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第57回 | BMWの最新車デザイン・性能情報をお届け

オールニューBMW X5──SAVの始祖が4世代目へ進化した

説明するまでもないだろうが、『Xシリーズ』はBMWのクロスオーバーSUVモデルである。BMWはSAV(スポーツアクティビティビークル)と呼んでおり、SUVというカテゴリーには収まらないモデルと位置づけている。現在のライナップは、『X1』『X3』『X4』『X5』『X6』。つい最近ではラグジュアリーモデルである『X7』も発表された。それらの始祖が、2000年にデビューした『X5』である。「SAV」という名称をランボルギーニやロールス・ロイスも使っていることを考えると、非常にエポックメイキングなクルマだったといえるだろう。その『X5』が4世代目へと進化した。

新型『X5』はたくましくてスポーティ。拡大したボディにより圧倒的な存在感が横溢

すでにプレスリリースベースで発表されていた新型『X5』の実車が、パリサロンでアンベールされた。新型は4世代となり、およそ5年ぶりのモデルチェンジ。エクステリアも新世代BMWのデザイン言語を採用することで、印象が一新された。

BMWグループ・デザインを率いるエイドリアン・ファン・ホーイドンク氏は「たくましさ、明確さ、正確性というXモデルの新しいデザインを明確に表現しています」と述べる。

たしかに全体から受ける印象は、たくましくスポーティだ。サイズは、先代モデルと比べて全長が36 mm長く4922 mmに、全幅が66 mm幅広く2004 mmに、全高が19 mm高く1745 mmに拡大され、圧倒的に存在感が増した。エンジンフード、フロントのショート・オーバーハング、六角形デザインのホイール・ハウス、ダイナミックに流れるルーフ・ラインは、たくましくスポーティな新型『X5』の特徴を表している。

フロントで目を引くのは、一体式のフレームで囲まれた大きなキドニーグリルだ。また、ヘッドライトはLEDを標準装備。オプションで「アダプティブLEDヘッドライト付きBMWレーザー・ライト」を用意した。これらは、新しい『3シリーズ』とも共通している。

リアのライトにもLEDを採用。カバー・ガラスは立体的なデザインで、彫刻仕上げのような印象を与える。対角線状に描かれるアクセントラインは、リヤエンドをコンパクトでたくましく見せる。

インテリアは現代的でエレガント。注目は「BMW オペレーティング・システム7.0」

インテリアは、現代的でエレガント。面構成を基調としたサーフェス・デザインが空間の広さを際立たせる。コックピットはドライバー重視のレイアウトだ。高めのシートポジションや各部の位置が把握しやすくなった操作系により運転時の操作性が格段に向上した。

内装の標準仕様はレザーを採用。新しいバリエーションの「ヴェルナスカ」も加わり、5色から選ぶことができる。シートはヒーターつき電動調節式スポーツ・シートで、運転席と助手席にマッサージ機能とシート・ベンチレーションがついたマルチ・ファンクション・シートがオプションで用意されている。

注目したいのは、完全にデジタル化された次世代の表示・操作系システム「BMW オペレーティング・システム7.0」の搭載だ。わかりやすい表示や構成、さらにカスタマイズも可能なディスプレイは、ドライバーに必要な情報を、常に適切なタイミングで提供してくれる。操作性にも工夫が見られる。状況に応じて「コントロール・ディスプレイのタッチ操作」「iDrive タッチ・コントローラー」「ステアリング・ホイールの操作部」「音声入力」「BMWジェスチャー・コントロール」から適切な操作方法を選択することができる。

快適性もさらに進化した。エアコンは、運転席、助手席、左右の後部座席を独立して温度調整できる「4ゾーン・エア・コンディショナー」を採用。パノラマ・ガラス・サンルーフは、先代モデルに比べて採光面積が3割アップしている。また、パノラマ・ガラス・ルーフのスカイ・ラウンジは、LEDの光を1万5000個以上ある点状のグラフィック・パターンに投射して星空のように輝き、夜間のドライブで上質な雰囲気を演出してくれる。そのほか、細かい部分では、センターコンソール前側に初めてサーモ・カップ・ホルダーを装備。ここに収納する容器は、冷たい状態または温かい状態を維持することができる。

積載性も先代モデルと同様に優秀だ。645Lのラゲッジ・ルーム容量は、リヤ・シート・バックレストを折りたたむと、最大1860Lまで拡張。40:20:40の分割可倒式なので、使い勝手も良い。また、テールゲートは2ピース式で、荷物の出し入れも簡単に行える。

「Mスポーツ」モデルは400馬力。新型『X5』のパワートレインは計4種類を準備

SAVのスポーティな走りを支える心臓部は、最新世代のガソリンエンジンとディーゼルエンジンを2種類ずつ準備した。ライナップとともに紹介しよう。

『X5 xDrive40i』は、3.0L直列6 気筒ガソリンエンジン。最高出力250kW(340ps)/5500〜6500rpm、最大トルク450Nm/1500〜5200rpm。これに8速ステップトロニック・トランスミッションを組み合わせる。0–100 km/hの加速は5.5秒で、最高速度は243 km/hである。

ヨーロッパ未導入の『X5 xDrive50i』は、4.4L V型8気筒ガソリンエンジン。最高出力340kW(462ps)/5200〜6000rpm、最大トルク650Nm/1500〜4750rpmを発生し、トランスミッションは8速ステップトロニック・トランスミッション。0–100km/hは4.7秒、最高速度は250km/hに達する。

『X5 xDrive30d』は3.0L直列6気筒ディーゼルエンジン。最高出力195kW(265ps)/4000rpm、最大トルク620Nm/2000〜2500rpm。8速ステップトロニック・トランスミッションを組み合わせ、0–100 km/hの加速性能は6.5秒、最高速度は230km/hだ。

『X5 M50d』は、3.0L直列6気筒ディーゼルエンジン。最高出力294kW(400ps)/4400rpm、最大トルク760Nm/2000〜3000 rpm。やはり8速ステップトロニック・トランスミッションを搭載し、0–100km/hの加速性能は5.2 秒、最高速度は250km/h。

ちなみに、『X5 M50d』の「M」とは、スポーツモデルである「Mスポーツ」の証し。Mスポーツ・ステアリング・ホィール、M専用仕様のペダル、運転席フットレスト、シート・パイピング、アルミニウム・テトラゴン仕様の専用インテリアトリムが装備される。

エンジンの力を路面に伝える足回りだが、標準装備には電子制御ダンパーである「ダイナミック・ダンパー・コントロール」を採用。設定は快適性、あるいは運動性のどちらかを重視することができ、優雅な走りとスポーティーなドライビングを両立させた。

「Mスポーツ」には、「アダプティブM サスペンション・プロフェッショナル」を採用。コーナリング時に横方向の傾きを素早く正確に補正することで、ステアリングを切り初めたときの俊敏性と走行安定性が向上している。また、コーナー出口でトラクションを最適化した加速も可能になった。このサスペンションは、路面の起伏によって生じる片側の車輪への干渉を相殺することもでき、直進走行時の快適性にも貢献している。

ステアリングにはオプションで「インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング」を準備した。いわゆる4WSで、車速に応じてリヤ・ホイールを同位相、または逆位相に操舵し、コーナーでの俊敏性、車線変更時の操舵性、市街地走行での旋回能力を最適化した。狭い駐車スペースへの出し入れがしやすくなり、高速でも追越しの際の走行が安定する。

販売台数2200万台以上を誇るプレミアムSUVの大本命。日本上陸は2019年上旬?

先進安全技術では、『3シリーズ』と同じく前車接近警告、衝突回避・被害軽減ブレーキを標準装備する。自転車も検知してドライバーに注意を促してくれる。また、ブレーキング機能つきクルーズ・コントロールも装備された。

オプションで、先代に比べて停止から自動再発進までの時間が30 秒まで延長された「ストップ&ゴー機能つきアクティブ・クルーズ・コントロール(ACC)」を選択することも可能だ。さらに、車線変更のアシストや衝突を回避するステアリング操作、車線変更・逸脱警報などをパッケージ化した「ドライビング・アシスタント・プロフェッショナル」も準備されている。

ユニークなのは、スマートフォンでエンジンを始動させることができるシステムだ。デジタル・キーを使用した近距離通信(NFC)により、車両のロック・アンロックが可能となった。スマホをドアハンドルに近づけるだけで車両のロックが解除され、また、ワイヤレス充電トレイ、あるいはスマートフォン・トレイに置くと、自動的にエンジンが始動する。

『X5』は、過去3世代のモデルの累計販売台数が計2200万台以上に達するBMWの売れ筋のモデルだ。当然、新型への期待も高い。ヨーロッパやアメリカでは今年11月の市場投入が予定されており、日本にも2019年上旬に導入されるとみられる。プレミアムSUVの大本命だけに、正式なアナウンスが楽しみだ。

Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) BMW AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
The all-new BMW X5 オフィシャル動画
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第62回 | BMWの最新車デザイン・性能情報をお届け

最上級で贅沢なオープン──BMW 8シリーズ カブリオレ

初夏になると、クルマのルーフを開けてオープンエアを愉しみたくなる。しかし、この新型オープンモデルが似合う場所は、蒸し暑い日本の夏ではなく、地中海やマイアミの高級リゾート地なのかもしれない。それほどまでに、贅沢でエレガントなのである。昨年、じつに20年ぶりとなる復活を遂げたBMW『8シリーズ』。このフラッグシップクーペに今回、カブリオレが追加された。「最上級」という言葉がふさわしいオープントップモデルだ。

クーペの美しさと運動性能、オープンモデルならではの開放感や優雅さを兼ね備える

ヨーロッパの人々は太陽を浴びることが大好きだ。ほとんどのラグジュアリークーペには、当然のようにオープントップモデルが設定されている。昨年6月、ル・マン24時間レースにおいて、およそ20年ぶりに復活したBMW『8シリーズ』が発表されたときから、多くの自動車ファンはカブリオレの登場を予感していたことだろう。そもそも、BMWには開発当初からオープンモデルをラインナップに追加する前提があったに違いない。

BMW『8シリーズ カブリオレ』は、『6シリーズ カブリオレ』の実質的な後継となるオープントップモデルである。むろん、ベースは最上級クーペの『8シリーズ クーペ』。低く伸びやかなシルエット、美しいルーフライン、艶麗なリヤフェンダーの造形が醸し出す優雅さ。そうした官能的な個性が際立つ『8シリーズ クーペ』の美しいデザインと運動性能をそのまま受け継ぎながら、オープンモデルならではの開放感や優雅さを備える。

エクステリアでは、リヤホイールへの力感を表現するボディサイドのキャラクターラインが目を引く。さらに、キドニーグリルやデッキを取り囲むモールディングなどにクローム加飾をアクセントとして採用。専用の20インチ・マルチスポークホイールの繊細なデザインと相まって、クーペ以上に洗練されたラグジュアリーさを強く感じさせる佇まいだ。

滑らかな流線形を描く電動式ソフトトップ。シフトノブはなんとクリスタル仕立て!

ルーフは電動式のソフトトップで、エレガントなボディ造形にふさわしく、滑らかな流線形を描くように丸みを帯びたデザインとなっている。ルーフを閉じた状態でも、上質さや優雅さはまったく損なわれない。ルーフは時速50km/h以下なら走行中でも約15秒で開閉することが可能だ。ルーフオープン時もラゲッジルームは250Lの容量を確保する。

室内は、エクステリアと見事に調和した高級感をまといつつ、前後方向への意識を強調するように設計されているのが特徴だ。具体的には、乗員の視線が自然と前方へ向かい、走りへの期待感を煽るようなデザインとなっている。また、高い操作性を確保するためにスイッチ類をグループ分けし、ドライビングを妨げないポジションにわかりやすく配置した。

注目は非常に高い透明度のクリスタルで作られたシフトノブ。クラフテッド・クリスタル・フィニッシュを採用し、なかから数字の「8」が浮かび上がる仕様となっている。シートはベンチレーション付きの上質なメリノレザー。アンビエント・ライトを標準装備しているので、ラグジュアリーオープンモデルであることを乗るたびに感じさせてくれるだろう。

『8シリーズ カブリオレ』の加速性能はピュアスポーツカー並。価格は1838万円

搭載されるパワーユニットは、『8シリーズ クーペ』と同様の4.4L V型8気筒ガソリンエンジン。最高出力530ps/5500-6000rpm、最大トルク750Nm/1800-4600rpmを発生し、8速スポーツAT(ステップトロニック付き)を組み合わせる。0-100km/h加速は「8」の名にふさわしく、3.9秒を実現。これはピュアスポーツカーに匹敵する動力性能だ。

なお、ドイツ本国やヨーロッパでは上記のエンジンを積む「M850i xDrive」のほかに、経済的な3.0L直列6気筒ターボディーゼルエンジンを搭載する「840d xDrive Mスポーツ」も選べるが、日本国内で販売されるのは現時点で「M850i xDrive」のみとなっている。

価格は『8シリーズ クーペ』より124万円アップとなる1838万円。高価なうえに、これだけのラグジュアリーオープンが似合うロケーションは国内ではなかなか見当たらない。とはいえ、オープンエアの季節だけに、所有欲を強く刺激するのはたしかだろう。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) BMW AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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