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第24回 | フォルクスワーゲンの最新車デザイン・性能情報をお届け

帰ってきた万能ワゴン──VWパサート オールトラック

フォルクスワーゲン『パサート オールトラック』が日本に帰ってきた。「帰ってきた」というのは、2015年に現行『パサート』がフルモデルチェンジして以来、日本未導入となっていたからだ。「オールトラック」は、ワゴンの『パサート ヴァリアント』の最低地上高を高めて足回りをオフロードに対応し、フェンダーモールなどで武装したオールラウンダー。ワゴンとSUVのいいとこ取りをしたクルマである。しかも3年ぶりに登場する新型はクリーンディーゼルを搭載する(写真はボディカラーを含めてすべて欧州仕様)。

ヨーロッパのプレミアムブランドで定番となっているワゴンベースのクロスオーバー

メルセデス・ベンツ『Eクラス オールテレイン』、ボルボ『V40/V60/V90クロスカントリー』、そしてアウディ『A4/A6オールロードクワトロ』。欧州のプレミアムブランドにはステーションワゴンをベースに高い走破性を与えたクロスオーバーが数多くラインナップされている。もともとスバルが1994年に『レガシィ グランドワゴン』(現『アウトバック』)で開拓したカテゴリだが、いま欧州では定番のスタイルとなっているのだ。

最大の特徴は、ステーションワゴンのスタイルと利便性、SUVの走破性を併せもっていること。また、多くのモデルが全高を1550mm以下に抑えており、立体駐車場への乗り入れなど、都市部での使い勝手を考慮している点も大きなメリットだろう。

VWは日本国内で現行『ゴルフ』に「オールトラック」をラインナップしているが、2015年のフルモデルチェンジまで『パサート』にも「オールトラック」が設定されていた。今回の新型『パサート オールトラック』は、同車として3年ぶりの国内復活となる。

クリーンディーゼルエンジンに『パサート』シリーズ唯一となる4WDシステムを搭載

道を選ばない万能ワゴンであることに加え、専用バンパーやホイールエクステンション、サイドシルといったSUVテイストのスタイリングも『パサート オールトラック』の魅力のひとつ。しかし注目すべきはデザインよりもパワートレインだ。

搭載されるエンジンは、先ごろ『パサート』シリーズや『ティグアン』に追加された2.0Lのターボディーゼル。そこへ『パサート』シリーズで唯一の搭載となる4WDシステム「4モーション」を組み合わせるのだ。

クリーンディーゼルエンジンの「TDI」は、最高出力140kW(190ps)、最大トルク400NM(40.8kgm)を発揮し、燃費は17.3km/L(JC08モード)と、ディーゼルならではの高い経済性を併せもつ。トランスミッションには、VWお得意のデュアルクラッチトランスミッション「6速DSG」を採用した。

「4モーション」は、路面状況に応じた最適な前後トルク配分を行い、ドライブモードには悪路での走破性を高める専用モードが追加された。このモードを選択すると、制動距離を短くするためにABSの制御調整が行われ、ラフロードを走行する際に緻密なコントロールができるようアクセルペダルのレスポンスが変更される。さらに、30km/h以下で急な下り坂を下りるときには、車速を一定に保つ「ヒルディセントアシスト」が機能する。

グレード展開はベースモデルと上級仕様の2タイプ。運転支援システムは全車に装備

グレードは、「TDI 4モーション」と、その上級仕様となる「TDI 4モーション アドバンス」の2タイプ。「TDI 4モーション アドバンス」はアルミホイールが17インチから18インチとなり、ファブリックのシートがナッパレザー仕上げになる。

そのほか、「アドバンス」はデジタルメーターディスプレイ「アクティブインフォディスプレイ」や駐車支援システム「パーク アシスト」も装備。走行面では、電子制御ダンパーを備えるアダプティブシャシーコントロール「DCC」、よりスポーティで正確なハンドリングを実現する電子制御式ディファレンシャルロック「XDS」が搭載される。

なお、ナビゲーション機能などを備えるインフォテイメントシステム「ディカバープロ」、モバイルオンラインサービス「Car-Net」、3ゾーン式フルオートエアコン、LEDヘッドライトといった快適装備、さらにアダプティブクルーズコントロール「ACC」、レーンキープアシストシステム「レーンアシスト」などの運転支援システムは標準装備だ。ベースモデルを選んでも装備に不足はない。

ただし、オプションで電動パノラマスライディングルーフを選択できるのは「アドバンス」のみとなるので、その点は注意したいところだ。

価格は約509万円から約569万円。ライバル車に比べてお手頃なプライスも光る

価格は、『パサート オールトラック TDI 4モーション』が509万9000円、『パサート オールトラック TDI 4モーション アドバンス』が569万9000円となっている。

ボルボ『V60クロスカントリー』が514万円から、アウディ『A4オールロードクワトロ』が658万円であることを考えると、その手頃な価格帯も光る。

3年ぶりに日本へ帰ってきた「道を選ばない万能ワゴン」。そこには、ハイウェイからラフロードまで、カジュアルに高性能を身にまとうことのできる喜びがある。『パサート』シリーズ唯一の4WDは、シリーズの“真打ち登場”といえるのではないか。

Text by Muneyoshi Kitani
Photo by (C) Volkswagen AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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第29回 | フォルクスワーゲンの最新車デザイン・性能情報をお届け

ゴルフ誕生45周年──史上もっとも成功した欧州車の秘話

フォルクスワーゲンは、アウディやポルシェなどを含めたグループ全体の販売台数がおよそ1083万台に上る世界最大の自動車メーカーだ。「Volkswagen」という社名は、ドイツ語で「国民車」を意味する。その業績を支えているのは、「世界一の小型車」といってもいい『ゴルフ』。デザイン、エンジン、走り、あらゆる部分で完成度が高く、ヨーロッパのCセグメントの頂点に君臨し続けている。その『ゴルフ』が誕生45周年を迎えた。

もっとも成功した欧州車。世界中で誰かが40秒に1台、『ゴルフ』を購入している!

初代『ゴルフ』がドイツ・ヴォルフスブルク工場で量産を開始したのは、1974年3月のことだ。以来、今日までに販売した台数は3500万台以上。この数字を計算すると、世界中で誰かが40秒に一台、『ゴルフ』を購入していることになるという。ゆえに、「史上もっとも成功した欧州車」とされている。日本国内でも依然、高い人気を集めている。

メイン写真が初代の『ゴルフI』。50代以上には、いまだにこの初代モデルのイメージが強い人もいるのではないか。下の写真は1991年に発表された3代目『ゴルフIII』だ。

ナチス政権による「国民車計画」で生まれた『ビートル』の後継モデルとして誕生

フォルクスワーゲンは、戦前にナチス政権による事実上の国策企業として設立された自動車メーカーだ。アドルフ・ヒトラーは「国民車(フォルクスワーゲン)」計画を提唱し、それに従い、かの有名なフェルディナント・ポルシェが先進的なメカニズムをもつ流線型の小型車を開発した。そのクルマがのちの『タイプ1』、つまり『ビートル』である。

『ゴルフ』は、この『ビートル』の後継として開発されたハッチバック型のコンパクトカーだ。デザインを担当したのは、あのジョルジェット・ジウジアーロ。しかし、当時は『ゴルフ』が生産台数で『ビートル』を凌ぐほどの人気モデルになるとは、誰も考えていなかったに違いない。下の写真は、1997年に発表された4代目、『ゴルフIV』だ。

フォルクスワーゲンが明かしたビッグニュース。今年10月に新型『ゴルフ』が登場

フォルクスワーゲンは、5月にドイツで開催した年次株主総会において、ビッグニュースを明らかにした。今年10月に、8代目となる新型『ゴルフ』を初公開すると発表したのだ。同社が公開したティザースケッチを見ると、外観上は現行モデルと大きく変わっていないが、次期モデルは新開発の48Vマイルドハイブリッドシステムが搭載されるという。

『ゴルフ』のキャッチフレーズは、「『ゴルフ』を超えるのは、いつも『ゴルフ』」。モデルチェンジをしても、きっと『ゴルフ』は「世界一の小型車」であり続けることだろう。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Volkswagen AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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