常に適切なタイミングで提供してくれる。操作性では、状況に応じて「コントロール・ディスプレイのタッチ操作」「iDrive タッチ・コントローラー」「ステアリング・ホイールの操作部」「音声入力」「BMWジェスチャー・コントロール」から適切な操作方法を選択することができる。

ちなみに、『X5』には導入済みのスマートフォンによるエンジン始動機能も搭載された。デジタルキーを使用した近距離通信(NFC)により、車両のロック・アンロックが可能となった。スマホをドアハンドルに近づけるだけで車両のロックが解除され、ワイヤレス充電トレイ、あるいはスマートフォントレイに置くと、自動的にエンジンが始動する。

『X7』のラインナップは、ガソリンエンジン3車種、ディーゼルエンジンが2車種

エンジンは、ガソリン2機種、ディーゼル2機種だ。ガソリンは『X7 xDrive40i』と『X7 xDrive50i』に搭載される。

『X7 xDrive40i』は、3.0L直列6気筒ガソリン。最高出力は250kW/5500〜6500rpmで、最大トルクは450Nm/1500〜5200rpm。ここに8速ATの「ステップトロニック」が組み合わされる。0〜100km/hの加速は6.1秒、最高速度は245km/hだ。

欧州未発売の『X7 xDrive50i』は、4.4L V型8気筒ガソリン。最高出力は340kW/5200〜6000rpmで、最大トルクは650Nm/1500〜4750rpm。8速ATの「ステップトロニック」が組み合わされ、0〜100km/h加速5.4秒、最高速度250km/hを叩き出す。車両重量が2トンを超えることを考えると、なかなかの数字だろう。

ディーゼルは『xDrive30d』と『X7 M50d』だ。『xDrive30d』は、3.0L直列6気筒エンジン。最高出力は195kW/4000rpmで、最大トルクは620Nm/2000〜2500rpm。やはり8速ATの「ステップトロニック」が組み合わされ、0〜100km/h加速は7秒、最高速度は227km/hとなる。

スポーツモデルである『X7 M50d』も3.0L直列6気筒エンジンだが、最大出力は294kW/4400rpmで、最大トルクは760Nm/2000〜3000rpm。8速ATの「ステップトロニック」が組み合わされ、0〜100km/h加速5.4秒、最高速度250km/hというパフォーマンスを実現した。

足回りでは、オートマチックセルフレベリング機構を備えるエアサスペンションを採用した。138km/h超で車高が20mm下がり、高速走行に適した設定となる。車高の変更は運転席のスイッチでも可能で、オフロード走行では標準よりも40mmアップすることができる。また、荷室のスイッチによって40mm下げることもできるので、荷物の積み下ろし時にはありがたい。

『X7』は、2019年3月に欧州と北米市場で販売を開始するが、日本への導入は触れられていない。ライバルのメルセデス・ベンツ『GLS』、ランドローバーのフラッグシップ『レンジローバー』などが日本で発売されていることを考ると、導入はそう先のことではないだろう。ライバルはいずれも、強力なモデルだが、ユーザーにとってはプレミアムSUVの選択肢が増えてうれしいところだ。

この先、ロールス・ロイス『カリナン』と比肩するアッパーSUV『X8』のデビューも噂されているが、その話をするのは時期尚早。まずは『X7』の日本導入を心待ちにしたい。

Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) BMW AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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BMW X7 オフィシャル動画
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第62回 | BMWの最新車デザイン・性能情報をお届け

最上級で贅沢なオープン──BMW 8シリーズ カブリオレ

初夏になると、クルマのルーフを開けてオープンエアを愉しみたくなる。しかし、この新型オープンモデルが似合う場所は、蒸し暑い日本の夏ではなく、地中海やマイアミの高級リゾート地なのかもしれない。それほどまでに、贅沢でエレガントなのである。昨年、じつに20年ぶりとなる復活を遂げたBMW『8シリーズ』。このフラッグシップクーペに今回、カブリオレが追加された。「最上級」という言葉がふさわしいオープントップモデルだ。

クーペの美しさと運動性能、オープンモデルならではの開放感や優雅さを兼ね備える

ヨーロッパの人々は太陽を浴びることが大好きだ。ほとんどのラグジュアリークーペには、当然のようにオープントップモデルが設定されている。昨年6月、ル・マン24時間レースにおいて、およそ20年ぶりに復活したBMW『8シリーズ』が発表されたときから、多くの自動車ファンはカブリオレの登場を予感していたことだろう。そもそも、BMWには開発当初からオープンモデルをラインナップに追加する前提があったに違いない。

BMW『8シリーズ カブリオレ』は、『6シリーズ カブリオレ』の実質的な後継となるオープントップモデルである。むろん、ベースは最上級クーペの『8シリーズ クーペ』。低く伸びやかなシルエット、美しいルーフライン、艶麗なリヤフェンダーの造形が醸し出す優雅さ。そうした官能的な個性が際立つ『8シリーズ クーペ』の美しいデザインと運動性能をそのまま受け継ぎながら、オープンモデルならではの開放感や優雅さを備える。

エクステリアでは、リヤホイールへの力感を表現するボディサイドのキャラクターラインが目を引く。さらに、キドニーグリルやデッキを取り囲むモールディングなどにクローム加飾をアクセントとして採用。専用の20インチ・マルチスポークホイールの繊細なデザインと相まって、クーペ以上に洗練されたラグジュアリーさを強く感じさせる佇まいだ。

滑らかな流線形を描く電動式ソフトトップ。シフトノブはなんとクリスタル仕立て!

ルーフは電動式のソフトトップで、エレガントなボディ造形にふさわしく、滑らかな流線形を描くように丸みを帯びたデザインとなっている。ルーフを閉じた状態でも、上質さや優雅さはまったく損なわれない。ルーフは時速50km/h以下なら走行中でも約15秒で開閉することが可能だ。ルーフオープン時もラゲッジルームは250Lの容量を確保する。

室内は、エクステリアと見事に調和した高級感をまといつつ、前後方向への意識を強調するように設計されているのが特徴だ。具体的には、乗員の視線が自然と前方へ向かい、走りへの期待感を煽るようなデザインとなっている。また、高い操作性を確保するためにスイッチ類をグループ分けし、ドライビングを妨げないポジションにわかりやすく配置した。

注目は非常に高い透明度のクリスタルで作られたシフトノブ。クラフテッド・クリスタル・フィニッシュを採用し、なかから数字の「8」が浮かび上がる仕様となっている。シートはベンチレーション付きの上質なメリノレザー。アンビエント・ライトを標準装備しているので、ラグジュアリーオープンモデルであることを乗るたびに感じさせてくれるだろう。

『8シリーズ カブリオレ』の加速性能はピュアスポーツカー並。価格は1838万円

搭載されるパワーユニットは、『8シリーズ クーペ』と同様の4.4L V型8気筒ガソリンエンジン。最高出力530ps/5500-6000rpm、最大トルク750Nm/1800-4600rpmを発生し、8速スポーツAT(ステップトロニック付き)を組み合わせる。0-100km/h加速は「8」の名にふさわしく、3.9秒を実現。これはピュアスポーツカーに匹敵する動力性能だ。

なお、ドイツ本国やヨーロッパでは上記のエンジンを積む「M850i xDrive」のほかに、経済的な3.0L直列6気筒ターボディーゼルエンジンを搭載する「840d xDrive Mスポーツ」も選べるが、日本国内で販売されるのは現時点で「M850i xDrive」のみとなっている。

価格は『8シリーズ クーペ』より124万円アップとなる1838万円。高価なうえに、これだけのラグジュアリーオープンが似合うロケーションは国内ではなかなか見当たらない。とはいえ、オープンエアの季節だけに、所有欲を強く刺激するのはたしかだろう。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) BMW AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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