このように、高齢者の離婚の動機がはっきりしていれば周囲も止めるのが難しい。特に高齢の男性たちは年を取ってから家族間の確執や不和が増えて離婚に至るケースが多い。一方、経済力をなくして家族から疎外された高齢の男性たちが、妻や家族に冷遇され自分から離婚を切り出すケースもあるという。
高齢者の離婚の増加は、女性の経済活動への参加が増え、高齢でも自立する機会が生まれたことや、離婚時に資産だけでなく国民年金・公務員年金も配偶者と分けることができるようになったことも主な要因に挙げられている。
40歳以降に結婚した人が70歳以上で離婚するケースは、昨年は3人に1人の割合(36.4%)だった。婚姻期間の平均は34.1年、年齢差は平均6.9歳だった。最近は婚姻期間が長い夫婦の離婚も増えている。昨年離婚した人の場合、50年一緒に暮らしてから別れたケースは10人に1人だった。保健社会研究院のイ・ユンギョン人口研究室長は「高齢者が離婚をすると、男性は健康や生活面での管理がおろそかになり、社会と断絶した独居老人になって、孤独死につながることもある」と懸念している。
高齢者の離婚が離婚全体に占める割合はまだ3.5%に過ぎないが、増加ペースが速いのは問題だ。日本と比較するとその深刻さがはっきりする。70歳以上の離婚率(人口1000人当たりの離婚した人の比率)は、1990年代後半は両国でほぼ同じだったが、2017年は日本が0.35人に対して韓国は1.68人と4.8倍に差が広がっている。