東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 政治 > 紙面から > 6月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【政治】

国との協議「振り出し」 秋田知事 地上イージス調査ミス

「イージス・アショア」配備を巡り開かれた住民説明会=8日午後、秋田市で

写真

 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を巡り、配備候補地の陸上自衛隊新屋(あらや)演習場(秋田市)を抱える秋田県の佐竹敬久知事は十日の県議会で、演習場を「適地」とした防衛省調査に誤りが見つかった問題を挙げ、同省との協議を白紙に戻す考えを表明した。「誠に遺憾だ。防衛省の基本的な姿勢には甚だ疑問があり、話は振り出しに戻った」と述べた。

 同演習場への配備計画を巡っては防衛省が八日に秋田市内で開いた住民説明会で東北防衛局の男性職員が居眠りしていたことが判明。岩屋毅防衛相は、防衛省で記者団に「大変申し訳ない。極めて大事な説明の場で緊張感を欠き、不適切だった」と陳謝した。岩屋氏は参院決算委員会で「二度と起こらないよう指示を徹底する」とも述べた。

 八日の住民説明会では、住民側が「職員の一人が居眠りしている」と指摘。「われわれは人生が懸かっているんだぞ」などの怒号が飛ぶ一幕があった。九日の説明会で伊藤茂樹東北防衛局長が陳謝。十日の説明会でも「深くおわび申し上げる」と重ねて謝罪した。

 県議会で佐竹氏は、男性職員が居眠りしていた問題について「失礼な態度だ。真剣に臨んでいるとは捉え難い」と不快感を示した。三日には、早ければ来年中に配備受け入れの可否を判断する考えを示していた。

 一転態度を硬化させた格好で、調査結果の誤りや秋田市での住民説明会での職員居眠りなど、失策続きの同省の姿勢に不信感を募らせているとみられる。

 県議会での質疑後、佐竹氏は「県民を愚弄(ぐろう)しているが、(安全保障は国の)専権事項だ。協議を打ち切ったら、あの人たちはすぐ押し切ってしまうから話し合いには応じる」と記者団に語った。

 一方、防衛省は配備計画は不変との立場。住民説明会の開催機会を増やすなどして配備への理解を得たい考えだ。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】