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第55回 | BMWの最新車デザイン・性能情報をお届け

これはBMW版のスープラか?──新型Z4、パリでデビュー

2019年に発売される新型BMW『Z4』は、2003年デビューの初代、2009年デビューの第二世代に続く第三世代となる。10年ぶりのモデルチェンジに期待が高まっているが、カーガイの視線がことさら熱いのは、それだけが理由ではない。このクルマはBMWとトヨタの共同開発だからだ。トヨタ版は『スープラ』、BMW版は『Z4』。二台はプラットフォームを共有する兄弟車となる。『スープラ』はグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでカモフラージュした試作車が披露されたが、『Z4』はペブルビーチ コンクール デレガンスで特別仕様のファーストエディションがデビュー。そしてパリサロンでは標準仕様がお披露目された。

新型『Z4』のボディサイズは先代よりも大型化。欧州に導入されるのは3グレード

標準仕様の『Z4』は、2019年3月にヨーロッパで導入されるモデルで、3つのグレードからなる。『Z4 sDrive 20i』『Z4 sDrive 30i』、そしてスポーティな特別装備を搭載した『Z4 M40i』だ。この『Z4 M40i』には、「アダプティブ Mスポーツ・サスペンション」や「Mスポーツ・ディファレンシャル」、「Mスポーツ・ブレーキ」が標準装備される。

公式サイトではスペックが記された技術仕様書が公開されている。ボディサイズは全モデル共通で、全長4324mm×全幅1864mm×全高1304mm。長さは先代よりも+85mm、幅は+74mm、高さ+13mmと、やや大きくなっている。一方でホイールベースは短縮され、俊敏性は増した。もちろん、BMWの伝統である後輪駆動、前後50:50の重量配分は健在である。

新型『Z4』のパワートレインは、2.0L直4と3.0L直6の2種類のガソリンターボ

パワートレインを見ていこう。エントリーモデルの『Z4 sDrive 20i』は2.0L 直列4気筒ガソリンターボエンジンで、最高出力197ps/4500-6500rpm、最大トルク320Nm/1450-4200rpmを発揮。走行性能は0-100km/h加速6.6秒、最高速度は240km/hに達する。

『Z4 sDrive 30i』のパワートレインも2.0L 直列4気筒ガソリンターボエンジンだが、最高出力は258ps/5000-6500rpm、最大トルクは400Nm/1550-4400rpmへとチューニングされており、走行性能も0-100km/h加速は5.4秒、最高速度は250km/hに向上している。

『Z4 M40i』のパワートレインは、3.0L 直列6気筒ガソリンターボエンジン。最高出力340ps/5000-6500rpm、最大トルク500Nm/1600-4500rpmを発揮し、0-100km/hの加速は4.5秒とかなり短縮されている。最高速度は『Z4 sDrive 30i』と同じく250km/h。このスペックは、ペブルビーチ コンクール デレガンスで公開された『Z4 M40i ファーストエディション』も共通だ。

組み合わされるトランスミッションは、全車共通の8速の「ステップトロニック」オートマチック。また、先代にあった「コンフォート」「スポーツ」「スポーツ+」の走行モードセレクトも引き続き採用されている。

キドニーグリルはメッシュに。筋肉質でスパルタンになった『Z4』のエクステリア

エクステリアは、全体的に筋肉質でスパルタンな印象。新しくメッシュデザインが採用されたキドニーグリルが目を引く。そのキドニーグリルを中心としたフロントマスクには大型のスポイラーが配置され、迫力のある雰囲気を醸し出す。サイドには存在感のあるエアブリーザ、リアには細長いLEDライトとディフューザーを備え、マッシブな印象となっている。

インテリアでは、『Z4 sDrive 20i』『Z4 sDrive 30i』では、Vernasca(ヴェルナスカ)レザーのスポーツシートを標準装備。『Z4 M40i』はレザーとアルカンターラの組み合わせが標準となる。

ルーフは電動格納式のファブリック・ソフトトップ。50km/h以下なら走行中でも10秒で開閉可能だ。また、ファブリック・ソフトトップを採用したことにより、荷室容量は先代より50%以上も拡大して281Lとなった。そのほか、BMWのオープンカーとして初めて、オプションでヘッドアップディスプレイを装備できる。

BMW『Z4』とトヨタ『スープラ』、フォルムは似ていても雰囲気や乗り味は違う?

新型『Z4』から『スープラ』の市販モデルを予想する向きもある。たしかに、プラットフォームが同じなのでフォルムは似てくるだろう。

しかし、BMWの伝統であるキドニーグリルの存在などもあり、全体的な雰囲気はそれぞれのブランドに紐づくはずだ。乗り味のセッティングにいたっては、言わずもがな。比較する楽しみは、来年以降、両車が導入されたあとの直接対決までとっておきたい。

Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) BMW AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
BMWZ4 – Pebble Beach Concours d’Eleganceオフィシャル動画
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第62回 | BMWの最新車デザイン・性能情報をお届け

最上級で贅沢なオープン──BMW 8シリーズ カブリオレ

初夏になると、クルマのルーフを開けてオープンエアを愉しみたくなる。しかし、この新型オープンモデルが似合う場所は、蒸し暑い日本の夏ではなく、地中海やマイアミの高級リゾート地なのかもしれない。それほどまでに、贅沢でエレガントなのである。昨年、じつに20年ぶりとなる復活を遂げたBMW『8シリーズ』。このフラッグシップクーペに今回、カブリオレが追加された。「最上級」という言葉がふさわしいオープントップモデルだ。

クーペの美しさと運動性能、オープンモデルならではの開放感や優雅さを兼ね備える

ヨーロッパの人々は太陽を浴びることが大好きだ。ほとんどのラグジュアリークーペには、当然のようにオープントップモデルが設定されている。昨年6月、ル・マン24時間レースにおいて、およそ20年ぶりに復活したBMW『8シリーズ』が発表されたときから、多くの自動車ファンはカブリオレの登場を予感していたことだろう。そもそも、BMWには開発当初からオープンモデルをラインナップに追加する前提があったに違いない。

BMW『8シリーズ カブリオレ』は、『6シリーズ カブリオレ』の実質的な後継となるオープントップモデルである。むろん、ベースは最上級クーペの『8シリーズ クーペ』。低く伸びやかなシルエット、美しいルーフライン、艶麗なリヤフェンダーの造形が醸し出す優雅さ。そうした官能的な個性が際立つ『8シリーズ クーペ』の美しいデザインと運動性能をそのまま受け継ぎながら、オープンモデルならではの開放感や優雅さを備える。

エクステリアでは、リヤホイールへの力感を表現するボディサイドのキャラクターラインが目を引く。さらに、キドニーグリルやデッキを取り囲むモールディングなどにクローム加飾をアクセントとして採用。専用の20インチ・マルチスポークホイールの繊細なデザインと相まって、クーペ以上に洗練されたラグジュアリーさを強く感じさせる佇まいだ。

滑らかな流線形を描く電動式ソフトトップ。シフトノブはなんとクリスタル仕立て!

ルーフは電動式のソフトトップで、エレガントなボディ造形にふさわしく、滑らかな流線形を描くように丸みを帯びたデザインとなっている。ルーフを閉じた状態でも、上質さや優雅さはまったく損なわれない。ルーフは時速50km/h以下なら走行中でも約15秒で開閉することが可能だ。ルーフオープン時もラゲッジルームは250Lの容量を確保する。

室内は、エクステリアと見事に調和した高級感をまといつつ、前後方向への意識を強調するように設計されているのが特徴だ。具体的には、乗員の視線が自然と前方へ向かい、走りへの期待感を煽るようなデザインとなっている。また、高い操作性を確保するためにスイッチ類をグループ分けし、ドライビングを妨げないポジションにわかりやすく配置した。

注目は非常に高い透明度のクリスタルで作られたシフトノブ。クラフテッド・クリスタル・フィニッシュを採用し、なかから数字の「8」が浮かび上がる仕様となっている。シートはベンチレーション付きの上質なメリノレザー。アンビエント・ライトを標準装備しているので、ラグジュアリーオープンモデルであることを乗るたびに感じさせてくれるだろう。

『8シリーズ カブリオレ』の加速性能はピュアスポーツカー並。価格は1838万円

搭載されるパワーユニットは、『8シリーズ クーペ』と同様の4.4L V型8気筒ガソリンエンジン。最高出力530ps/5500-6000rpm、最大トルク750Nm/1800-4600rpmを発生し、8速スポーツAT(ステップトロニック付き)を組み合わせる。0-100km/h加速は「8」の名にふさわしく、3.9秒を実現。これはピュアスポーツカーに匹敵する動力性能だ。

なお、ドイツ本国やヨーロッパでは上記のエンジンを積む「M850i xDrive」のほかに、経済的な3.0L直列6気筒ターボディーゼルエンジンを搭載する「840d xDrive Mスポーツ」も選べるが、日本国内で販売されるのは現時点で「M850i xDrive」のみとなっている。

価格は『8シリーズ クーペ』より124万円アップとなる1838万円。高価なうえに、これだけのラグジュアリーオープンが似合うロケーションは国内ではなかなか見当たらない。とはいえ、オープンエアの季節だけに、所有欲を強く刺激するのはたしかだろう。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) BMW AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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