【特集】「間違いなくルール違反」バーベキューデリバリー業者に"怒り"のワケ
2019年05月06日(月)放送
連休中、友達や家族とバーベキューをしたという人も多いかと思いますが、バーベキューの食材やコンロ、テーブルセットなどを会場まで持ってきてくれる便利なデリバリー業者に対し怒っている人たちがいます。いったいどういうことなのでしょうか?
「バーベキューデリバリー業者」に怒りのワケ
史上空前の10連休となった今年のゴールデンウイーク。公園や河川敷には、あちこちでバーベキューを楽しむ大勢の人たちの姿がありました。取材班が向かったのは、大阪府が管理する豊中市の服部緑地公園。バーベキューを楽しむ男性に何時に来たのか聞いてみると…
「場所取りで午前4時。早く来ないと場所なくなるかなと思って」(男性)
野外で気持ちよくべーべキューをするために一番大切なことは「場所取り」です。午前11時になると、所せましと色とりどりのテントで公園中が埋め尽くされてしまいました。そして、出遅れた人はというと…トイレの前にシートを広げていました。
「端に追いやられた感じ、それくらい人が多かった。なんだかんだここでもいいですね。一番トイレ近くていいですよ」(男性)
しかし、最近は“便利なサービス”を利用するバーベキュー客が増えています。
「午前11時に来ました。(Q.場所取りは?)業者がやってくれました。自分らだったら大変だと思います。業者に頼む方が楽だと思う」(男性)
「炭とか食材とかも全部セットで(用意してくれる)。便利ですね」(女性)
それは、準備作業から片付けに至るまで代わりに全てやってくれる「バーベキューのデリバリー業者」です。アウトドアブームに乗り、一挙にその数が増えました。そのサービスはというと、場所取りからバーベキューコンロやテーブルセットの貸出。さらに、肉や野菜などの食材を現地まで持ってきてくれるほか、炭に火をつけてくれたり皿やコップのセッティングまで至れり尽くせりです。そして、バーベキューが終わった後も面倒な後片付けやゴミの始末まで全て代行してくれます。
「ゴミは持ち帰る」のが原則なのに…
ところが、この便利なデリバリー業者に対し怒りを露わにする人が。近くに住むAさんです。最近、公園である光景を目にしたと言います。
「もうえげつないなーって。業者さんが捨てているのを見たのは、大きな網がかかっているゴミステーションに、白いゴミ袋に入れたやつをボンボン捨てていた」(Aさん)
デリバリー業者が、公園に設けられたゴミ捨て場に大量のゴミを捨てていたというのです。
「最初見た時はびっくりしたんですけど、最近はもう日常的に捨てているので、感覚が麻痺してきましたね。(Q.どういう時に見た?)夕方と、金曜日とかは夜中に捨てているのを見ました」
業者のゴミ出しに疑問を抱いているのはAさんだけではありません。
「あれは問題やね。本来は『事業ゴミ』やからね。金儲けした後のゴミやからね、当然持って帰るのが普通ですよね。ルール違反ですよ、間違いなく。持って帰ってくれたら一番いいですけどね」(公園事務所のスタッフ)
服部緑地公園では、バーベキューで出たゴミは持ち帰るのが原則です。しかし、どうしてもルールを守らない人のために、数か所だけゴミ捨て場が設けられています。
「昔は園内にたくさんゴミ箱があったんですが、それをいきなりゼロにしてしまうのは難しいので、ゴミ箱の集約化を今図っている。(Q.ゴミは持ち帰るのがルール?)そうです、それは原則です」(服部緑地管理事務所 保坂啓明副所長)
炭も食べ残しも金属製の網も…ゴミステーションは「ゴミの山」
この基本的なルールを無視するデリバリー業者が本当にいるのでしょうか。取材班は様子を見てみることにしました。すると、バーベキュー客が帰途についた午後4時すぎ…
「今、業者がゴミを片付け始めました」(記者リポート)
客がほとんどいなくなったあと、業者の男性がゴミを片づけ始めました。
「ゴミ袋を運び出します。そして、公園のゴミステーションに捨てました」(記者リポート)
業者の男性は、炭のかすや客の食べ残しでいっぱいになったゴミ袋を次々と公園のゴミ捨て場に捨てていきます。さらに…
「網、網だ」(記者リポート)
肉を焼くために使った後の金属製の網や木炭が入っていた段ボールなども、せっせとゴミ捨て場へ運んでいきます。捨てているのは1つの業者だけではありません。複数の業者が、当たり前のようにゴミを捨てていました。
そして約1時間半後…ごみステーションにはゴミの山ができていました。また別の日も、同じように業者の従業員らしき男性が次々とバーベキューで出たゴミを捨てていました。
業者の男性「ゴミ捨て場があるから。お客さんのゴミやから」
この公園ではゴミは持ち帰るのが原則です。業者の男性に話を聞いてみると…
Q.何のゴミですか?
「あっちで出たゴミを分別している」(業者の男性)
Q.業者も捨ててもいい?許可は取っている?
「ここの公園で出たゴミじゃないですか」
Q.捨てていいと言われている?
「ゴミ捨て場があるから。お客さんのゴミやから、これは」
男性は「利用客が出したゴミだから捨てても問題はない」と話しました。業者はその後もゴミを出し続け、壊れて使えなくなったのか折りたたみ式のパイプ椅子まで燃えるゴミ置き場の片隅に置いていきました。
取材班が改めて公園にゴミを捨てていた業者の代表に取材を申し込むと…
「ゴミ捨てはできないとわかっていたが、公園事務所のスタッフから『分別してくれれば捨ててもいいですよ』と言われたので捨てていた。無断で捨てているという認識はなかった」(業者の代表)
本当に捨ててもいいと話したのでしょうか?改めて公園管理事務所の所長に聞いてみると…
「それは聞いてないです。一般のお客さんかバーベキューの事業者さんか、なかなか判別がつきにくいというところもあるので。今後の対策を色々検討をしながら、進めていきたいと思っています」(服部緑地管理事務所 秋葉純所長)
手ぶらでバーベキューを楽しめるという便利なサービス。しかし、バーベキューを生業とするなればこそルールは守らなければならないのではないでしょうか。
(「Newsミント!」内『特集』より)