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第 3回 | ブガッティの最新車デザイン・性能情報をお届け

ブガッティ ディーヴォ──即完売した6.4億円超の怪物

スーパーカーを作るメーカーのなかには、ごく限られた顧客に向けて少量を生産するブランドも存在する。その代表がフランスのアルザスに本拠を置くブガッティだ。特にフォルクスワーゲン・グループの傘下に入って以降のモダン・ブガッティは、モンスターじみたスーパースポーツの開発というニッチなカテゴリで存在感を発揮してきた。代表車種は『ヴェイロン』とその後継モデルの『シロン』。いずれも数億円の価格がつく超弩級のスーパーカーである。この『シロン』の登場から2年半余り。8月下旬のモントレー・カー・ウィークでブガッティがサプライズ的に新型車を発表した。その名は『ディーヴォ』だ。

その名は『ディーヴォ』。ブガッティが披露した最新かつ最強の超弩級スーパーカー

そのクルマがアンベールされたのは、カリフォルニア州モントレーで開催されたモントレー・カー・ウィークのイベントのひとつ、「クワイル:モータースポーツ・ギャザリング」でのこと。車名は『DIVO(ディーヴォ)』。ブガッティのニューモデルである。

ブガッティの車名には、かつてブガッティで活躍した往年のレーシングドライバーの名前が与えられることが多い。たとえば、『ヴェイロン』は1939年のル・マン24時間レースをブガッティ『タイプ57』で制したピエール・ヴェイロン、『シロン』はブガッティでもっとも成功した伝説のレーシングドライバー、かのルイ・シロンに由来する。

とくれば、ピンと来た人もいるかもしれない。そう、『ディーヴォ』とは、世界最古の歴史を誇った公道耐久レース、タルガ・フローリオを二度にわたって制したアルベール・ディーヴォの名から取ったものだ。マシンは、ブガッティが生み出した傑作レーシングカー『タイプ35』(正確には『タイプ35B』)。かつて日本テレビで放送されていた『カーグラフィックTV』のタイトルバックに登場するヴィンテージカーといえばわかるだろうか。

『ディーヴォ』は、この伝説のマシンのコンセプトを受け継ぐスーパーカーだ。これまでのブガッティと違い、ワインディングロードでのハンドリング性能を重視している。

あの『シロン』より8秒も速い! フロントマスクはまるで獲物を狙うホオジロザメ

ベースは『シロン』。しかしその走りを可能な限り進化させた一台となっている。ボディパネルの多くが専用に開発されたもので、とりわけフロント周りやリヤにはまったく異なるデザインが採用された。大きく口を開けたエアインテーク、スポイラー、鋭くなったヘッドランプが印象的なフロントマスクは、まるで獲物を狙うホオジロザメのようだ。

むろんこれらのデザインは冷却性能やエアロダイナミクスの強化を意図したもの。リアスポイラーの幅は23%拡大され、強力なダウンフォースを生み出す。さらにシャシーやサスペンションのセッティングも変更するなど徹底的に空力性能を高め、車重も35kg軽量化した。それにより『シロン』と比べてダウンフォースが約90kg向上したという。

エンジンは『シロン』と同様の8.0L W16気筒クワッドターボを搭載し、最高出力も『シロン』と変わらない(といっても1500psだが)。また、最高速度は『シロン』の420km/hに対し、『ディーヴォ』は380km/hと、あえて少し制限されている。

しかし、『ディーヴォ』はコーナーでの速さを追求したクルマであり、その真価は直線で発揮されるものではない。事実、ブガッティによると、南イタリアのナルド・サーキットで行ったテスト走行では、『シロン』がもつラップタイムを8秒も上回ったという。

『ディーヴォ』の価格は6.4億円。しかしワールドプレミアする前から全40台が完売

おそらく多くの人が気になるに違いない『ディーヴォ』の車両価格は、じつに500万ユーロから。日本円に換算すると、およそ6.4億円という途方もない金額である。

しかし、万が一、その金額を支払って手に入れたいという裕福な人がいたとしても、もはや手遅れだ。『ディーヴォ』は限定生産のスペシャルモデルで、ブガッティが選んだ40人の超富裕層にのみ販売される。そしてその40台は、ブガッティが自社の顧客に向けて内々にプレゼンテーションした段階で、すでに全台が完売してしまっているという。

おそらく、数カ月後にドバイあたりでこのクルマが目撃されるのではないだろうか。

Text by Dan Oshio
Photo by (C) BUGATTI AUTOMOBILES S.A.S.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Bugatti Divo オフィシャル動画
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第5回 | ブガッティの最新車デザイン・性能情報をお届け

ブガッティLa Voiture Noire──その価格、なんと14億円

フランクフルト、デトロイト、パリ、そして東京。世界各地で開催される大規模なモーターショーのなかでも、ジュネーブモーターショーは特別な存在感を放つ。煌びやかで猛々しいスーパーカーが数多く展示されるからだ。その別名は“スーパーの祭典”。今年もフェラーリやランボルギーニがここで新型車を披露した。しかし、今回、来場者やメディアの注目をもっとも集めたのは、おそらくこの一台だったのではないか。ブガッティ『ラ・ヴォアチュール・ノワール』。その価格、じつに約14億円という究極のワンオフモデルである。

ベースは『シロン』。創業者長男の生誕110周年を記念した一品製作のハイパーGT

車名の『La Voiture Noire(ラ・ヴォアチュール・ノワール)』は、フランス語で「黒いクルマ」という意味だ。その名が示すように、カーボンファイバーが多用されたボディは深みのあるブラックカラーをまとい、そこへボンネットからルーフへと背骨のように走る白いライン、ホイールから覗くブルーのブレーキキャリパーがアクセントを効かせる。

ベースは『シロン』。デザインのモチーフは、創業者エットーレ・ブガッティの長男であるジャン・ブガッティが1930年代に4台のみを生産した『Type 57 SCアトランティック』だ。これを現代的に再解釈してハイパーGTカーに仕立てた。『ラ・ヴォアチュール・ノワール』はジャン・ブガッティの生誕110周年を記念した一品製作車でもあるという。

同じ『シロン』をベース車両としているだけに、『SCアトランティック』というより、どこか40台が限定生産される『ディーボ』を彷彿とさせるが、リアセクションのデザインは明らかにそれと異なる。とりわけ6本出しのエキゾーストパイプは圧巻のひと言だ。

最高出力1500ps。『ディーボ』と同じ8.0L W16気筒クワッドターボエンジンを搭載

心臓部に積むのは『シロン』と同型の8.0L W16気筒クワッドターボエンジン。これは『ディーボ』とも共通する。最高出力1500ps、最大トルク1600Nmという凄まじいパワーを発生し、7速DCT(デュラルクラッチトランスミッション)を組み合わせる。ただし、『ディーボ』がワインディングロードでのハンドリングを重視した特別モデルであるのに対し、『ラ・ヴォアチュール・ノワール』は快適な長距離ドライブを実現するグランドツアラーとして作られる。最高速度や足回りなどのセッティングは多少異なるに違いない。

ブガッティ・オートモビルズを率いるステファン・ヴィンケルマンCEOは、『ラ・ヴォアチュール・ノワール』のワールドプレミアに際して次のようにコメントしている。

「ラ・ヴォアチュール・ノアールは、現在の自動車業界の最先端を示すもので、独自の高度なテクノロジーを彫刻のような美しさで包んだほかに類のないグランドツアラーです。我々のヘリテージ、新時代を見据えたスピード、テクノロジー、豪華さ、スタイリングに敬意をしめすもので、自動車のオートクチュールとも呼ぶべき一台といえるでしょう」

オーナーは、ポルシェの大株主で、フォルクスワーゲン元CEOのエンスージアスト

『ラ・ヴォアチュール・ノワール』は、ジャン・ブガッティの生誕110周年を記念したモデルだが、同時に「あるエンスージアスト」のために製作された一台でもある。そのオーナーの名は、フェルディナント・ピエヒ(Ferdinand Piech)。フォルクスワーゲンの元CEOであり、ポルシェの大株主、そしてスーパーカーコレクターとして知られる人物だ。

販売価格は1100ユーロ。邦貨換算すると、およそ13億7700万円という途方もない金額とされている。しかも、ジュネーブモーターショーでお披露目された『ラ・ヴォアチュール・ノワール』は完成前の車両で、インテリアデザインも決定しておらず、納車まであと数年が必要だという。そのため、最終的に20億円近くになるとの一部報道もある。いずれにしても、あまりに現実世界とかけ離れていて、我々はため息を漏らすほかなさそうだ。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) BUGATTI AUTOMOBILES S.A.S, gims.swiss
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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Bugatti Geneva Motor Show 2019
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