editeur

検索
サービス終了のお知らせ
第13回 | ロールスロイスの最新車デザイン・性能情報をお届け

跳ね馬色のロールス・ロイス──オーナーはGoogle副社長

家とクルマは成功を象徴するものだ。特にIT企業のトップには、数千万円から億単位の高級車を収集する自動車コレクターもめずらしくない。ZOZOTOWNの前澤友作氏はそのひとり。ブガッティ『ヴェイロン』、フェラーリ『エンツォ・フェラーリ』などを所有し、パガーニ『ゾンダ』にも乗っていたこともある。シリコンバレーでいえば、もっとも有名なのはグーグルのベンジャミン・スロス副社長だろう。8月の終わりにも、鮮やかなフェラーリ色のロールス・ロイス『ドーン ブラックバッジ』が納車されて話題となった。

グーグルのスロス副社長はフェラーリ『FXX K』を所有する有名な自動車コレクター

グーグルのベンジャミン・スロス副社長は、世界の自動車メディア関係者の間で広く知られた人物である。高価で希少なクルマを購入してニュースを提供してくれるからだ。

スーパーカーや高級車を何台も所有し、2012年5月に発生したイタリア北部地震では、被災者を支援するためにフェラーリが開催したチャリティオークションでサーキット専用車の『599XX EVO』を落札。ハンマープライスはおよそ1億4000万円だった。

とりわけ驚かされたのは3年前だ。なんと妻の誕生日にフェラーリ『FXX K』をプレゼントしたのである。『FXX K』もハイブリッドスーパーカーの『ラ・フェラーリ』をベースに開発されたサーキット専用車で、ひと握りの上顧客に向けて生産される。しかし、いくら希少なクルマとはいえ、妻の誕生日にレーシングカーを贈る人物はめったにいない。

それだけに、スロス副社長は4シーターのオープンカーに乗るときもありきたりなモデルでは満足できなかったようだ。彼がオーダーしたのは特別にカスタマイズしたロールス・ロイス『ドーン ブラックバッジ』。ボディは鮮やかイエローで塗装されている。

副社長いわく「北イタリアのモデナの旗の色をしたロールス・ロイスが見たかった」

ロールス・ロイス『ドーン ブラックバッジ』は、4シーターのオープンモデル『ドーン』の内外装にブラックのドレスアップを施したエッジーなスペシャルモデル。6.6LのV12ツインターボエンジンは専用チューニングによってパワーアップされている。

スロス副社長に納車されたのは、この『ドーン ブラックバッジ』にさらに特別なカスタマイズを施したビスポークモデルだ。最大の特徴は、「スーパーフレア」と名付けられた鮮やかなイエローのボディカラー。ボンネットやフロントグリルは、それとは対称的な濃いネイビーブルーで仕上げられた。こちらの名称は「パイクスピークブルー」だ。

じつは、スロス副社長が所有する『599XX EVO』や妻にプレゼントした『FXX K』も同じカラーコンビネーションをまとっている。つまり、これはフェラーリカラーの『ドーン ブラックバッジ』なのである。スロス副社長いわく、「所有するレーシングカーは北イタリアのモデナの旗の色。同じカラーのロールス・ロイスを見たかった」という。

もちろん内装も同じカラーだ。シートやトリムはネイビブルーのレザーで、ステアリングホイールやシートのステッチなどにイエローが差し色として添えられている。

フェラーリ色の『ドーン ブラックバッジ』は、スロス副社長の妻の日常の足だった

ちなみに、この『ドーン ブラックバッジ』はもともとスロス副社長の妻が2014年から「日常の足」として使っていたクルマで、すでに13000マイルを走っているそうだ。

しかし残念ながら、スロス副社長自身がどんなクルマを普段遣いしているのかについては情報がない。もしかすると、マクラーレン『P1』などのスーパーカーに乗ってシリコンバレーのマウンテンビューにあるグーグル本社に通勤しているのだろうか?

それにしても、自動運転技術で大手自動車メーカーを圧倒するグーグルの副社長がスーパーカーや高級車のコレクターというのも、なんとも面白い組み合わせである。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Rolls-Royce Motor Cars
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

ピックアップ
第14回 | ロールスロイスの最新車デザイン・性能情報をお届け

シルバーゴースト──ロールス・ロイスはここから始まった

完璧なクルマを作るためにロールス・ロイスを創立したチャールズ・スチュアート・ロールスとフレデリック・ヘンリー・ロイスは、1907年、最大の傑作といわれる『40/50HP』を発表する。愛称は「シルバーゴースト」。銀色のボディ、幽霊のように静かでスムーズな走りからそう呼ばれた。そしてRAC(イギリス王立自動車クラブ)の係員を乗せ、ロンドン〜グラスゴーを昼夜ノンストップで往復し、トラブルなしで延べ15000マイル(約2万4120km)を走破。これによりロールス・ロイスの名声が確立された。この『40/50HP』をオマージュした35台の記念モデルが『シルバーゴースト コレクション』だ。

素材にスターリングシルバーを使ったボンネットのスピリット・オブ・エクスタシー

『シルバーゴースト コレクション』は、究極の限定モデルというべき一台だ。むろんベースは『ゴースト』。フラッグシップの『ファントム』と同様の4ドアサルーンで、「シルバーゴースト」以来、84年ぶりに「ゴースト」の名を与えられたモデルである。

「シルバーゴースト」へのオマージュは、おもに視覚として取り入れられている。まず触れておかなければならないのは、ボンネットの先端に配されたロールス・ロイスのマスコット、「スピリット・オブ・エクスタシー(フライングレディ)」だろう。

『シルバーゴースト コレクション』では、スピリット・オブ・エクスタシーの素材に銀の含有率92.5%のスターリングシルバーを採用。台座は銀に次いで熱伝導率の高い鍛造銅だ。『40/50HP』のエンジンルームにも使用された材料で、そこへ純金メッキを施した。

ちなみに台座に型押してある「AX201」という英数字は、『40/50HP』がロンドン〜グラスゴーの耐久トライアルを行ったときに付けていたナンバープレートに由来する。

純銀の粒子が含まれたボディのコーチラインは、ロールスロイスの職人による手描き

35台のみが生産される個体のボディカラーは、いずれも「カシオペアシルバー」。なんとも重厚かつ上質な銀色で、純銀の粒子が含まれたコーチラインがあしらわれている。このラインはハンドペイント、つまりロールス・ロイスが誇る熟練の職人による手描きだ。

ロールス・ロイスの特徴のひとつであるパルテノン神殿をモチーフにしたフロントグリルにはブラッククロームが採用された。「SILVER GHOST – SINCE 1907」の文字が刻印されたホイールは『シルバーゴースト コレクション』のために作られた特別製だ。

内装の素材は青みがかったくすんだ緑の「フォレストグリーン」。チューダーオークのウッドトリムにはシルバーのインレイ、特別製の時計があしらわれ、持ち手がオークの傘も付属する。これらにも「SILVER GHOST – SINCE 1907」の文字が刻まれている。

価格は未発表。ロールス・ロイスは少しの努力や成功では手に入れることはできない

プレスリリースには『シルバーゴースト コレクション』の価格も発売時期も記されていない。

それもそのはずだろう。もともとロールス・ロイスは少しの努力や成功で手に入れられるクルマではない。『ゴースト』は車両価格3000万円余りだが、内装を選んだりオプションを装備したりすると、乗り出し価格はあっという間に4000万円を超えてしまう。

ましてや『シルバーゴースト コレクション』は、ロールス・ロイスの世界最高のクルマという名声を確立した「シルバーゴースト」のヘリテージを祝う35台の限定モデル。我々はロールス・ロイスが製作したスペシャル映像を見て眼福を味わうほかなさそうだ。

TText by Kenzo Maya
Photo by (C) Rolls-Royce Motor Cars
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Rolls-Royce Silver Ghost Collection
ピックアップ

editeur

検索