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第56回 | BMWの最新車デザイン・性能情報をお届け

これがBMWの保守本流──3シリーズ、パリでアンベール

前身となるBMW『2002』の誕生年から数えると、2018年は50周年目のメモリアルイヤーだ。現在の名が与えられたのは1975年。第2世代はバブル期と重なり日本でも大ヒットし、一部では「六本木カローラ」などと揶揄された。名誉のために言っておくが、この第2世代はまぎれもなく自動車史に残る名車。今でも型式番号「E30」の名で親しまれる。カネ余りで有象無象が飛びついたため、当時の日本ではその価値が正確に伝わらなかったのだ。それも昔の話。今では、Dセグメントセダンのベンチマークといっても過言ではないこのクルマの実力を疑う者はいないはずだ。もうおわかりだろう。今回紹介するクルマは、パリサロンで第7世代目が発表されたBMW『3シリーズ』である。

6年ぶりのフルモデルチェンジで、デザイン、走り、先進機能のすべてが大きく進化

「全方位での進化」。BMWは新型『3シリーズ』をこう称した。つまり、内外装のデザインも走りも先進機能も、そのすべてが次のステージに進んだということだ。

6年ぶりのフルモデルチェンジということもあり、エクステリアの印象は大きく変わった。特にフロントフェイスだ。伝統のキドニーグリルは一見して分かるほど大型化し、グリルの縁は太めのクロームで囲まれた多角形となって存在感が増している。また、追加されたT字型のエアインテークも新しい。ヘッドライトにはノッチが設けられ、新世代であることをアピール。このヘッドライトは標準仕様でLEDを採用しており、オプションで530mの範囲を照らす「BMWレーザーライト」を選ぶことができる。

サイドビューでは、キドニーグリルと並ぶBMWのアイコンである「ホフマスター・キンク」(Cピラーが逆方向に弧を描く部分)が少々変化し、より鋭角になった。また、リアでは3層からなるリアコンビネーションランプがスリムなL字型となり、スポーティな印象を与えている。

スポーティさは全体の雰囲気からも滲み出ている。これは、従来モデルよりも76mm長く16mm幅広い、全長4709 mm×全幅1827 mm×全高1442mmのボディサイズから来るものだろう。もちろん、伝統のボディバランス、前後50:50の比率は堅持されている。

後部座席には『8シリーズ』と同じレザートリムを採用。次世代操作システムも装備

室内は、ホイールベースが従来よりも41mm長い2851mmに延長され、トレッド幅もフロントが43mm、リアが21mm拡大したことで、広く開放的になった。特に、フロントの肩と肘の周りにかなり余裕ができ、後方視界も大幅に改善されている。

後部座席では、フラッグシップである『8シリーズ』と同じくヴェルナスカのレザートリムが標準仕様。使い勝手の面では、多機能ボタンを備えたスポーツステアリングや「BMWオペレーティングシステム7.0」を採用した。これは、メーターパネル、センターコンソールのディスプレイの表示や操作系をデジタル化した次世代の操作システム。また、「iDriveコントローラー」は音声入力やタッチ操作、ジェスチャーコントロールも可能となった。

新型BMW『3シリーズ』は大別して3種類のエンジン、計6モデルをラインナップ

Dセグメントセダンのベンチマークとなる「走り」だが、心臓部は2.0L直列4気筒ディーゼル、3.0L直列6気筒ディーゼル、2.0L直列4気筒ガソリンの3つに大別される。リリースに添付された諸元表によると、ラインナップは下記の6モデルだ。

■『320i』:2.0L直4ガソリンエンジン。最高出力184hp、最大トルク300Nm。0-100km/hは7.2秒。
■『330i』:2.0L直4ガソリンエンジン。最高出力258hp、最大トルク400Nm。0-100km/hは5.8秒。
■『318d』:2.0L直4ディーゼルエンジン。最高出力150hp、最大トルク320Nm、0-100km/hは8.4秒。
■『320d』:2.0L直4ディーゼルエンジン。最高出力190hp、最大トルク400Nm。0-100km/hは6.8秒。
■『320d Xドライブ』:2.0L直4ディーゼルエンジン。最高出力190hp、最大トルク400Nm、0-100km/hは6.9秒。
■『330d』:3.0L直6ディーゼルエンジン。最高出力265hp、最大トルク580Nm。0-100km/hは5.5秒。

基本的なことだが、グレードの末尾に「i」がつくのはガソリンエンジン、「d」がつくのはディーゼルエンジンだ。「Xドライブ」は4WDモデルとなる。

これらのエンジンに加えて、従来型よりも55kg以上軽量化されたボディや低くなった重心、新しいダンパー技術や高まったボディ強度などにより、よりスポーティな走行性能を実現。また、通常モデル以外に、「Mスポーツ」モデルも設定される予定だ。こちらは専用のサスペンションやブレーキを備える。

安全運転支援システムでは、車線逸脱警告システム、歩行者・自転車を検知する緊急自動ブレーキを標準装備。オプションでストップ&ゴー機能つきのアクティブ&クルーズコントロール、ステアリング&レーンコントロールアシスタント、BMWヘッドアップディスプレイなどの装備も可能だ。また、パーキングアシスタント、距離コントロール、リアビューカメラ、360度カメラなどを備えた自動パーキングアシスタントも選択できる。

デリバリー開始は2019年3月。『3シリーズ』初となる『M340i セダン』も発表

デリバリーは2019年3月末の予定。パリサロンでは、BMW M社が手がける『M340i セダン』も発表された。これは、『3シリーズ』では初めてのことになる。

日本ではまだ『3シリーズ』自体が公式発表されておらず、さらに詳しい情報はこれからアナウンスされるだろう。BMWの中核を成す歴史あるモデル。ボディタイプの好みはあるかもしれないが、その性能は、購入を後悔させるものでは決してないはずだ。

Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) BMW AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
The all-new BMW 3 Series オフィシャル動画
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第62回 | BMWの最新車デザイン・性能情報をお届け

最上級で贅沢なオープン──BMW 8シリーズ カブリオレ

初夏になると、クルマのルーフを開けてオープンエアを愉しみたくなる。しかし、この新型オープンモデルが似合う場所は、蒸し暑い日本の夏ではなく、地中海やマイアミの高級リゾート地なのかもしれない。それほどまでに、贅沢でエレガントなのである。昨年、じつに20年ぶりとなる復活を遂げたBMW『8シリーズ』。このフラッグシップクーペに今回、カブリオレが追加された。「最上級」という言葉がふさわしいオープントップモデルだ。

クーペの美しさと運動性能、オープンモデルならではの開放感や優雅さを兼ね備える

ヨーロッパの人々は太陽を浴びることが大好きだ。ほとんどのラグジュアリークーペには、当然のようにオープントップモデルが設定されている。昨年6月、ル・マン24時間レースにおいて、およそ20年ぶりに復活したBMW『8シリーズ』が発表されたときから、多くの自動車ファンはカブリオレの登場を予感していたことだろう。そもそも、BMWには開発当初からオープンモデルをラインナップに追加する前提があったに違いない。

BMW『8シリーズ カブリオレ』は、『6シリーズ カブリオレ』の実質的な後継となるオープントップモデルである。むろん、ベースは最上級クーペの『8シリーズ クーペ』。低く伸びやかなシルエット、美しいルーフライン、艶麗なリヤフェンダーの造形が醸し出す優雅さ。そうした官能的な個性が際立つ『8シリーズ クーペ』の美しいデザインと運動性能をそのまま受け継ぎながら、オープンモデルならではの開放感や優雅さを備える。

エクステリアでは、リヤホイールへの力感を表現するボディサイドのキャラクターラインが目を引く。さらに、キドニーグリルやデッキを取り囲むモールディングなどにクローム加飾をアクセントとして採用。専用の20インチ・マルチスポークホイールの繊細なデザインと相まって、クーペ以上に洗練されたラグジュアリーさを強く感じさせる佇まいだ。

滑らかな流線形を描く電動式ソフトトップ。シフトノブはなんとクリスタル仕立て!

ルーフは電動式のソフトトップで、エレガントなボディ造形にふさわしく、滑らかな流線形を描くように丸みを帯びたデザインとなっている。ルーフを閉じた状態でも、上質さや優雅さはまったく損なわれない。ルーフは時速50km/h以下なら走行中でも約15秒で開閉することが可能だ。ルーフオープン時もラゲッジルームは250Lの容量を確保する。

室内は、エクステリアと見事に調和した高級感をまといつつ、前後方向への意識を強調するように設計されているのが特徴だ。具体的には、乗員の視線が自然と前方へ向かい、走りへの期待感を煽るようなデザインとなっている。また、高い操作性を確保するためにスイッチ類をグループ分けし、ドライビングを妨げないポジションにわかりやすく配置した。

注目は非常に高い透明度のクリスタルで作られたシフトノブ。クラフテッド・クリスタル・フィニッシュを採用し、なかから数字の「8」が浮かび上がる仕様となっている。シートはベンチレーション付きの上質なメリノレザー。アンビエント・ライトを標準装備しているので、ラグジュアリーオープンモデルであることを乗るたびに感じさせてくれるだろう。

『8シリーズ カブリオレ』の加速性能はピュアスポーツカー並。価格は1838万円

搭載されるパワーユニットは、『8シリーズ クーペ』と同様の4.4L V型8気筒ガソリンエンジン。最高出力530ps/5500-6000rpm、最大トルク750Nm/1800-4600rpmを発生し、8速スポーツAT(ステップトロニック付き)を組み合わせる。0-100km/h加速は「8」の名にふさわしく、3.9秒を実現。これはピュアスポーツカーに匹敵する動力性能だ。

なお、ドイツ本国やヨーロッパでは上記のエンジンを積む「M850i xDrive」のほかに、経済的な3.0L直列6気筒ターボディーゼルエンジンを搭載する「840d xDrive Mスポーツ」も選べるが、日本国内で販売されるのは現時点で「M850i xDrive」のみとなっている。

価格は『8シリーズ クーペ』より124万円アップとなる1838万円。高価なうえに、これだけのラグジュアリーオープンが似合うロケーションは国内ではなかなか見当たらない。とはいえ、オープンエアの季節だけに、所有欲を強く刺激するのはたしかだろう。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) BMW AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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